礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

吾人は、この兇逆なる邪説の撲滅を期す

2024-06-05 00:30:23 | コラムと名言

◎吾人は、この兇逆なる邪説の撲滅を期す

 木下半治『日本国家主義運動史』(慶應書房、1939)の第六章第一節から、「一 機関説排撃と國體明徴運動」を紹介している。本日は、その二回目。

 国家主義団体が、この問題に対して奮起したのは固より〈モトヨリ〉のことである。即ち、三月八日、頭山満〈トウヤマ・ミツル〉、菊池武夫、四王天〔延孝〕中将、五百木良三〈イオキ・リョウゾウ〉、葛生能久〈クズウ・ヨシヒサ〉、岩田愛之助、入江種矩〈イリエ・タネノリ〉、橋本徹馬等を中心とする機関説撲滅同盟が結成され、同十九日、機関説撲滅有志大会を開催して、左の如き宣言及び決議を可決し、これを首相、内相、陸、海両相、文相等々に訪問・手交し、四月には更らに機関説撲滅同盟世話人会議を開いて、司法省及び検事局に陳情した。――
       機関説撲滅有志大会宣言
上に万世一系の天皇を戴き万民その治を仰ぎて無窮なるは是れ我國體なり。天皇機関説は西洋の民主思想を以て我が神聖なる欽定憲法を曲解し國體の本義を攪乱〈コウラン〉するものにして兇逆不道断じて許すべからず。此の邪説を正さずして何の国民精神の作興〈サッコウ〉ぞや。吾人は茲に國體の本義を明徴にし億兆一心誓つて此の兇逆なる邪説の撲滅を期す。
       決  議
 一、政府は天皇機関説の発表を即時禁止すべし。
 二、政府は美濃部達吉及び其の一派を一切の公職より去らしめ自決を促すべし。
 一方、統一戦線団体たる國體擁護連合会も、三月六日には「兇逆思想の掃討と国本の防護」なるパンフレットを刊行し、また青山会館に総会を催すなど、機関説撲滅運動を旺ん〈サカン〉に行つた。
 かくて、新日本国民同盟、大日本生産党、愛国政治同盟、国民協会、昭和神聖会等の国民主義団体は、在郷軍人、なかんづくその組織たる明倫会、皇道会と手を組んで大いに奮闘をなし、統一戦線・協同闘争が強力に展開せられた。それに関して注意すべきは、地方愛国団体の活潑なる活動である。九北州、近畿、中部地方等における各団体は、中央以上の緊密な協同戦線を布いて、演説会、国民大会等に大いに活躍したものであつた。〈267~268ページ〉【以下、次回】

 國體擁護連合会が刊行したというパンフレット「兇逆思想の掃討と国本の防護」については、ネットで検索してみたが、ヒットしなかった。なお、國體擁護連合会の主張・活動・関係者等については、三武錠史(みたけ・じょうじ)筆『五ケ年を顧みて』(國體擁護連合会、1937年12月)という本が参考になる。

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