2010採点実感等憲法編

2011-02-22 18:01:55 | 司法試験関連
「真に解決されるべき論点にまで議論が深まっていない」というのは,「本件事案の特殊性」に言及されていないと言うことでしょう。上位答案の多くには,生存権であれば,最低限度云々ではなく,そもそも保障されていない状況にあること,選挙権であれば,行使の機会が法的に封じられ,結果的には選挙権自体が保障されていない状況にあること,という「本件事案の特殊性」に関する言及があります。

「Xが選挙権を行使できなかった事が憲法違反である」という表現は,違憲無効とする対象が不明確である,との指摘がありますが,これは,「○○法△条×項に基づく,・・・という処分」等のように対象を具体的に特定せよ,と言う意味です。ふわっとした書き方は司法試験では評価されませんし,複数の行為がある場合,どの事実がどの行為に関するものかの峻別も出ませんから,自分自身が書きにくいはずです。生の事実からの分析的アプローチは必須のスキルです。

「問題文の読み方スキル」に従えば,法令違憲のターゲットが公職選挙法であることは悩みようがありません。2年ほど前から公職選挙法は掲載法令となったので出題が予想される,というのは以前から指摘してきましたが,当然,試験六法掲載法令は現場で引くことが期待されています。

生存権の自由権的側面からのアプローチの是非は講義でも検討しましたが,その自由権的側面とは具体的に何を指すのか,それは法的に保護された利益と言えるのかどうか,検討しないと駄目です。

平成17年判決に言及すればそれだけで跳ねる問題でした(霞ヶ関1の1の1辺りからの伝聞ですが)。やはり最重要判例はキッチリ理解しておけ,ということですね。

住民基本台帳法に基づく処分を攻撃する際の注意点は講義でも指摘しました。実際問題,この適用違憲は説得的に論証するのは結構厳しいです。住民基本台帳法が住所要件を課すこと自体はおかしくもなんとも無い点に気がつきたいところです。

国賠は,予備的請求扱いで書くべきでしょう。17年判決の場合と異なり,「総務省」,「7年」という事案の「修正」が何を意味するのか微妙なところです。

法令違憲と適用違憲を「必ず書く」という変な思い込みは止めましょう,ということですね。
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