『ソウルボート航海記』 by 遊田玉彦(ゆうでん・たまひこ)

私たちは、どこから来てどこへゆくのか?    ゆうでん流ブログ・マガジン(エッセイ・旅行記・小説etc)

がんばるな~

2010年10月23日 12時40分38秒 | 航海日誌
働きたくても働く場がない・・・仕事に就いても正社員になれない・・・明日が見えない。自分の存在を消してしまいたい・・・最後はうつになり、自殺を考え、命を絶とうとする若い世代が増えている。NHK番組「ミドルエイジ・クライシス/30代ひずみ世代の今」で、そうした人々の実態を取り上げるのを観て思った。

ぼくが働き始めた80年代は失業率が150万人だったが、今は培を超える350万人だ。ぼくの頃は仕事を選ばなければ何かあった。株主に配当が増える仕組みの悪法、派遣労働法が生んだ派遣労働もなかった。まじめに一所懸命やっていれば社員になれた。今、まったく状況が違う。大学院で専門技術を学んだ者でも仕事がないという。この国の仕事のパイが縮んでいるのだ。努力すれば何とかなる状況ではない。60代の視聴者が「甘え」だとメッセージしていたが、今の若い世代が置かれている状況を実感できていない。死んでしまいたいとまで追いつめられ、逃げる場がなくなった状況をだ。その切羽詰まり方が「尋常」ではないのだ。

番組でコメンテーターを務めていた作家の石田依良氏が、「他人が決めた価値観で死んではいけない」と言っていた。死のうとする前に、自分の「生きたい」という欲求に従い、なにか拠り所を見つけて、それから同じ悩みを持つ人たちとの「つながり」を持とう。そこから明日の望みが見えてくると。「あきらめない」ことが大事と語っていた。

冒険家で生還する者に共通するのは、最後まであきらなかったということがある。「生きて帰る」。人生もそれと同じだ。今は、大冒険時代なのだ。それから、冒険家に必要な資質は、「がんばらない」ということである。登山家の田部井純子さんが語っていたが、「無理は禁物。途中で引っ返すことも勇気なの」。闇雲にがんばるのは、死への道なのだ。がんばってもどうしようもないこともあるのだ。だから、無理にがんばるな~である。同じ所でへばりついて、がんばらず、違うルートを探そう。違う生き方がきっとある。まだ見えない自分の面白い生き方を、あきらめず、今の状況にがんじがらめになってがんばらない。

でも、がんばるとすれば、がんばらないことにがんばると。人生、緩急「ゆうゆうと急げ」である。同じ時代に生きているぼくもまったくそうなんです(笑)