「フリートウッド・マック(以下マック)」
というイギリスの古いバンドをご存知だろうか?
70年代半ばにアメリカ人男女各1人づつが加入し
コレを期に「ポップに生まれ変わったマック」は
世界中で大ブレイクしたのだ。
特にロック史上に名を残す大名盤
「噂」は
今聴いても、とにかく素晴らしく、
Popで、Rockで、スローチューンまで!
本当にバランスの良く取れたアルバムである。
この「マック」の売りは
「個性溢れる3人のボーカリスト」による
これまた「個性溢れる三者三様の楽曲」であった。
この3人こそ、ベーシストの奥方(後に離婚)
「クリスチャン・マクヴィー(Key,vo)」
新加入したアメリカ人カップル(後に破局)
「リンジー・バッキンガム(G,Vo)」
そして、その彼女だった
「スティーヴィー・ニックス(Vo)」
に他ならない。
この3人を後ろで支えるリズム隊が
「ジョン・マクヴィー(B)」
と
「ミック・フリートウッド(dr)」
であり、視覚的にショーでは目立たないものの
素晴らしいリズム・コンビで、
そのサウンド・メイクをグイグイと牽引していた。
このリズム隊を従えて
自由奔放にブルース・ギターをプレイし
その後、移り変わるショー・ビジネスに馴染めず
「うつ病 → 脱退 → 長期入院」
という流れで、シーンから消えた男が居る。
それが、7月25日に亡くなったばかりの
「ピーター・グリーン」という男だ。
筆者は「初期マック」が出したオリジナル盤よりも
チェスで69年に行われた
黒人ブルースマンたち
「ウィリー・ディクソン」
「オーティス・スパン」など
とのセッション音源を推す(写真)。
原題は「Blues Jam st chess」だが
コチラはCBS系のエピックに配給が移り
80年代に出されたオランダ盤だが音も良く、
内容と共に、伸び伸びとした
ピーターのギター演奏が素晴らしい。
とにかく「ピーター・グリーン」と云う人は
ロックに馴染めなかった人物である。
ココでの演奏を聴くと、割とすぐ後に
「うつ病で隠居する」とはマルで思えない。
もちろん数曲で歌ってもいるのだが、
ソレがまた良い味でブルースが宿る!
彼の功績はサンタナで有名な
「Black Magic Woman」
(初期マックの作品)
の作者である・・・
ということであろうが、
あえて私は「この盤」にて追悼したい。
ピーターにとっては
「キャリアのピーク」
でもあり
「一番輝いていた瞬間」
を
「スナップ写真の如く録らえた音」
が、モノクロームに甦る!
そこが「切なくも美しい!」
気づいていただろうか?
当店のカウンター上に
「彼の写真」
を数枚ほど並べて張っていたことを・・・
「初期の六会ジェリーズ」を思い出しながら
彼の音を浴びる。
合掌・・・。
《 編集長「Mash」筆 》