杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

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PAH ぱーと3 どないするっちゅうねん!

2007年10月26日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Maserです。
あんずでもIIPsのステロイド量やPHの治療についてもう少し突っ込んだ話し合いが
必要と思っています。では、例のMayoから引用すると、、
[診断]
Pulmonary hypertension is defined as mean pulmonary artery pressure(PAP)
that exceeds 25mm Hg at rest or 30mmHg with exercise.もしくは右心カテーテル
[Mangement of pulmonary Hypertension in interstitial lung disesaes]
1. Treat underlying interstitial lung disease
2. Provide supplemental oxygen therapy when appropriate
3. Treat heart failure
4. Consider anticoagulant therapy
5. Consider vasomodulator therapy
ベラプロストナトリウム、経口プロスタサイクリン(PGI2):ドルナーR, プロサイリンR など
prostacyclin analogues epoprostenol(エポプロステノール、商品名フローラン、Gilead社), treprostinil(リモジュリン), iloprost(吸入プロスタグランジン製剤 のiloprost、商品名Ventavis
   **<analogue of prostacyclin PGI2>**
半減期の違い treprostinil vs エポプロステノール= 4時間 vs 3-6分間
どちらの薬剤とも主に在宅で使用されているが、treprostinil は旧世代のエポプロステノールに比べて、半減期が長い(4時間対3-6分間)ことや冷蔵しなくても安定しているなどの利点がある. どちらも静脈注射で使用
phosphodiesterase-5 inhibitor sildenafil(バイアグラ)
 ボセンタン水和物製剤(販売名:トラクリア錠62.5mg)について、効能・効果を「肺動脈性肺高血圧症(WHO機能分類クラスIII及びIVに限る)」として、2005年 4 月11日に承認。ヒトで知られている
エンドセリンのETAとETBの両受容体に非選択的に結合するエンドセリン受容体拮抗薬である。両受容体を阻害することにより、ET-1の上昇に伴う種々の有害作用、特に血管収縮、細胞の増殖と肥大、細胞外マトリックスの形成等を抑制する。
Selective endothelin A receptor antagonists (sitaxsentan and ambrisentan) も将来出てくるとのこと。
6. Consider lung transplantation

最後に、、、ILDとPH合併例でのsystemicな治療は難しい。なぜならV-Q mismatchが増悪して低酸素血症を助長することがあるから。
以下は某T大のdoraさんからのコメント→いつもありがとうございます。
 まったくEvidenceに欠けますが、CTDに合併したPAHについては、
1:RVSP圧が40前後の患者にはドルナーを開始(ドルナーという時点でEvidenceが…)
2:ドルナーでがんばりきれなくなったところで、ボセンタンを追加
3:いきなり右心不全とかで来た患者には、まずDOA, DOAやアムリノン(体血管抵抗と肺血管抵抗で「高いほうを下げてくれる」と、都合のいい話を聞いたことがありますが、真偽のほどは不明)、BiPAP、NO吸入などで急性期を凌ぐ→そのあと必要に応じてフローラン、ボセンタンなど。といったところではないでしょうか。

写真:木の枝にのっている亀ちゃん。分かります?

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6 コメント

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利尿剤の使用 (七分丈ブラザー)
2007-10-28 13:11:58
Kanpo-Maser様、はじめまして。
田舎で呼吸器をやっている七分丈ブラザーと申します。
いつもブログで勉強させていただいています。
ご紹介いただいたmayoclinicのreviewでは利尿剤については触れられていませんでしたが、IIPに伴うPHの場合はあまり使用されないのでしょうか。
それとも、PHに対してはそもそもあまり使用されないのでしょうか。
恐縮ですがご教示の程よろしくお願いします。
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はじめまして (Kanpo-Master)
2007-10-29 01:56:11
七分丈ブラザー様。名前の由来はどこからでしょうか?
以下にもありますが、IIPがなくてもあっても
右心不全の状態であれば、利尿剤は使用する
ことになると思われます。ただし右心不全自体が
cardiac outputがvolume-dependentであることより
投与過剰になると病態の増悪につながると思います。
In patients with symptomatic right heart failure, diuretics can
be useful in managing volume overload, and digitalis may be indicated for selected patients. いつもグラム染色道場や笠原先生のサイトでお名前拝見しております。今後ともよろしくお願い申し上げます。
返信する
名前の由来 (七分丈ブラザー)
2007-10-29 22:53:53
長男が6歳だった頃、突然「お笑い芸人になる」と言い出したので、「じゃあ芸名はどーすんだ」と尋ねたところ「七分丈ブラザー(ボンバーだったかな・・)」と答えました。わが子ながら秀逸なネーミングに感心してしまいHNとしています。親バカですみません。

さて、本題?ですが、利尿剤の使用に関してコメントしていただきありがとうございました。重度のPHの際は大抵右心不全を伴っており、結局利尿剤を試してみる、と言う結論になるのでしょうか。また、血流がよどんで血栓が形成されている可能性が否定できない際はワーファリンを試してみるのも選択肢になると考えています。

