ボブが来るぞー!ボブが来るぞー!
4月のボブ・ディラン来日公演決定の報に歓喜の読者諸賢、ごきげんよう。ハウリンメガネである。
いやぁ、思い起こせば20年の来公演日予定がコロナで潰れて不貞腐れていたのがもはや懐かしい。今度こそギターを弾くボブが観れることを願いつつチケット争奪戦に向け、鼻息を荒くしている私である(ちなみに今月のレッチリ来日公演はチケット取れず。ぐぬぬぬ……ぐやぢぃ……と思ったらこれを書いてる真っ最中に追加席発売のアナウンスが!取れるか!?俺!?)
なんてニュースで気分が高揚している私だが、今回の話題はそれではない。今回は珍しく近年のリシュー盤のお話。
つい先日、例によって例の如く休日に神戸をぶらついていた私。
何か面白い盤でもないかと、三ノ宮駅前のタワレコをひやかしていた。
(アイドルのCDはやっぱり人気あるんだなぁ。まあ、あれはCDという名のファングッズだからなぁ……あった、あった、レコードコーナーだ。つっても新譜は特に目ぼしいもんはないな……後はリシューばっかだもんなぁ、これはオリ盤で持ってる、これも持ってる……んんっ?おっ!この見慣れたジャケは!)
Green Mind / Dinosaur Jr.
(91年作。筆者が購入したのは19年発のデラックスエディションリシュー)
轟音ファズギターと脱力ボーカル、そしてポップなメロディセンスで90年代グランジ/オルタナムーブメントの重要バンドとして名の知れたダイナソーJr.(1997年に一度解散し、2005年にオリジナルメンバーで再結成。以後、現在に至るまでバカ売れするようなことこそないが、坦々と、かつ精力的に活動中。去年はフジロックにも出演)。
筆者もグランジ/オルタナ小僧のご多分に漏れずJ・マスシス(vo,g)のファンで、近年のボサボサの白髪超ロングヘアに太いフレームのメガネ、そしてちょっとお腹の出ているおっちゃん体型から繰り出されるJ・マスシスサウンドに未だ心を鷲掴まれている一人である(ちなみにおっちゃん体型などと書いたが、Jはスケボー、ゴルフにスキーも嗜む結構なスポーツマン。特にスケボーについてはプロ級)。
本作はそんなJ率いるダイナソーJr.の記念すべきメジャー第一作……なのだが、実質的にはJのソロアルバム。
本作の制作前にベースのルー・バーロウはJとのケンカ別れで脱退(この後にルーはルーでローファイムーブメントシーンの重要バンドであるセバドー、フォーク・インプロージョンを立ち上げているのだから凄い)。
ドラムのマーフは残留していたのだが、Jは元々ドラマーで、自分のやりたいスタイルを演奏する為にギター、ボーカルに転向した男。結果、レコーディングならドラムも自分で叩いた方が早い、ということで大半の曲のドラムをJが叩いている(マーフもこれで嫌になったのかこの後に脱退している)。
結果、ダイナソーJr.のアルバムながら実質Jのソロアルバムという本作が生み出されたわけである(ちなみにJのドラムはデイヴ・グロール加入前のニルヴァーナから参加を打診された腕前。実は筆者も少々ドラムをかじっているのだが、これもJの影響大。最後のライブインフォに記載の3/25(土)のライブではソロと別にバンドのドラマーとしても出演するので是非お気軽におこし願いたい)。
さて、そんな本作、ダイナソーJr.の代表作として扱われることが多いのだが、前評判を聞いてからこのアルバムで初めてダイナソーJr.を聴いた人は少し面食らうかもしれない(筆者がまさにそうだった)。
彼らのパブリックイメージは冒頭に述べたとおり轟音ファズギターが鳴り響くギターロックバンド。
だが、このアルバム、ほぼ全曲でアコースティックギターが、それも大きなミックスバランスで鳴っているのである。
確かにファズギターはイメージ通り鳴っている。だが、それとほぼ同じ比率でアコースティックギターが鳴っている(曲によってはアズテックカメラのようなネオアコと音像が重なるものも多い)。
これが今回のポイント。
ダイナソーJr.、J・マスシスの根本にはアメリカンフォーク、カントリーミュージックがあるのである。
19年にJのソロアコースティックライブを観た時に確信したのだが、Jのプレイはディストーションサウンドを抜きにすると驚くほどフォーク、カントリー的なフレーバーが入っている(ちなみにこの時のJはギブソンのCF-100EをVOXアンプに挿して、アコースティックとファズギターが入り交じる、一人ダイナソーJr.とでもいうべきプレイを展開しており、「やはりダイナソーJr.はJのバンドなのだな」と確信した夜でもあった)。
J自身はハードコアパンクに影響されたと語っているが、アメリカのロックバンドってのはメタルだろうがハードコアだろうが、どこかアメリカン・ルーツ・ミュージックが根付いており、Jもご多分に漏れず、アメリカン・フォーク、カントリーの音がちゃんと根付いている。
ハードコアからの影響と根っこにあるフォーク、カントリーのメロディセンスの融合体、それがダイナソーJr.であり、J・マスシスであり、私をディストーションギターばかりの世界からアメリカン・ルーツ・ミュージックに導いた、彼らの魅力の本質なのである(90年代のUSインディーシーンはルーツ・ミュージックへの先祖返りといえるバンドが沢山おり、捨てがたい魅力に満ちている)。
そんなダイナソーJr.の魅力が詰まった「Green Mind」。是非一度、アナログで聴いてみて頂きたい(ちなみに、この盤、デラックスエディションで曲が追加されているのだが、アナログ盤で2枚になっているところがミソ。切れ目があることで曲数が多くても区切りが付くのでダレることがない。CDだと流れっぱなしになるから曲が多いとダレるんだ……)
というわけで次回はそんなJもきっと影響されたであろう、フォークロック、カントリーロックの最重要バンドについて書く。
乞うご期待!
【ハウリンメガネ・ライブインフォ】
3月25日(土)
深江橋Ks(大阪府大阪市東成区神路1-5-12 GALAXYビル7F・中央線 深江橋より徒歩3分)
OPEN 12:00
START 13:00
CHARGE ¥2,000(1ドリンク付き)
3月26日(日)
深江橋Ks(大阪府大阪市東成区神路1-5-12 GALAXYビル7F・中央線 深江橋より徒歩3分)
OPEN 12:00
START 13:00
CHARGE ¥2,000(1ドリンク付き)
両公演ともインフォは以下!
https://livecafeks-m.crayonsite.net/