杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

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Oncologic emergency : SVC syndrome

2008年10月01日 | Kanpo-Master の部屋
これもやっと出ました。Kanpo-Master et alです。

Takeshi Saraya, Chie Shimura, Shinichiro Mikura, Tetsuo Yasutake, Jundai Kato,Takuma Yokoyama, Daisuke Kurai, Takashi Fujino, Kenichi Yokoyama, Go Furuyashiki,Hiroo Wada, Haruyuki Ishii and Hajime Goto

Huge Mediastinal Mass with SVC Syndrome Accompanying Numerous Chest Wall Collateral Vesselshttp://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/47/19/1719/_pdf/-char/ja/ [Inter Med 47: 1719-1722, 2008]

この症例を見た時、どうして胸腹部にできたcollateral vesselsが上から下へのflowになっているか理解できず一年くらい書くのをやめ、暖めていたのですが、いろいろな文献を見ていたところはるか昔に静脈造影でStanford et alらがSVC syndromeでのcollateral vesselsの出来る場所、流れ方について27人のptを4パターンに分類しているのを発見し自分は非常に興奮しました。
Stanford W, Jolles H, Ell S, et al. Superior vena cava obstruction: a venographic classification. AJR Am J Roentgenol 148: 259-262,1987

またホジキンリンパ腫は縦隔腫瘍の頻度としては多いのですが、SVC syndromeはあまり起こさないのはどうしてか?non-HLと比べるとどうなのか?などdiscussionに書きました。
SVC syndromeは呼吸器科や腫瘍内科、血液内科のみならず一般内科でも遭遇する可能性があるOncologic emergencyですが、意外にもreviewは少ないと思います。(縦隔腫瘍のreviewは結構ありますが、、)
このペーパーの大きなメッセージは胸腹部を上から下へ流れる側副血行路はazygosが機能しておらず、腫瘍は、azygosのSVCの合流部より中枢側(心臓寄り)に存在する、ということです。先日も、とある病院で当直しているとSVC sydromeのふれこみで入院中のptがおり下から上のflowを示す胸腹部の側副血行路があり、これだけでazygos合流部より末梢側の病変だ、と推測できました。僕の症例は新たな知見ではなかったのですが、昔のStanfordらの偉業をremindするという意味では良かったかな、、と思っております。側副血行路についてアポなしでいきなり押しかけてもコーヒーまで出していただき、快く教えて頂いた解剖学教授の松村先生に感謝、感謝です。さらに僕のへたくそな原画を、とあるイラストレーターの方にきれいに書き直して頂きました(Figure3).これも重ねて感謝申し上げます。そう、、外来の合間に英文をいつも添削して下さるあんずのボスにも感謝申し上げます。