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「マシュメガネ対談」 チャーリー・ワッツとローリング・ストーンズを語ろう!(第二回)「ストーンズ名盤紹介!」編

2021-09-26 18:59:32 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
今回はお互いに「ストーンズならやっぱりこれだろ!」
という点で意見が一致している2枚と、その2枚を念頭に
ストーンズの歴史を語るなら「どれをチョイスする?」
ということでお互い1枚ずつチョイスした2枚の計4枚のアルバムから
ストーンズってバンドの歴史を俯瞰してみようということで。
{ 編集長「MASH」}
そうだね。彼らの功績は大き過ぎるし、
その物真似系・・・失礼「ストーンズ系バンド」(笑)
とでも呼べるフォロワーも多いワケだから、
その影響を後世まで語り継いで当然だと思う!
《ハウリンメガネ》
んじゃ、「1st」からいきましょう。

これはお互いに意見が一致した内の1枚です。
あなたに「ストーンズが好き」って言った奴は漏れなく
「1stのUKモノが一番だよな!」と返されて
「え!?UKモノじゃなきゃダメなんですか!?」と驚く、
という一種の洗礼でジェリーズ関係者にはお馴染みですが(笑)
まあ、私もあなたに聴き比べさせてもらって
「あ、確かにUKモノじゃなきゃダメだわ」と思ったクチです(笑)。
{ 編集長 }
絶対に「UKモノ盤じゃあなきゃダメ!」だよね(笑)。
《ハウリンメガネ》
今回、ビートルズの「1st」と並べて聴いてみたんですよ。
{ 編集長 }
ほほう、で?
《ハウリンメガネ》
……ストーンズって地味(笑)!
{ 編集長 }
地味って君(笑)!
《ハウリンメガネ》
いや、すんません(笑)。
語弊があるのでちゃんと言います。
あのね、ビートルズは「1st」からロックの音がしているんです。
ま、これはリンゴとチャーリーの違い、
チャーリーはスイングするけど、
リンゴはスイングもあるけど、
それと同時にロールするんですよね。
ここの差が大きかったんじゃないかと思うんだけど。
{ 編集長 }
勿論演奏における「サウンド面」も大きいけれど
やっぱり「バラエティの大小の違い」が際立つな!
ビートルズはストーンズよりも1年ほどデビューも早いし
彼らの自作曲は勿論、取り上げたカバー曲もメロディ重視でしょ?
逆にストーンズは「ブルース・フォロワー」バンドに徹しているワケ。
《ハウリンメガネ》
そうでね、ストーンズは「1st」の時点で、
真っ当なR&Bサウンドなんですよ。ロックの音じゃない。
でもこの時点でもう音はストーンズになってる。これ、面白いですよね。
ロックバンドの頂点にいるとされているこの人達、
実際は今に至るまでロックバンドじゃなくて、R&Bバンドなんですよ。
{ 編集長 }
「1st」だけ聴き比べると、
ビートルズはもう「セヴンティーン」のカウントからKOされるじゃない?
歌も演奏も勢いが素晴らしく、アルバムとしてのワクワク感が増す!
一方のストーンズってジャズでも幾度と無く歌われた・・・
そんなスタンダードナンバー「ルート66」だよ(笑)?
《ハウリンメガネ》
「この人たちはブルースバンド、R&Bバンドなんだ」
というところからストーンズを聴くと
その後の流れが見えやすいですよね。
ブルース、R&Bバンドがビートルズを筆頭とした
ロックミュージック創成期の流れに巻き込まれて
「独自のロックバンド」と成長していく……
{ 編集長 }
結局のところビートルズがメロディを重視出来るバンドだった点は
「4人が4人とも歌えるから」っていう部分でね。
多種多様な曲をメンバーが歌、そしてコーラスで
色づけて料理できたわけだよ。
素材は同じでもミックの技量では一辺倒も仕方ない・・・
《ハウリンメガネ》
だからやっぱりこの盤の魅力は
「ストーンズの本質はR&Bバンドなんだ」
ってのが明確に見えるとこですよね。
そのポイントを理解する為にもやっぱり
この「1st」は外せないですね。
{ 編集長 }
良くも悪くもビートルズが先に世に出て
イギリス中をフィーバーさせている時に
「俺たちもバンドをやっているし一丁、勝負しよう!」って時に
「ビートルズをオーディションで落とし
 責任者が首となったデッカ・レコード」が
「とりあえずの対抗馬」として出したのがストーンズなわけ。
ビートル・ブームに乗り遅れない為に
「ステージで慣れている曲ばかり」を録音して出したんだが
その黒さを引きずった全体の感じがフレッシュでイイんだよ!
《ハウリンメガネ》
この後、65年に「サティスファクション」のシングルヒットを経て、
自作曲の割合が増えていき、サイケデリックの時代にリンクした
「アフターマス」や「サタニック〜」があって……
これ!「ベガーズ・バンケット」!

