杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

当教室への連絡をいつでもお待ちしております.
23c2230@mail.goo.ne.jp
入局,大歓迎です!

レジオネラ肺炎

2008年01月15日 | あんずのlethal weapon
ぴらおです。

レジオネラ肺炎を経験しました。
ショック状態で腎不全が合併しかなり厳しかったです。しかし、J先生やこいでまんといったJ先生チームの活躍で救命しました。
入院直後のカンファで私が紹介した文献と、PubMedでLegionella AND prognosisを検索して新たに目を通したレジオネラと予後との関係の文献を紹介します。
まず、私が紹介した物は
・Prognostic factors of severe Legionella pneumonia requiring admission to ICU. Am J Respir Crit Care Med. 1997 Nov;156(5):1467-72.
これは無料でダウンロードできます。http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/reprint/156/5/1467
これは84人の患者のprospective studyです。これによりますと単変量解析では
予後不良因子は心疾患、糖尿病、クレアチニン1.8以上、Septic shock、胸部X線で両肺に陰影、人工呼吸器管理、Na 136以下、P/F 130未満、BUN 30以上です。
逆に予後が良くなる因子は適切な治療、肺炎の改善となっています。それぞれにRelative Riskが出ています。
多変量解析では予後不良因子はNa 136以下、APACHE Ⅱ>15予後が良くなる因子は肺炎の改善となっています。
他の文献では
・Treatment and outcome of 104 hospitalized patients with legionnaires' disease.Intern Med J. 2003 Nov;33(11):484-8
これはretrospective studyで予後不良因子は心不全の既往、腎疾患です。
・Severe pneumonia due to Legionella pneumophila: prognostic factors, impact of delayed appropriate antimicrobial therapy.Intensive Care Med. 2002 Jun;28(6):686-91. これもretrospective studyで単変量解析で予後不良因子はSAPS Ⅱ>46、人工呼吸器管理です。予後が良くなる因子はICU入室8時間以内のフルオノキノロンの投与、同じくエリスロマイシンの投与です。ロジスティック回帰分析で予後不良因子はSAPS Ⅱ>46、ICU入室前の症状が5日以上です。予後が良くなる因子はICU入室8時間以内のフルオノキノロンの投与です。
やはり適切な治療が早くから行われることが救命するために大事だと思いました。尿中抗原で陽性となれば自身持ってレジオネラに対する
治療を行いますが、陰性でも重症肺炎なら経過の速さや合併症から疑わしい場合はレジオネラに対する治療を行ったほうが良いと思いました。
最後に尿中抗原の事を書きます。
アボット感染症アワー2006年4月21日放送のレジオネラ感染症治療の現況
日本赤十字社長崎原爆諫早病院院長 斎藤 厚
http://medical.radionikkei.jp/abbott/final/pdf/060421.pdf
「Binax社のNow Legionellaによる尿中抗原検査は血清型1の診断率は95%以上の感度ですが、これ以外の血清型では約78.6%、L. pneumophila以外の菌種では僅か13.6%という報告がなされています。レジオネラ肺炎の分離菌は60%以上が血清型1ですが、循環式浴槽では血清型3、5、6が全体の80%以上を占めますので、診断上注意を要します。」

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。