『つなみ 被災地の子どもたちの作文集 完全版』、『「つなみ」の子どもたち 作文に書かれなかった物語』
ともに、森健さん編です。
前者は東日本大震災を経験した、子どもたちの手書きの原稿そのままを載せた作文集に、完全版として福島の子どもたちの作文を加えたもの、後者の作文に書かれなかった物語は、その作文集に登場した子どもたちの中の10組の家族のその後を追ったものです。
避難先で書かれた作文は書き手を先生が指名したわけでなく、大人の指導や添削が加えられていません。
だから、作文コンクールで入賞するような作文は少ないかもしれません。でも、恐怖や悲しさを訴えるより、諦観のようなものを経たうえで、これからのことを考えていくんだという意気込み、逞しさを感じました。
筆者の森健さんがこの本を編もうとしたきっかけに、故吉村昭さんの著書『三陸海岸大津波』の中の「子供の眼」という章の、昭和8年の昭和大津波のことを書いた子どもの作文を目にしたことがあります。
その中の1人が90歳になって、今回のつなみを経験し、森さんの取材に応じています。
大切な家族を失ったり、家まるごとなくなったり、つなみが追ってくる中逃げたり、避難所の運営を手伝ったり、子どもたちの経験はそれぞれに過酷でした。
乗り越えてね・・・。というしかできません。
2つの作品で森さんは大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しました。
もちろん80人を超える、作文を書いた子どもたちも共同受賞です。
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