杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

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呼吸音のペーパー

2008年10月03日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Maseterです

非常に感銘を受けたペーパー(とれたてほやほやです)を紹介させていただきます。聖路加の徳田先生の

Phasic characteristics of inspiratory crackles of bacterial and atypical pneumonia [Postgrad. Med.J. 2008;84:432-436]
Y Norisue, Y Tokuda, M Koizumi, T Kishaba and S Miyagi です。

呼吸音をearly, early-to-mid, late, pan-inspiratory crackles(holo-crackles)の4つに分類して市中肺炎の定型、非定形肺炎の鑑別にどの程度役に立つか?というものです。1984年から2006年まで肺炎の診断で入院した2603人の17才から60才までの患者で、inclusion criteriaを満たした100人のBacterial pneumonia(BP)と83人のatypical pneumonia(AP)がretrospective studyで抽出されています。61才以上はbaselineのcracklesの存在の影響を少なくするため除外されています。

結論は、、
BPはAPよりも有意差をもってpan-inspiratory cracklesを聴取する
一方でAPはBPより有意差をもってlate inspiratory crakclesを聴取する

BPにおけるPan-inspiratory cracklesの感度83.1%, 特異度85.7%
PPV は90.7%, NPVは75%でした。

APにおけるlate inspiratory cracklesの感度80.0%, 特異度84.7%
PPVは75.7%, NPVは87.7%でした。
BPの原因菌は肺炎球菌がトップで、APはマイコプラズマ肺炎がトップでした。
APでのクラミジア肺炎が少ないのは僕が日常臨床で経験する頻度とにかよっている
と思いました。

先日はearly-to-mid、口部への放散を伴う気管支拡張症のptに遭遇し徳田先生の教えに、また感動した次第です。この文献は呼吸器科医のみならず、一般内科医や救急医でもインパクトのある内容だと思いました。