野に撃沈2

多摩地区在住の中年日帰り放浪者。(k10D→k7→k30→)k‐5Ⅱsを忍ばせ、人気のない野山や公園、路地裏を彷徨い歩く

玉原湿原

2010-07-31 | ハイキング
 たんばらラベンダーパークの後、すぐ近くにある玉原湿原に寄ってみた。ここは鹿俣山や獅子ヶ鼻山等の登山口にもなっている。

 一周2時間ほどの探鳥コースと一周30分で回れる湿原コースがあるが、時間がなかったので湿原だけを回ることにした。センターハウスの前の駐車場に車を止めてから歩きだした。


 あまり使われていなさそうな自然環境センターと看板のある建物の所で、右に折れて木道に入っていく。






ナナカマド



 イヌヤマハッカだろうか



 足元にはキツリフネとツリフネソウの両方が咲いている。






 エゾアジサイとノリウツギ






 ヒヨドリバナはこれから




 見晴らしの良い湿原に出た。草原にオレンジ色が点在している。コオニユリのようだ。この花は里で見かけるオニユリと違い、花の数も少なくムカゴもない。









 数は少ないが木道脇にコバギボウシも咲きだしている。




 ギボウシやオオバギボウシに比べて、花も葉も小ぶりで、とりわけ花弁の色が繊細で美しい。



 ひときわ明るく咲いている黄色のたんぽぽのような花は初めて見た。ミズギクでもないようだし、後で図鑑で調べてみるとカセンソウという花にに似ていた。



 玉原湿原は1300m前後の標高の地にあり小尾瀬とも呼ばれる。



 タカトウダイ



 モウセンゴケの小さな花は今が盛りだった。



 尾瀬に比べると標高が低いせいか、キンコウカやミズチドリは既に終わりかかっている。










 春先の花、イチヤクソウがまだ咲き残っている。夏の季節には春の名残と秋の予兆が見られるのが、本来の自然の在りようだ。季節は淀みなく様々な異質なものを混在しながら移り変わっていくのだろう。




 丈高い草に隠れるように咲いているカキランを見つけた。湿原で出会えると無条件で嬉しくなる花の一つだ。わざわざ寄り道したかいがあった。






 カキランは日当たりのよい湿地帯に生えるというひねくれ者の花。名の由来は花弁の柿色から。







 半周した所で休憩がてら、暫く湿原を渡ってくる風に身をさらし、体の熱を鎮めた。僅かに湿り気を含んだ、実に心地よい風だった。

たんばらラベンダーパーク

2010-07-28 | 植物園
 連日の猛暑に耐えきれず高原の涼を求めて、たんばらラベンダーパークを訪ねてきた。


 到着したのは9時半過ぎで、開園後一時間ばかりたった時。涼を求める気持ちは誰しも同じなのか、広い駐車場はすでに一杯になりかかっていた。入園料一人1000円を払って入園。



 入口すぐの彩の丘









 リフトには乗らず、なだらかな遊歩道を歩いて登っていく。

 ニッコウキスゲ




 ヨツバヒヨドリ



 ここにはヤナギランがたくさん植えられている。




 風も穏やかだったので、たくさんの蝶も見られた。

















 レストハウスのある所まで来た。右手のラベンダー畑は遅咲きなのかやっと色づき始めたばかり。




 青一色の中に、サルビアの赤やアナベルの白、あるいは薄紫の色などで一点の演出効果を出している。













 標高およそ1400mとのことで日差しの暑さも気にならず、緩やかに吹きすぎる風が頬に心地よい。









 前回来たのは5,6年以上前になるのだろうか、レストハウスの脇にはドッグランが新しく設けられていた。
 


 大きな樹の下では昼まで一時間以上あるというのに、すでに弁当を広げている人たちもいる。



 木に絡みついたツルアジサイ



 まだ花を咲かせていないヨツバヒヨドリの群落、この花が一斉に咲きだすと渡り蝶のアサギマダラも姿を見せるのだろう。



 虹の畑。本家の富良野の富田ファームのラベンダー畑にはまだまだ及ばない。4年前富良野を訪ねた時の記事がある。















 最奥の展望台から



 2時間ばかりいて昼前には退園したのだが、広い第一駐車場はもう車で満杯になっていて、少し離れた第二駐車場からも続々人が入園してきていた。
 帰りはすぐ近くの玉原湿原に寄った。