結局、PHの薬剤治療に関しては利尿剤、ワーファリン、vasomodulator(±ジギタリス)をtry and errorで試してみるしかない、というのが私の感想なのですがやはりプロスタグランジン系から使用すべきなのでしょうか。トラクリア、バイアグラは高いですし難しいですね。
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どれもこれも・・・ (Kanpo-Master)
2007-10-30 00:00:36
primary PHではではフローラン以外で生命予後を改善するという強い根拠となる論文も存在しないと思います。warfarizationでさえ、retrospective studyでの生命予後の検討であり、RCTで確立されたものではないと思います。利尿剤もしかり、、

ただ我々は原発性よりも2次性の、たとえば特発性間質性肺炎に合併するPHをよく経験します。ワーファリンなどでの生命予後の改善も、ぽつぽつ報告がありますが強いエビデンスはないと思います。
費用対効果や生命予後を改善するかどうかというのは?ですが、ドルナーあたりは副作用がなければ患者さんには優しい薬かも知れません。注目されてきている薬剤であるとは思います。僕の母校である順天堂では膠原病科ではsecondary PHに対してはかなり使用していると聞きました。ですので、secondary PHに対しての利尿剤、ジギ、ワーファリンなどもautomaticに投与する、というわけにはいかないのではないでしょうか?
ので、結局どないやねん。ということになります。
間違っていたらご指摘くださいませ。では、、
http://www.emedicine.com/med/topic2946.htm
にsecondary PHが載っています。登録が必要ですが。
私も親バカの一人、、、です。

返信する
せっかくなのでもう少しだけ議論を (七分丈ブラザー)
2007-10-30 01:40:22
emedicineにはドルナーのことがしっかり書いてありますね。ご教示いただきありがとうございます。

up to dateのPH associated with ILDという項に少しだけ治療について触れられており、primary therapy、advanced therapyに分けられています。primaryにはoxygen、diuretics、digitalis、anticoagulationと記されておりvasomodulator系はadvanced therapyに分類されています。

血管を広げる系のお薬はhypoxic vasoconstrictionを解除してしまうため、呼吸状態の増悪を招く可能性も
あり、この点では利尿剤と同様に両刃の剣なのかも、と解釈しています。

そもそも、IIPに伴うPHは肺血管床の減少に伴う代償機構の一つだし、そこでがんばろうとしてもあまりのび代はないのかもしれませんが、それを言っちゃおしまいな気もします。

ジギ、ワーファリン、利尿剤をautomaticとまでは思いませんが、エビデンスが少ない現状を踏まえると、患者さんの状況に応じて害の少ない安価な薬剤からtryしたほうがよいのかな、と思った次第です。

PHの治療に関してご教示いただきありがとうございました。今後もブログを楽しみに拝見させていただきます。
返信する
はじめまして (ミルキィー)
2007-10-30 11:57:47
私は先天性心疾患(心室中隔欠損症)で、2歳11ヶ月で手術を受け、

術後、感染症状が出て高熱を出し傷口が膿んで完全に塞がったのは10歳の頃でした。

その後は治ったと聞かされていました。



でも、ちょっとの運動でも息が苦しくなり酷いときは気を失ったりということもありました。



病院に行く度にドクターに訴えましたが

甘えてるだけだと取り合ってももらえず、20歳になった時「もう治っているから来なくても良い」と言われ病院には行かなくなりました。



数年後、結婚をする時に「妊娠、出産が可能なのか」を聞きに行きましたが、

この時も「大丈夫だけど、何かの時の為にその時はこの病院での方が良いですよ」と言われました。



31歳の時、不妊治療のおかげでやっと妊娠し、大学病院の産婦人科へ行ったら、「まず心臓を診てもらって」と言われ

そのまま心臓の方へ行かされました。



それまで診ていただいていた教授は退職されていて、

次に教授になられたドクターに診て頂きました。





今まではなんで来てないの?と聞かれ、治ったと言われ、もう来なくて良いと言われたので。と答えたのを皮切りに色々と質問され、それに答えていたら

いきなり、「あなたは治ってなんかいないです。肺高血圧症という重い難病です。検査をしないと詳しくは言えないが、このままの生活を送っていたら40歳までは生きられないと思ってください」

と言われました。





その数日後、初めて心房粗動になり入院、中絶、くすり合わせなどを経て今に至ります。



現在、朝バファリン×1、ハーフジゴキシン×1、ラシックス×1、アルダクトン×1、プロサイリン×1

昼ラシックス×1、アルダクトン×1、プロサイリン×1



夜プロサイリン×1、トラクリア×1



を服用しています。



説明は受けたのですが、中絶や、病気の事が判ったばかりの精神的に不安定な時期だった為か、よく理解できていないし、なによりも病院に不信感を持ってしまったので、なんとなく信頼出来ないというか…





先日も診察の時にちょっと期外収縮が増えて気持ち悪いと言ったら

「しばらくエコーやってないからやる?」こんな感じでした。





どこも病院はこんな感じなのですか?

セカンドオピニオンもしましたが、大学病院にいたほうが良いと言われました。



本当にこのままで良いのでしょうか?

今後、悪化した時の判断は何を目印にすれば良いですか?

趣味でラッパを吹いていますがこれは続けていて大丈夫ですか?







できればで構いませんので、教えて頂けたら幸いです。
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