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礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

国粋大衆党総裁の笹川良一、転向を表明

2024-06-06 00:06:01 | コラムと名言

◎国粋大衆党総裁の笹川良一、転向を表明

 木下半治『日本国家主義運動史』(慶應書房、1939)の第六章第一節から、「一 機関説排撃と國體明徴運動」を紹介している。本日は、その三回目(最後)。

 機関説排撃運動――國體明徴運動と前後して暴力団狩りが行はれた。「街の紳士」一千七百余名が検挙せられた。このため、悪質の運動ブローカーが検挙せられたが、これは純正愛国団体及び一般輿論の共に慶んだ〈ヨロコンダ〉ところであらう。これに関連する重要事件は、大阪の国粋大衆党総裁笹川良一〈ササカワ・リョウイチ〉が暴力団狩りにひつかゝつて収容せられ、直ちに転向を表明して、国粋大衆党の解散を上申したことであつた。
何はともあれ、機関説排撃運動は、国家主義の威力が学説の領域まで及んだといふ意味において記録さるべきものである(註一)。
(註一)参考のため八月五日政府声明に対する明倫会の声明書、及び十一月二十日、関西側の内閣打倒国民大会の宣言、決議を左に掲げる。――
      明 倫 会 声 明
……将来此の政府声明の実績を挙ぐるため政府の断乎たる具体策即ち司法及び行政権の発動並に國體明徴に関する国民教育の徹底的刷新を観ない限りは政府の折角の声明も亦一種の画餅〈ガベイ〉に等しく従来機関説に絡まれる禍根を一掃することは到底望み難いと信じ吾人は引続き厳重政府を監視し極力國體明徴の徹底を期さねばならぬ。若し夫れ従来國體の本義を愆る〈アヤマル〉邪説を主張し、或は著書を刊行せる者に対しては其閲歴地位の如何を問はず容赦なく司法及ぴ行政処分に付すべきであつて徒ら〈イタズラ〉に其人の身分や主張の年月の先後に捉はれて取拾〔ママ〕すべき限りのものでない。
内閣打倒国民大会宣言
岡田現内閣は天皇機関説に関し再度天下に生命を発せり。然もその声明は吾等臣下の要望に添はざる所多く、極めて優柔不断にして該説信奉者への処分と雖も〈イエドモ〉何等施す処なく到底國體明徴を期し得ず。如斯〈カクノゴトキ〉内閣の存在は我〈ワガ〉金甌無缺〈キンオウムケツ〉の皇統の尊厳を侵し奉り延て〈ヒイテ〉は皇国日本の無窮の発展を阻害するものと確信す。故に吾人は現内閣の無責任と無能とを糾弾し以て即時総辞職を要望せんと茲に国民大会を開催し吾等が総意を明示す。
      決  議
 現内閣は國體明徴達成に関し何等其の誠意を有せず如斯は将に〈マサニ〉我が國體を破壊せんとするものにして其の罪たるや万死に価す。政府は宜しく罪を闕下〈ケッカ〉に乞ひ即時総辞職をなすべし。〈268~270ページ〉

「明倫会声明」の中に、「取拾」とあるのは、原文のまま。あるいは「取捨」の誤記ないし誤植か。この表記が、もともと「明倫会声明」にあったものなのかどうかは確認していない。
 以上、三回に分けて、戦前版『日本国家主義運動史』における第六章第一節から、「一 機関説排撃と國體明徴運動」の全文を紹介した。
 では、戦後版『日本国家主義運動史』(福村出版、1971)においては、この項に相当する部分が、どのように書き直されているのだろうか。次に、それを見てみたい。

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