 追記;最近ユーチューブで昔の曲を探すのにはまっている。探し出しては自分で聞いて悦に入っているだけなのだが、記憶の迷路をたどるのが楽しくて時間を忘れてしまう。その中から幾つか紹介してみたい。

中山ラビ 「人は少しずつ変わる」 「昔の知恵は今滅びてく

浅川マキ  「夕凪の時」  「こんな風に過ぎていくのなら

 高田渡   「ブラザー軒

 まだまだ沢山あるのですが、きりがないのでこの辺で。

尾瀬~赤田代から三条ノ滝を通り御池へ

2010-07-23 | ハイキング
 <前回からの続き>
富士見田代から、長沢新道を1時間ほど下ると尾瀬が原が見えてきた。



 道の両脇にはヤグルマソウやトリアシショウマが多くみられる



 ニッコウキスゲ越しのヤマオダマキ



 花弁を全開したトキソウ



 左イボタノキ、右オタカラコウ



 森林を抜けると一気に視界が開ける。広々とした風景の中、まっすぐに続く木道を歩いていると、ああ尾瀬が原に来たんだなぁという実感がする。それにしても風もなく日差しがきつい。






 一帯ではキスゲはまだ数えるほどしか咲いていない。



 竜宮十字路



 至仏山



 休まずヨッピ橋に向かう



 白樺が草原の中に点在するこのあたりの風景は、靄が立ち込めるととても幻想的になる。



 カキツバタにヒョウモンチョウ






 コバギボウシもまだ咲きかけ






 ヨッピ橋が近づいてきてキスゲの群生が見られるようになってきた。




 池塘のなかの浮島



 ヨッピ橋



 林間学校の生徒たちがたくさん通り過ぎる。



 前方に東電小屋



 赤田代分岐を過ぎると、嬉しいことにハイカーの数はぐっと少なくなった。この付近はミズチドリが多くみられる。



 左は二弁で咲いていたモウセンゴケの花、右は白っぽいハクサンチドリ



 東電尾瀬橋から下流方向を眺める。この辺りで沼尻から来た川とヨッピ川とが合流し、只見川となって遥か日本海まで流れていく。



 左ヤセウツボ、右はミズトンボソウ



 タカネアオヤギソウを見たのはこのひと株だけだった



 赤田代の元湯山荘で缶ビールを購入し(350mℓ400円)、ここでツアーについていたマイタケ弁当を食べることにした。暫く休憩をしてから小屋で水を補給させてもらい、平滑ノ滝、三条ノ滝方面に向かった。

 10分ほどで平滑ノ滝に到着。以前も思ったのだが、これは滝というよりは早瀬といった方がふさわしい。






 そこから20分かかって三条ノ滝

 展望台は人が多く、写真を数カット撮っただけで引き返した。


 兎田代を抜けたら、渋沢温泉と燧裏林道との分岐を右に折れる。



 沼山峠から大江湿原に抜ける道に比べ、人が少ないせいか道はかなり荒れている。が、奮囲気のある山道を静かに歩けるので寧ろいい。



 燧裏鉄橋



 御池までは天神田代、ノメリ田代、横田代、上田代、御池田代といくつも小さな田代が連続して現れ、長い歩行で疲れ切った体を癒してくれる。









 御池に着いたのは13時40分ごろ。予定より一時間ほど早く着いた。途中ひねった左足も痛みが悪化せず何とか持ってくれた。バスの出発までまだ一時間以上あるので、御池ロッジで日帰り入浴(500円)に入り汗を流すことに決めた。


