杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

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酸素ボンベの残量、の答え

2006年10月06日 | 木曜日ランチョンカンファの過去問
みんな、あまりにも常識的と思っているのであればいいです。

通常酸素ボンベについている圧力計はボンベ満タンで150 kg/cm2を指します。
今回の問題は30弱の目盛りを指していました。
つまり酸素ボンベの30/150=約20%弱の残量となります。
今回使用されている酸素ボンベは1本500Lですので
500Lの約20%なので、100Lの酸素ボンベ残量となります。
ここまで理解しましたね。
で、問題は5L/minの酸素を使用するので
100L÷5L=20 minとなります。
つまり予定では、15~20分程度酸素がでることになります。
実際には、このくらいの残量でしたら
5分、10分使用といっても恐いので使用しないと思います。

今回は基本的な残量計算の式を覚えてもらいたい、確認してもらいたいと思います。
酸素ボンベをみたら、いつも残量と使用可能時間を考えてみてね!

Drug toxicity

2006年10月06日 | Kanpo-Master の部屋
  Kanpo-Masterです
ちょっと病棟で薬剤性のpancytopeniaが疑われる
症例がいたので書いてみます。
 Drug-Induced Aplastic Anaemia
and Agranulocytosis Incidence and Mechanisms
[Drugs 31:52-63(1986)] Review Article
Drugs in the aetiology of agranulocytosis
and aplastic anaemia [Eur J Haematol Suppl. 1996;60:23-30]

僕が上記論文で感じたことは以下の2つに集約されますが、
いかがでしょうか?

 特発性のaplasiaは予測不能で非dose依存性でしばしば発症が遅れる。
時に薬剤中止後にも起こる。そして自然な回復はrareである。

 これに反してcytotoxic-induced aplasiaは
予測可能であり、dose依存性でたいてい薬剤投与後
14日から21日で出現する。そしてたいていはreversibleである。
さらにindex day(: chill, fever, sorethroatを患者が感じた日)
の7日~14日前に薬剤に暴露されていることが多いそうです。

このあたり、私Kanpo-Masterはあまり詳しくないので、補足があれば
歓迎です。いいreviewなどあればご紹介くださいませ 

Lost in Transcription [NEJM]

2006年10月06日 | Kanpo-Master の部屋
kanpo-Masterです。
とれたてほやほやのNEJMのClinical Problem-Slovingから、、

55歳のMultiple Sclerosisの患者さんがMTXによる
drug-toxicityを呈したというエピソードが紹介されています。
電子カルテのコピー&ペーストでの治療は危険だということでしょう。
 http://content.nejm.org/cgi/content/short/355/14/1487
駒込病院の研修医時代にアレルギー膠原病科を回っていたとき、
RAでMTXがoverdose気味に処方されNeutrophilが80個
で、発熱が主訴の患者さんがいました。
血液培養から黄色ブドウ球菌が検出され、mucostitisはなかったですが、
口腔内には白苔がべっとりで、ここからもブドウ球菌が検出された
と記憶しています。皮膚には擦過傷が肘にありここから菌が入ったの
だと思います。そのときのperipheral embolizationの写真です。
その他、手の爪の脇にも同様の所見がありました。leucovorinでrescueしました。
MTXの半減期は6時間だが、腎不全や組織からの流出によりそれより長くなること
もあるようです。
MTXは50nmol/l以上の血中濃度のときにLeucovorinは効果があり、それ以下では
?のようです。
MTXのDNA synthesisを骨髄で阻害する作用は血中濃度が10nmol/l必要。
standardなhemodialysisはMTXを取り去ることはできず、
Intermittent high-flux dialysisは効果があるらしい。といったところが
ポイントでしょうか、、
雨が続く東京でした。