杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

当教室への連絡をいつでもお待ちしております.
23c2230@mail.goo.ne.jp
入局,大歓迎です!

DIHS//DRESS

2008年10月13日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです。

DIHS Drug-induced hypersensitivity syndrome[日本臨床 2007;65:341-343]
DIHSは発熱と多臓器障害をともなう薬疹で、経過中にヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)を主とするヘルペスウイルスの再活性化を伴い、症状が遷延することを特徴とする。抗痙攣薬(カルパマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、ゾ二ザミド)、アロプリノール、サラゾスルファピリジン、ジアフェニルスルフォン、塩酸メキシチレン、塩酸ミノサイクリンが原因薬剤となる。我が国で最も多いのがカルバマゼピンである。薬剤内服している0.1%-0.01%に生じると推定されている。発熱、全身倦怠感、咽頭痛などの全身症状と発疹で発症する。
治療方法は一定の指針なしプレドニゾロン換算で0.5-1mg/kgを用いる。

さて、あんずの皮膚科のprofessorによるDIHSのreviewが出ています。

A Complex Interaction Between Drug Allergy and Viral Infection
[Clinic Rev Allerg Immunol 2007;33:124-133] Tetsuo Shiohara, Yoko Kano
 http://www.springerlink.com/content/h494421859232254/
これが図書館になかったので、皮膚科に直接出かけて、秘書さん経由で別刷りをゲットしました。なかなかvolumeがある内容でした。
Diagnosis criteria for DIHS/DRESS
List of criteria
1. Maculapapular rash developing>3 weeks after starting therapy with a limited number of drugs
2. Lymphadenopathy
3. Fever(>38℃)
4. Leukocytosis (>10×10^9/l)
a. A typical lymphocytosis
b. Eosinophilia
5. Hepatitis (ALT>100 U/l)
6. HHV-6 reactivation
うち5つが合致すれば確定診断

このreviewによるとdrugが引き金になってherpesvirusesの活性化がおき、これによりanti-viral immune responsesが起き、allo antigensやdrug antigensにそれぞれ反応を起こしたのがGVHD, DIHSとなるという仮説が出ていました。
特にDIHSではHHV-6のみならずEBV, HHV-7, CMVも関連が疑われているようです
 http://ai.jsaweb.jp/fulltext/055010001/fig02.html
にDIHSの写真が出ています。


Pyothorax-associated Lymphoma (PAL) のReview

2008年10月13日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです。

最近、またいろいろとLymphoma関連のCaseに遭遇することが多くなってきましたので、以前読んで忘れていた文献も含めてざっとまとめてみました。日本では1930年~1950年ころにartificial pneumothoraxが手に負えない肺結核などに対して行われており、tuberculous pleuritis後のpyothoraxなどを含め、これらの慢性膿胸(Chronic Pyothorax: CP)が20年以上経過した後にlymphomaの発症につながります
[Cancer. 1987 Oct 15;60(8):1771-5] [J Clin Oncol 1989;19:249-257]よると

CP患者での胸膜リンパ腫の発症は2.2%程度で日本では健常人と比較して3000倍!の発症リスクとなるそうです。
大阪大学からの報告では1000人の悪性リンパ腫患者のうちpleural lymphomaを発症したのは一例もなく、
Pyothorax-associated Lymphoma [J.Clin.Exp.Hematopathol 2006;46:5-10]
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jslrt/46/1/46_5/_article1974年から1985年までの"Annual pathological autopsy cases in Japan"での6例の発症者のうちすべてはCP患者であったそうです。さらにその後の調査で37人のcasesでは20年以上のCPでありすべてはnon-HLでDLBL(diffuse large B cell lymphoma)だったそうです。
このPALとEBVの関連が1993年ころに日本発のレポートで注目されたようです。
ざっと読んでみると東大となんと駒込病院からの報告でした。このPAL自体がCaucasiansには見られないというのも病気の人種差なんでしょう。
http://ajp.amjpathol.org/cgi/content/abstract/143/5/1280?maxtoshow=&HITS=10&hits=10&RESULTFORMAT=&searchid=1&FIRSTINDEX=0&volume=143&firstpage=1280&resourcetype=HWCIT
http://ajp.amjpathol.org/cgi/content/abstract/143/4/1044?maxtoshow=&HITS=10&hits=10&RESULTFORMAT=&searchid=1&FIRSTINDEX=0&volume=143&firstpage=1044&resourcetype=HWCIT

すべての抗体では血清でのIgG-VCAの上昇(VCA-IgMは陰性)、Anti-EBNAの高値の他、組織の腫瘍細胞上でEBV-latent gene productsであるlatent membrane protein-1(LMP-1)やEBNA-2, EBER-1が陽性となりえます(studyにより陽性率は違いますが、およそ60%以上で陽性になりそうです)EBNA-1,2,LMP-1の染色により以下に分類されます。

LatI: EBNA-1が陽性→Burkitt's lymphomaなど
LatII: EBNA-1, LMP-1が陽性で , EBNA-2は陰性→Nasopharyngeal carcinoma, HLなど
LatIII:EBNA-1,EBNA-2,LMP-1陽性→AIDSや移植後のリンパ腫など

PALではLatIIIだいう報告や、EBNA-2,LMP-1だけが陽性とする報告がありこの変はよく分かりません。日本からの106人のPALのreviewは以下でよくまとまっています。
Pyothorax-Associated Lymphoma: A Review of 106 Cases [J Clin Oncol 2002;20:4255-4260]
http://jco.ascopubs.org/cgi/content/abstract/20/20/4255
直接浸潤の部位は肺、横隔膜、肋骨、縦隔などが多いです。その他肝臓、心臓、胸椎、、、noncontiguous metastatic lesionもありますので注意が必要です。