東京新聞のコラムは、考えるな。
はじめ、読んで、あの人の話と、思わなかた。ウエディングドレスの人の話。
「ある国に靴を売ろうとした会社員が2人いた。問題はこの国には靴を履く習慣がなかったこと。さてどうするか
▼1人はあきらめた。「靴を履かないのだから売れっこない」。
もう1人は闘志を燃やす。「誰も靴を持っていないのだから売れる」
▼ビジネス講話などで使い古されたたとえ話だが、考えてみれば、どちらが正解ともいえまい。あきらめなかった会社員のがんばりを買いたくなるが、慣習や考え方を変えるには相当の時間とコストがかかる。ウエディングドレスを日本に普及させたブライダルデザイナーの桂由美さんが亡くなった。94歳。苦しくとも、あきらめない道をためらうことなく選んだ人である
▼お世話になった花嫁さんが大勢いらっしゃるだろうが、デビューした1960年代当時の婚礼衣装は9割が和装だったそうだ。花嫁がドレスを着たいと思ってもお姑(しゅうとめ)さんとなる人が猛反対し、あきらめるというケースも少なくなかったという
▼東京大空襲を経験していらっしゃる。「どんな焦土にもいつか花が咲く」と信じていたそうだ。ウエディングドレスが「安っぽい」「ふさわしくない」といわれた時代にあっても希望を捨てず、情熱と根気で花嫁を彩る「花」を育てていったのだろう
▼ある調査によると、最近の婚礼衣装は約8割が洋装らしい。幸せの衣装をこしらえ続けた方の見立ては「寸法通り」である。
1人はあきらめた。「靴を履かないのだから売れっこない」。
もう1人は闘志を燃やす。「誰も靴を持っていないのだから売れる」
名言だろう、どう見る。
靴は、売れるか、売れないか。
時代は、問われる。明治、江戸、平安、遣唐使の時代。
中国で、学んで、遣唐使、平安、推古天皇の時代も、聖徳太子の眼力か。
ウエディングは、桂由美氏だろう。
今や、着物は、売れない時代。
一度は、着るだろう、貸衣装でも、女性は、ウエディングは。