『ソウルボート航海記』 by 遊田玉彦(ゆうでん・たまひこ)

私たちは、どこから来てどこへゆくのか?    ゆうでん流ブログ・マガジン(エッセイ・旅行記・小説etc)

ココナッツへ

2015年02月07日 22時50分02秒 | ソウルフード
ココナッツオイルの瓶を持ち上げ、蓋を開けようとしているのが、もう1分も続いている。ひと月前に買った瓶だ。気圧の変化に晒されてか、蓋が開かない。肩の裏側の筋肉が吊りそうになって、諦めかけた。瓶を叩き割ってやろうかと一瞬想った。割ったら、困るのは自分だ。

 スプーンの先で蓋のへちを抉じ開けると、プスっと音がした。開いた! 蓋をねじると回らない。頑固だ。こいつ。このココナッツオイル。また、叩き割るかと心を過る。やったら、困るのは自分だ。

 やっと開いた。スプーンを差し入れると、冬の気温に白く固化したココナッツオイルが頑固な感じで抵抗した。ヤマトに来た南のココナッツオイルだから仕方ない。ハダカなのだから。

 ぼくは椎名林檎に触れるのとココナッツオイルに触れるのを等分に感情高め、同時進行にひとくち舐め、それからおごそかに、あわてて、髪に塗った。その勢いで、手のひらで滑らかに液状にしたオイルを髪の隙間に塗りたくった。それでも足りなくて、またいま、塗り足した。頭の中に、ココナッツオイルを流し込むためにそうしているのだ。ぼくの脳がそう命じているのかどうかわからないが、脳にココナッツオイルを浸してやりたいとぼくというだれかはそういう行動をしている。

 ココナッツオイルの髪から漂う夜にプレゼンテーション

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