 帰りのバスは渋滞に巻き込まれ、新宿に着いたのは9時半ごろになっていた。

尾瀬~アヤメ平から三条ノ滝へ

2010-07-21 | ハイキング
  (富士見田代越しの燧ヶ岳)



 尾瀬には何度も行ったことがあるが、まだアヤメ平は訪ねたことがなかった。それと赤田代から三条ノ滝へのルートも行ったのは何と30年以上前の学生時代のことだ。そこから先の燧裏林道は未だ通ったことがない。未見の地への憧れと30数年前の懐かしさとで矢も楯もたまらなくなり、思わず夜行バスの予約(往復弁当着き7100円のツアー)を決めてしまった。


 行程概略;新宿地下大駐車場10時半出発→鳩待峠5時10分到着→アヤメ平6時45分→7時10分富士見田代→8時35分竜宮十字路→9時10分ヨッピ橋→10時15分赤田代、ここで昼食→三条ノ滝11時20分→11時55分三条ノ滝分岐→12時40分天神田代→御池13時50分到着

 総歩数約3万3000歩、出会った人数え切れず、天候に恵まれた運のいいハイキングだった。



 5時過ぎたばかりなのに鳩待峠は結構明るい。にぎやかに準備を終えたハイカーたちは殆どがは山の鼻へと下って行き、私の行くアヤメ平方面は100人に2,3人といったところか。






 ゴゼンタチバナが登りの疲れを癒してくれる。



 ギンリョウソウが至る所に大量発生していた。



 左上からヤグルマソウ、ユキザサ、左下はツクバネソウ(これは懐かしい)、エンレイソウ



 薄暗い林の中の木道歩き、陽はまだ差さない



 左上からコケモモ、チングルマの花柱、左下はキンコウカ、ツルコケモモは初見で嬉しい




 急な登りを登りきった途端、にわかに視界が開けた。横田代に着いたようだ。それまでなかった風が汗の出始めた頬に心地よい。



 点在するアヤメが朝日を浴びて煌めいている。



 うねりながら伸びている木道の両脇では、ワタスゲが金色の光に包まれながら風になびいている。音はしない、話し声もない。こんな人気のない尾瀬は今まで味わったことがない。



 それにしても広い



 緩やかな起伏を繰り返しながら燧ヶ岳に向かっていく






 左下からウラジロヨウラク、オトギリソウ、ツマトリソウ、タテヤマリンドウ



 アサヒラン。花色ははっとするほど鮮烈なのだが、殆ど花弁が開くことはない。派手な衣装に身を包んだ控えめな美人といった所。サワランという別名がある。






 トンボソウに似ている



 今日は、と思わず挨拶しそうになる枯れ木。



 中央やや右寄りに富士山が見えた。





 望遠でみると









 反対側には平ヶ岳等の越後の山々






 この辺が横田代の終わりのようだ、




 中原山(1968m)をこえると緩やかな下りになる。







 笹藪の道を少し登り返して、アヤメ平に来た。



 尾瀬が原ほどの数ではないが池塘も点在する。靄につつまれているのは燧ヶ岳だ。







 池塘を避けるように木道は緩やかに曲線を描いて、登りおりを繰り返しながらゆっくりと下っていく。













 ポツンポツンと人に会うのだが、皆一様に物静かで声に出さず会釈してすれ違う。まるで声を出すことでさざ波を立て、この絶景を崩してしまうのを恐れているかのようにお互いに寡黙だ。











 高層湿原のアヤメ平は広大だが、天はなおいっそう広く、そしてその下を歩き通り過ぎる人間は何とちっぽけな存在なのだろう。



 再び富士が見えた






 







 アヤメ平を抜けて、ガレ場を下っていくと富士見小屋が右手の下方に見えてきた。予定では分岐から富士見小屋と富士見峠までのピストンをするつもりだったのだが、左足首をひねったのが思わしくなかったので、寄らずに先を急ぐことにした。<次回へ>

