自遊空間、 ぶらぶら歩き。

日々見たこと、聞いたこと、読んだこと、考えたこと

春との旅(毎日新聞社)~小林政広さん

2011-05-16 | 

小説「春との旅」の作者は小林政広さん。
映画「春との旅」の監督と脚本を手がけたのも小林さんです。

 

小説はまったくのオリジナル。
脚本の書籍化でも、映画のノベライズでもありません。


「・・・自分が小説を書くのなら、とにかく映画にしにくいものにしたかった。“この小説を映画にするにはすごい金がかかるぞ”と、映画人をうならせるようなものにしたかったんです。それが、文芸の世界に対してのリスペクトだと僕は思っています。」
と、小林さんは語ります。

確かに、のちに、学校に転用されるような、広大でがっしりしたニシン御殿一つつくるのだって大変そうです。

映画は職場を失って、上京しようと考えた19歳の春が、一人では生活できない74歳の祖父忠雄を彼の4人の兄弟の誰かに預けようと、東北の町を訪ね歩くストーリーです。

小説のほうは、結局預けることなく、故郷北海道の寒村に戻った春のその後と、自ら死を選んだ母親と、残された春を引きとらなかった父親のこと、祖父や兄弟たちの来歴にページを多くさいています。

映画にも、小説にも、行き違いはあるものの、根っからの「悪人」は登場しません。
映画を観るのが先でも、小説を読むのが先でも、どちらをもじゃまをしないことは確かです。
ちなみに私は映画のほうが先でした。


goo映画のサイトから借用した写真は、大船渡線の鹿折唐桑駅のホームです。
祖父忠雄の生まれ故郷です。

 

大船渡線は岩手県一関市の一ノ関駅から宮城県気仙沼市、岩手県陸前高田市を経由して、大船渡市の盛駅を結んでいます。

東日本大震災で、春と祖父が見た景色は変わってしまった・・・のでしょうね。



東日本大震災関連の報道から

5月16日(月)
岩手・宮城・福島の3県で、当面使えない校舎のある小中高校が169校に上る

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする