Il film del sogno

現実逃避の夢日記

東京都同情塔

2024-02-12 20:54:56 | 書籍
2/12(月)晴れ
連休最終日。建国記念日の振替休日。快晴続く。朝食後、散歩がてらに近所の図書館へ行く。月刊文芸春秋に掲載されており芥川賞受賞作を読む。表題の塔は新宿御苑に立つ巨大刑務所。受刑者は≪同情されるべき人々≫と再定義され何不自由な生活を送る。言葉狩りや検閲が加速する一方で生成AIの無機質な文章やカタカナ語の増殖が言葉を無意味にしてゆく。ヒロインである塔を設計した女性建築家の自己形成の物語でもある。彼女のモノローグが饒舌であるほど脆弱さや孤独が透けてみえる。理知的な諧謔、近未来のパラレルワールド、その絶妙なバランスで立つ言葉の塔の如し。同情塔とは再生と破壊、革新と反復で振動する、この世のメタファーか。久し振りに≪おつむ≫をフルに使った純文学小説を読んだ。午後は気温の上がった公園を兄貴分とのんびり散歩。


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