時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

1世帯の平均所得が19年前に逆戻り

2009年05月26日 | 経済問題
厚生労働省が【国民生活基礎調査】を発表し、2007年時点の1世帯あたりの平均所得額(控除後の金額)が2006年に比べ1.9%減少の556万2000円(過去最高は1994年の664万円)となり、1988年以来19年ぶりの低水準になったと発表した。
また、労働者1人あたりの所得は、313万2000円となり、過去最低になったと報告している。
313万円という所得では、都会では、生活するのにギリギリの収入であり、以前に話題になった森永氏の「年収300万円時代」という言葉が現実味を帯びてきたということになる。
もっとも、森永氏の主張は、格差の広がりと固定化を告発しつつも、たとえ年収が300万円になっても、心豊かに暮らす方法はあるという「慰め」のような側面もある本であったが・・・。実際に、この所得では、満足に子育てや教育にもお金を使えず、老後の見通しも立たないであろう。
今では、非正規労働者が3分の1以上を占めており、平均年収を押し下げているという側面もあるが、正規労働者の給与も10%、20%の減少は当たり前になってきており、また、リストラもまだ続いている。
所得という結果だけを見れば、この20年間の我々の努力(企業活動、社会活動などの全生活)というのは、結局何だったのだろうかということになる。
この19年間、多くの国民は、逆方向に歩き続けていただけだったのだろうか?という疑問さえ湧いてくる。
しかし、結局のところは、庶民の努力に報いるだけの給与が支払われず、格差が広がり、小泉氏が「予告」したように、庶民に「痛み」を押し付けた結果であろう。
一方では、一生かかっても使い切れないほどのカネを溜め込む一部の人間と多くの貧しい庶民を生み出してきたことが、今回の調査結果に現れているということだろう。
国民所得が低下するということは、内需が冷え込むことにほかならない。
輸出頼みの経済から内需拡大へという「掛け声」にも逆行するものであり、日本の景気を負のスパイラルに陥れることになる。
先の国会で、衆院で可決された補正予算も一時的なバラマキに過ぎず、将来不安の解消や国民の懐を根本から暖める政策にはなっていないことは言うまでもない。