{ 編集長 }
文句なしの最高傑作だな!
ストーンズだけでなくロック史においても
「最重要盤」に違いない!
《ハウリンメガネ》
これもお互いに意見の一致した盤ですが、
私、やっぱり、ストーンズ作品の中ではこれが一番好きですねぇ。
もの凄くアーシー。
{ 編集長 }
高額だが、これも是非
「UKオリジナル・モノ盤」
で聴いて頂きたいね!
ギター、特に生ギターの音がリアルでダイレクト!
君の言うとおりアーシーさが際立つ盤だけに
「UKモノラル」で聴かないと「良さが半減」だよ。
《ハウリンメガネ》
「放蕩息子」とか「ファクトリー・ガール」なんかは
モロにデルタブルースだし、最後の「地の塩」後半なんか
もう賛美歌みたいだもの。
{ 編集長 }
ああ、「地の塩」は素晴らしい!泣きそうになるゾ!
《ハウリンメガネ》
泣くまではいかないと?
{ 編集長 }
いやぁ唯一ストーンズで泣きそうな曲なんだよね!
《ハウリンメガネ》
でも、泣かないと(笑)
とにかくアコギの比率が凄く多いし、
ドラムもパーカッションの割合が多いですよね。
チャーリーもハットだけ叩いてたり。
でも音は無茶苦茶ロックしてる。
{ 編集長 }
「ルーツ音」にストーンズの楽曲が見事にマッチした・・・
彼らにとってそんな最初の盤だろうね。
この手法をストーンズは今日まで盤の中に1,2曲入れ込むけれど
その比重をストーンズのイメージ重視で作った名盤が
後の「スティッキーフィンガーズ」なのさ。
よりワイルドにサウンドメイクしているけれど
「基本は黒いアーシーさ」なんだよ。

《ハウリンメガネ》
実は「なんだ、俺の出したいアコギの音ってこれじゃん」と感じましたよ。
「ストリート・ファイティング・マン」!
コレはロックでアコギを使う時のお手本ですよ。
{ 編集長 }
この時期ストーンズのアコギってギブソンとエピでしょ?
で、あの年代のギブソンが一番適していてジャキジャキするの!
俺も「67年製ハミングバード」を持っているけれど
アレだよ、アレ!
《ハウリンメガネ》
ストレートなサウンドに回帰してるってのは、
マルチプレイヤーだったブライアンが殆ど参加してない・・・
ってのもあるんでしょうけど、サイケの時代を経た・・・
ってのも一個あるんじゃないかと思うんですよ。
「イーノで紐解くロックの歴史」でも言ってますけど、
サイケデリックミュージックって 
基本的にはルーツミュージックの読み替えじゃないですか。
だからサイケの時代を経たストーンズがルーツミュージックに回帰する
ってのは文脈としてはよく分かりますよね。
{ 編集長 }
実際ストーンズは半年遅れでビートルズ・サウンドを出す・・・
そんなビートルズ・コンプレックスが有った訳でさ。
「サージェント」を追い「サタニック」を出し
「All you need is love」を追い「We love you」と来るでしょ?
その結果彼らが気付いたこと
「サイケは合わなかった・・・」ってことなんだよね(笑)
《ハウリンメガネ》
(笑)で、この後、ブライアンの死を挟み、
ミック・テイラー期に入る訳ですが……
今回、我々この時期からはチョイスしてないんですよね。
ま、前回対談で出した「ナスティ・ミュージック」
がその時期に当たるのでそれを参照頂くのがいいかな、と。
あれは抜群にいいですからね。↓

