ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『海を飛ぶ夢』

2005-04-22 23:58:40 | 映画
今年のアカデミー賞外国語映画賞。去年の同じ賞を受賞した『みなさん、さようなら』も人間の死を扱っていたから、なにか繋がりを感じてしまう。

26年前、海での事故で首から下が不随になったラモンは、自ら人生に終止符を打つ決断をする。尊厳死を扱っているけれども、重々しくなっていない。それは、ラモン自身が会話の中でユーモアを入れることで、相手の緊張をほぐそうとしているからだろう。だからこそ、なぜ、ラモンは26年も経った今、死にたがっているのだろうか。四肢は動かないかもしれないけど、悪化して苦痛を伴う病気ではない。もしかしたら、自分自身に何も起きないことが耐え難い苦痛なのだろうか。

ラモンを尊重することは、ラモンの死を肯定することになる矛盾。尊厳死の是非は別にしても、ラモンの意志の堅さに、戸惑い葛藤する人々の姿は、十人十色でそれぞれ人間的。

激情的な感動は無いけれども、静かに人間の生と死に向かい合わせてくれる。