「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

ビリー・ホリディの命日に聴く彼女の歌声に「今の世」を想う・・・

2020-07-17 16:25:03 | 編集長「MASH」のレコード&CDラック(音楽紹介)

1959年の7月17日・・・今から61年前の今日
差別と戦い続けた女性歌手
「ビリー・ホリディ」が逝った。

今、世界中で行われている
「黒人差別運動」(全ての人種差別運動)に
彼女は「髪に付けた花飾り」でも「歌」でも
それはそれは、さぞ戦い抜いた人であった。

しかし、史上最高の歌手である彼女は
黒人である自分と、その葛藤の中
生涯のほとんどで麻薬に溺れた。

歌い、そして男へ、そして男と別れ、麻薬へ・・・。
このスパイラルで、一生を終えた人でもある。
「弱さと強さは表裏一体だ」
と、彼女を見、聴きして学んだ。
(コレは「ビリー・ホリディ」を敬愛した後の歌姫
「ジャニス・ジョプリン」にも当てはまるのだが)

もちろん、今私達が彼女を知るには
彼女が残した「素晴らしい盤から」
ということ、でしかない。
その「歌声やサウンド」から聴こえる
「表裏一体の魅力」こそ、
ビリーの「危うい魅力」なのである。

「さて、どの盤を聴こうか?」
いざライブラリーの前で
私は座り込んでしまった。
本当に素晴らしい盤が多いから。

ブランズウィック、ヴォカリオン、オーケイ、
コモドア、デッカ、ヴァーブ・・・
その全て「彼女の痛々しい肉声まで」もが
本当に素晴らしいので、選び切れないでいるのだ。

『奇妙な果実』
足掛けのコモドアで吹き込まれたものの、
「木に吊るされ、リンチにあった黒人」
を歌ったこの曲が、後々まで大きな評価を得、
今もなお「深く重いメッセージ」として
私たちに突き刺さるのは、前述の差別が
2020年の今でさえも消え去らない・・・
からであろう。

「哀しいまでのピアノ伴奏」に
引きずられる様に歌われる
強烈な「ハード・パンチ・ブルース・・・」
この曲を始め、当39年のコモドア録音では
「全体的に重い雰囲気が漂う」
そこがブルースマンの私にはコトの他、心地良い。

もちろん彼女はジャズ・ヴォーカリストなのだが
「これほど強烈な黒人ブルースは他に類を見ない!」
と書くと、皆様はどう思われるだろう。
「音楽のパワー」の前ではジャンルなど無用。
このようなサウンドを「心で味わい尽くすか否か・・・」
それによって、人生は大きく異なるものになるのだ。

筆者は現代の音楽に対しては、とても否定的である。
「テクノロジー」や「テクニック」からは
もはや「深い感動が得られない」からだ。
それと、「焼き直しの多さ」にはホトホトうんざり気味。
新しいモノは一切無いのに新曲として出て来るのは
まるで「大量生産の工場」のようだ。

兎にも角にも
「39年のコモドア録音」
を一聴して頂きたい。
「深い音楽にこそ、パワーがみなぎっている!」
から!

今日は彼女の命日。
そんな雨の日に彼女の歌声が
スッと染み入ってくる。
音楽だけがスッと・・・・。

《 編集長「Mash」》

 



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