https://blog.goo.ne.jp/12mash/c/f4bb70881178099efe2e09df9fa43374

{ 編集長 }
さっき「スティッキー」を少し話したけれど
Mテイラー期の完成度はテイラーによるものが大きいよね。
ただし、「スティッキー」だけはキースを存分に感じる
だから特別な盤なんだろうな。
《ハウリンメガネ》
なるほど。そんなテイラーも抜けて、
ロニーが加入してしばらくしたらゴタゴタが起きて……
そういやゴタゴタ期の「ダーティー・ワークス」ですごい好きな逸話があって。
{ 編集長 }
何?
《ハウリンメガネ》
レコーディング中、チャーリーが急にキックを踏むのをやめちゃった。
「どうしたんだチャーリー?キックを踏んでくれよ」
チャーリー、一言、「若いもんに踏ませとけ」(笑)。
それで呼ばれた若いもんが今、ストーンズで叩いてる
スティーヴ・ジョーダン、っていう、嘘みたいなホントの話(笑)。
{ 編集長 }
俺は「ダーティーワーク」好きだよ。
キース色が強いし、ワイルドだからね。
しかしチャーリーのドラム音まで
「80年代サウンド」
にしちまったのは如何なもんかねぇ?
《ハウリンメガネ》
まあ、前回も触れたとおり、
この時期のチャーリーは荒れてたみたいですからね。
ホントにしんどかったんでしょうね。でも凄いですよね。
キック抜いてるのにチャーリーのリズムになるんだ、っていう。
{ 編集長 }
まあ、この時期はミックとキース間の問題でしょ?
ソロを優先してワールドツアーまでヤル・・・
そんな予定の中でミックが片手間で録音に参加したから・・・
誰だってイヤになるさ。
《ハウリンメガネ》
チャーリーで言えば
やっぱりジャズの人ですよ。
スネアとシンバルでグルーヴさせるっていうね。
{ 編集長 }
ストーンズの全ての盤において
チャーリーのバックビートが重要なのさ。
《ハウリンメガネ》
で、そんなゴタゴタの後に出た
「スティール・ホイールズ」

をあなたチョイスされたワケですが、これはなにゆえ?
{ 編集長 }
うん。コレって俺が高校生のときに出てさ。
「刺青の男」からダイレクトに聴いてきて
さっき話に出た「ダーティーワーク」後は
ミックとキースのソロ合戦で
「ストーンズも解散か?」なんて言われてたんだよ。
そんな中、急にコレが出るってなって、初来日もする!
ってトントン拍子でさ(笑)!
俺も高校をオフィシャルに休んで
この「来日チケット」を取った口だから。
《ハウリンメガネ》
何ですか?その「オフィシャルに休んで」って?
{ 編集長 }
ああ、先生が全校放送をかけて、俺を職員室に呼んだんだよ。
「マッシュ君、職員室まで来なさい!」ってね。
周りでは「あいつまた悪いことしたんだぜ!」
みたいなヒソヒソ話が聞こえてさ。で、行ったら
「ストーンズのチケットを学校休んでいいから取ってくれ!」
って(笑)。
《ハウリンメガネ》
ええッ?
{ 編集長 }
当為の俺はよくチケットを並んで整理券を貰い
その後に遅刻して登校していたんだよ。
で、理由も正直にそれを言っていてね。
ところがストーンズは「電話予約のみ」で、
もちろん電話予約も得意にしていたから
土曜日の発売時は休むつもりではいたけれど、
先生の分も取ることになり、出席扱いで休んだわけさ。
《ハウリンメガネ》
で、取れたんですか?
{ 編集長 }
モチロンさ。
先生は10000円のチケットを14000円で買ってくれたよ(笑)!
お駄賃だね。
《ハウリンメガネ》
うっ、ダフ屋行為!手強い!
{ 編集長 }
お駄賃だって!それはさて置き、元気なストーンズが集合した盤だから!
そしてビルがこのツアーでストーンズを去るでしょ?
彼のプレイもこの盤が最後だったのも理由さ。
《ハウリンメガネ》
あぁ、なるほど。
「ビル・ワイマンが抜けた後のストーンズも違うバンドだ」
って意見はありますしねぇ。まあ、同意もできますし。
で「スティール・ホイールズ」ですが、これはいいアルバムですよね。
曲も充実してるし、何より音が面白い。
(トーキング・)ヘッズみたいな音じゃないですか?
{ 編集長 }
うん。いろいろ有るがやっぱり「Sad Sad Sad」や「Mixed Emotion」
そして「R&R hard place」みたいな「生きの良い作品」が並んだ!
ソコに尽きるな!

