第7回民法について

2012-05-23 16:34:24 | 司法試験関連
民法は,難しかった,という感想を多く聞いた。民法は第6回以降事実関係については「ノイズ情報」は減少傾向にあるが,設問のボリュームが大くなってきたので,事務処理のスピードが要求される。

やっと時効と共有が出たな,という印象である。設問2は,簡単そうでいてトラップが多い問題である。「権利を侵害するので」という「抗弁」をどう処理するか。「権利」は債権的な権利と物権的な権利が想定される。物権か債権かで「第三者の権利侵害」の認定に差が付きそうである。更に共有持分権の意味を理解できているかどうか。持分2分の1だから半分寄こせと言える,というのはかなり乱暴な議論である。特に,我妻的な持分権の理解からはそう話は簡単ではないはずである。「全てに対し」持分に応じた利用処分等ができるはずである。不動産事例ではなく可分な事例で出題してきたところが試験委員の偉大さである。

設問1は「要件事実的」問題である。2年ぶりの復活ということになるが,大騒ぎするほどのものではないので,「流言」に惑わされないようにしたい。時効の要件に照らし合わせて事実関係を整理し検討するだけの話である。ある意味,民法の問題としても当たり前の作業を「要件事実的な体で」聞いてきただけである。慌てて紛争類型別とかに飛びついてどうすると言う話である。どうしても気になる人は,要件事実30講の第1講から第9講までやっておけば十分である。

民法は,基本問題と応用問題を上手くミックスさせてきているので,基本問題は確実に取らなければ駄目である(第6回の第3問とか今年の第1問である)。また初期からの傾向として「損害」こだわりがすさまじいのも変らない。債権法の改正の影響を受けて,本件契約における当事者の合理的意思解釈を徹底して聞いてきているので,普段から具体的に分析する癖を付けておきたい。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Early Summer Tour!!! | TOP | セットアップの重要性 »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。