67camper's Blog

管理人67camperの空冷VW、北米輸入住宅、キャンプ、ジャズ、自転車、アコギ、カメラ、アメカジに関するログです。

2枚の10インチにみるタルの思惑

2009-05-12 06:48:25 | jazz & vocal
Tal Farlow Album/Tal Farlow
(Norgran MGN-19)


 ジャズギターの歴史はチャーリー・クリスチャンから始まりますが,50年台になると,その影響下にそだった多くのギタリストが白人優位で数置く出現してきます。レッド・ノーボのバンドで活躍したタル・ファーロウもそんな一人ですよね。タルの最も初期のリーダーアルバムと考えられるのが,54年録音の2枚の10インチであろうと思います。一枚は,本日アップのノーグランの10インチです。DSMのイラスト印象的な一枚ですし,国内盤では55年のLA録音をカップリングして12インチ化したもの(勿論ノーグランにもあるようですが)で再発されたのでそれでご存知の方も多いですよね。

 メンバーはTal Farlow, Barry Galbraith(g), Oscar Pettiford(b), Joe Morello(ds)のカルテットです。この初期のタルのアルバムでは,あんなにテクニックがありながらBarry Galbraith(g)を加えたカルテットで演奏されているのが不思議でならない。同時期の録音と思われるBNの10インチでもDon Arnone(g)を加えて同じカルテットのフォーマットで演奏しているのが面白い。ノーグラン盤はタルのオリジナル"Gibson Boy"とペティフォードのオリジナルBlues In The Closet"が演奏されるが,それ以外は全て歌曲であり"My Old Flame"等のバラードプレイでは既に卓越した歌心を聴かせます。モレロの実に快適なブラッシュワークによるサポートが全編を通じて素晴らしいですね。


Tal Farlow Quartet/Tal Farlow
(Blue Note 5042)


 一方,BNでもやはり同じ編成のツウィンギター,ベース,モレロのドラムと言うメンバーで録音しており,当時のタルがこの編成でサウンドに厚みを出そうとしていた思惑が垣間見えます。BN盤の方が,恐らく有名で,”Flamingo"等に聴かれるハーモニクスを駆使した"ハープシコードテクスチュア”と評される奏法は彼のスタイルを代表するものですね。

 所有盤はノーグランが黄色ラベルの10インチオリジナル,BNはUnited Artistsの再発10インチ米国盤です。ノーグラン盤の荒削りながらラウドなシングルトーンが最高です。モレロのスウィンギーなブラシもかなりビビッドな印象ですね。