《ハウリンメガネ》
サウンドプロダクトがニューウェーブっぽいんですよ。
ニューウェーブってブラックミュージックの要素がすごく強い!
だからこの音がストーンズのR&Bバンドとしての魅力を
新たに引き出していると思うんですよね。
{ 編集長 }
まあニューウェーブ云々ってのは
もう「女たち」でモロだったでしょ?
「エモーショナル・レスキュー」も「アンダーカバー」も!
それと比べたら「ストーンズらしさが戻って来た!」って
当時は感じたよ!
《ハウリンメガネ》
なるほど。リアルタイムだと感じ方に違いが有るモンですね。
ただ、やっぱりね、最後の「スリッピング・アウェイ」。
14年の来日で聴いた時のコレ、すごく良かった。
正直ね、原曲はそうでもないんですよ(苦笑)。
ところがね、年取ったキースが歌ってると……イイんですよ(笑)。
{ 編集長 }
名曲だよな!キースはこの雰囲気の曲が得意で
「スリープ・トゥナイト」なんかも良いね。
《ハウリンメガネ》
ふと思い出したんですけど、
多分、私、初めて聴いたストーンズのアルバムって
「フラッシュポイント」(スティール・ホイールズツアーのライブアルバム)
なんですよ。
{ 編集長 }
新曲でJBリスペクトの「セックス・ドライブ」が入っているしね!
《ハウリンメガネ》
そうそう!あれもいいライブアルバムじゃないですか。
だからこの時期のストーンズは充実してたと思うんですよね。
{ 編集長 }
ミックとキースが大人になって
「結局ストーンズが求められている」
って気づいた点が大きいよね。
ツアーもモチロン大成功だったしさ!
《ハウリンメガネ》
で、この後だと
「ヴードゥー・ラウンジ」
「ブリッジ・トゥ・バビロン」
「ア・ビガー・バン」と来て……
チャーリーの遺作となってしまった
「ブルー&ロンサム」。
私がチョイスしたのはこの「ブルー&ロンサム」なんですよ。

{ 編集長 }
うむ。
《ハウリンメガネ》
これ、ブルースのカバーオンリーでしょ?
「1st」と並べて語るべきだなぁと思って。
だから「1st」と繋ぎでかけてみたんです。
{ 編集長 }
で、どうだった?
《ハウリンメガネ》
あのねぇ……「1st」と気配が同じ。見事に。
音は当然違うんですよ?
ギターはかたっぽロニーだし、ベースはダリル・ジョーンズ。
レコーディング環境も違うでしょう。
だけどねぇ……不思議なことに雰囲気が繋がってるんですよ。

{ 編集長 }
なるほどねぇ。
俺はもっとアコースティックで聴きたかったな。
《ハウリンメガネ》
このアルバムって
「レコーディングセッション中にその場の雰囲気で
ブルースセッションに変わっていった」
って話ですけど、
それって言い換えればストーンズはいつでもブルースがやれた
って事じゃないですか。ロックバンドでそれはできない。
ああ、やっぱりこの人たちR&Bバンドなんだ、と。
R&Bバンドがロックをやってただけなんだ、と。
{ 編集長 }
俺はベッタリブルースをやって欲しかったけれど
ミックが歌うとストーンズなんだよね。
ソコが限界でも有り、凄味でもある(笑)!
ストーンズ・サウンドに他ならないわけよ!
《ハウリンメガネ》
それって凄いですよね?
最後までR&Bバンドだったんですよ。
ブライアンが死に、スチュも逝き、ワイマンも抜けて、
それでも本質は何も変わってなかった。
だけど、チャーリーの不在は……
{ 編集長 }
チャーリーが居ないとダメさ。
《ハウリンメガネ》
「チャーリーがストーンズの良心」
ってつまりそういうことだと思うんです。
ストーンズの本質を守り続けた人だって。
{ 編集長 }
例えば、ザ・フーなんて
リズム隊が逝っちゃうと
なんか違うバンドみたいに聴こえるじゃない!
アレに近い感じになりそうで怖いよ。
《ハウリンメガネ》
もうここから先は神のみぞ知る、って話ですからね。
しかし、こうやって話してると
「なんだ、俺、結局ストーンズ結構好きなんじゃん」
って事に気づきますね(苦笑)。
{ 編集長 }
それ、俺も感じるんだよ。
ストーンズを好きな人って逢ったこと無くてさぁ・・・
俺、ご存知の通りビートルズの人なのに
ストーンズ・ファンから、
「君はストーンズが大好きなんだね!」
とか言われると、ちょいと気まずいんだけれど(苦笑)。
《ハウリンメガネ》
わかりますよ。
普段そんなに自分はファンだと思ってなくても、
ストーンズ馬鹿にする奴がいたらやっぱりカチーンと来るしね。
{ 編集長 }
80年代ハードロックバンド
「シンデレラ」のトム・キーファーが
「キースみたいにペンペンとギターが弾ければ幸せだよ!」
って言ってたけれど、
分かる人にしかストーンズの良さは分からんのかねぇ。
《ハウリンメガネ》
やっぱり本気の奴には
「ロックの根っこにずっと居る」んですよ、ストーンズが。
私たちも含めて!
{ 編集長 }
さもありなん!
《ハウリンメガネ》
じゃあ、今回はこんなところで。次回は?
{ 編集長 }
ストーンズのライブ映像から彼らを語っていこうと思うんだ!
《ハウリンメガネ》
わかりました!じゃあ次回は
「映像で振り返るストーンズ」
ということで!お楽しみに!
{ 編集長 }
十分期待して欲しいぜ!

<つづく>



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