近所散策~珍しいランを見に行ったこと

2010-07-18 | 野の花
 季節は変わり、昨日から小暑の第三候「鷹乃学習」(たかすなわちわざをならう)へと移り変わった。もうすぐ大暑の夏がやってくる。涼を求め、近くの野川観察園に寄り道をした。

 梅雨明けが近いのか、照りつける日差しは強さを増している。が、空気が乾燥してきているせいか、木陰ははっとするほど涼しく心地よい。



 枯れかかったアジサイの花の上で可愛くにらむ子カマキリ



 アサギマダラの好きなヒヨドリバナも咲きだした



 チダケサシは残念ながら旬を過ぎたようだ



 葉蔭にはサネカズラ、小さな赤い和菓子のような実をつけるのはまだずいぶん先のことだ。



 緑のじゅうたんの中、白く点々と見えるのはハエドクソウの小さな花。名の由来は根の絞り汁から蠅取り紙を作ったことからという。



 この時期、暗い林内ではヤブミョウガが一斉に咲きだす。よく見るときれいな花なのだが、大体は蜘蛛の巣がかけられて見栄えは良くない。今日のは咲きだしたばかりでかなり美人の花だ。



 アキノタムラソウ。学名はSalvia japonicaで、日本のサルビアという意味か



 観察園の小径に沿って珍しくノカンゾウが咲いている。






 こちらは比較的よく見かけるヤブカンゾウ


 夏の光と水を得て丈高く生い茂る夏草の中では、結構目立たない花も咲いている。
メハジキ、益母草(やくもそう)ともいい、漢方としても使われている。



 林床にはヤブランとヒメヤブラン、ムサシアブミ、ホタルブクロ、オカトラノオなどが見られる。







 









 渦巻状の隠れ帯、主は後ろに隠れて窺っていた。
 


 イヌゴマの花、日本全国に自生するとあるが私は植物園以外では見たことが無い。名は実がゴマに似ているが食用には適さないことから。



 木の花はなんといってもこの時期はリョウブが見事だ



 実ほど目だないが良く見るときれいなムラサキシキブの花



 こちらはシロシキブ



 木に蔓が絡まっていてその先に小さな羽根つきの羽根のような花が咲いている。ヒヨドリジョウゴの花だ。



 通勤途中のわずか一時間余りの観察で結構たくさんの花たちに会うことができた。



 日を変えて、再び近くの森に出かけた。ここでは貴重な珍しいランに出会うことができたので、場所は残念ながら明かせない。

 念入りに肌の露出した部分に防虫スプレーをかけてから林内に入る。食べられるものかどうかわからないキノコが多い。


 コナラの幹に樹液を吸いに虫たちが集まっていた。たくさんのカブトムシがいるが殆どはメス。オスは子供たちに採集されてしまったのだろうか



やっとオスを一匹だけ見つけることができた。



 オアカナブンもいる



 これは珍しいタマムシだ。生きているのを見たのは子供の時以来だ。



 
 これは図鑑で調べても分からなかったので、ネットでやっと名前が知ることができたアカホシゴマダラチョウだ。スズメバチとカブトムシの3匹で仲良く?樹液を分け合っている。同じ種だとすぐ争いになるのだが、種が違うとこんな状況をよく見かけるのは何故なんだろう。



 さてお目当てのマヤランとサガミランモドキだが,人に教わって大体の所在地は聞いてあるのだがそれでも探せない。2,30分踏みつけないように注意深く探し回って、やっと足元の笹藪の中に見つけた時は思わず小躍りしてしまった。

 これがマヤラン












 こちらはサガミランモドキ、花期が少し早いのか枯れ始めている株が多かった。



 自然は思っている数倍も奥深く、私には興味が尽きることはない。生きている間どれだけの生き物たちとの出会いがもてるのだろうか。願わくはその喜びの多大なることを。

 「追記」今日は夜行バスで尾瀬を歩いてきます。未見の花や虫たちに出会えたらいいのだが…。