野に撃沈2

多摩地区在住の中年日帰り放浪者。(k10D→k7→k30→)k‐5Ⅱsを忍ばせ、人気のない野山や公園、路地裏を彷徨い歩く

カタクリの咲く御前山

2015-04-29 | 登山

 自生のカタクリに会いたくて、御前山に登ってきた。4月下旬、車で奥多摩湖畔の駐車場に着いたのは午前7時を過ぎたばかり。駐車場に車は4,5台あるだけだった。

 

ダムを反対側にわたる。左手に御前山への登山道がある。

 

頭上でキビタキが囀っている。

 これは100mmのマクロレンズで撮ったもの。慌てて望遠レンズを出したが間に合わなかった。

 

一時間と少しでサス沢山を抜け、さらに30分ほどで稜線にたどり着いた。カタクリが少しずつ見られるようになってきた。シカの食害によりだが数は以前よりかなり少ない。

 これはシカ除けの金網の中に咲くカタクリ。カタクリの群生らしきものが見られたのは保護された柵の中だけ。

 

群生は見られないものの、野生のカタクリはやはり植栽されたものに比べて格段に魅力的だ。まだ蕾の株も目立つ

 

姉さん被り

 

この前登った時には残雪が見られたが、今年は全くない。

日差しを浴びて花弁が少しずつ反り返ってきた。

 

 

 

 山に自生するカタクリの方が色合いが濃いように感じる。

 

 三姉妹

 

 

 

 

 

カタクリを撮りながら急坂を登っていると、いつの間にか惣岳山。バイケイソウの群落が見えてきた。

 

 

 

繊細で透明な感じが何とも言えない

 

標高差900m、今年初めての本格的な(私にとっての)登山は思ったよりきつかった。登り始めから2時間半、やっと頂上に着いた。ここで遅めの朝食。

 

ここからは避難小屋を通り、栃寄沢の都民の森方面に下山する。

途中は比較的ゆったりとした下りなので、春先の花を楽しみながら下ることにしよう。

スミレが数多く見られる。まずはマルバスミレ

 

 スミレには珍しい深く裂けた葉が特徴のエイザンスミレ

 

 

1000mを超えると珍しくなるタチツボスミレ

 

 ピンク色が可愛いヒナスミレは数が少ない。

 

ナガバノスミレサイシン

 

これは白花のナガバノスミレサイシン

 

スミレだけではない。スミレの弟分のジロボウエンゴサク

 

谷間の湿ったところにはヨゴレネコノメ

 

 同じく湿地に咲くツルネコノメソウ

 

葉は美味しそうに見えるが、実は猛毒のハシリドコロ

 

そして清楚なアズマイチゲ

 

シロバナエンレイソウも咲いていた。

 

ウグイスカグラ

 

まだ蕾を持たないルイヨウボタンやユキザサは花を見られるのはもう少し先になりそうだ

 

 

標高800m位まで下ると、とミツバツツジが鮮やかな色を見せていた。

 

 新緑の下、たくさんの野草に出会えた。

 

 結構疲れはしたが、久しぶりの充実した楽しい山旅だった。この辺で。


天上の湿原から日光沢温泉へ下る

2014-08-08 | 登山

 標高2000mを超える湿原は、池の平や妙高の麓の高谷池、苗場山の湿原など幾つか訪ねたことがあるが、私の一番のお気に入りはここ鬼怒沼湿原。規模が大きすぎず、周囲に高い山がなく見晴らしがきくのもいいのだが、立地の不便さから登る人がそんなに多くないのが一番の魅力。

 

 

ワタスゲ

 

風にちぎれて

 

タテヤマリンドウ

 

 

キンコウカ

 

 

青黄と来たので赤のサワラン

 これで信号3色のそろい踏みだ。

 

 

ツルコケモモのピンク色の花

 

イワショウブはまだ蕾

 

鏡面のような金沼

 

池塘の数は百を超える

 

 

 ここではアキアカネよりカオジロトンボの方が多い。。

 

夏は短い繁殖の季節

 

青目のアブ

 

モウセンゴケ

 

 白い花は咲き出したばかり

 

トンボソウのなかま

 

 

頂を雲に隠していた日光白根山が姿を現した。

 

 

 着いた時にはいた先客が下りて行った後、暫く登山客が途絶えた。一人占め状態となったので居心地がよく、昼食も含めて2時間以上も居ついてしまった。

池の上をカラスが飛んできた。

 

 このカラスもまた独り身のようで、何の目的か知らないが周囲をずっとうろうろしていた。

 

 

雲が形を変えて飛び去っていく

 

聞こえるのは微かな気流の音と時折のウグイス、ホトトギスの声

 

昼近くなって奥鬼怒温泉側から数組のグループが登ってきた。そろそろ下山時か

 

 

タマガワホトトギス

ゆっくりと2時間近くかけて山を下りた。その日の宿日光沢温泉に着いたのは午後2時少し前だった。

 

宿の周りに咲いていたヤマアジサイ

 

古びた木造の建物がいい雰囲気の日光沢温泉

 

お風呂は内湯と2種類の露天風呂。上が透明な、下が白濁となっている。

 

 硫黄臭の微かに匂う、ぬるめの温泉はゆっくりつかることができる。

 この日の宿泊客は私を入れて6組だけ。すぐ傍らを流れる清流とカジカガエルの鳴き声を聞きながら何度も露天風呂につかり、登山の汗を流し疲れを癒すことができた。

 この辺で。


大清水峠から天上の湿原を目指して

2014-08-03 | 登山

 先月大清水から尾瀬沼、尾瀬ヶ原、至仏山へと歩いたのだが、一月もたたず再び未明大清水峠に降り立った。今回は尾瀬には向かわず、東側の栃木県境を目指す。

夜行バスを降りたのは4時前、30分位明るくなるのを待って歩き出したのだが、間違えて奥鬼怒スーパー林道に入ってしまった。再び出発点に戻ったのは6時過ぎ。辺りはもうすっかり明るくなっていた。

大清水小屋の前から山道に入っていく。

 

沢に沿って登っていく

 

30分ほど歩いたところで根羽沢鉱山跡に差し掛かった。昭和40年代ごろに閉山された金鉱の跡で、鉱石マニアには結構知られているところのようだ。

 

ずり山のあと

 

そこからすぐに湯ノ沢出合。

 

 

 沢を左側に高巻くように登っていく。丸太を刻んだ橋を渡ったところで、沢と別れを告げる。

 

タマゴタケは食菌だが、毒を持つベニテング茸と似ている。

 

これは食べられそうもない

 

沢の音が途絶えた辺りから急登が始まった。

 

 

 出合から1時間20分、やっと展望が開ける稜線に出た。

 

標高1800mぐらいまで登っただろうか。ツルリンドウ

 

咲き残りのゴゼンタチバナ

 

厳しい冬を想像させるデッドツリーが、碧空を突き刺す。

 

 

崖の割れ目に生えたギンリョウソウが仏像のように見えた。

 

イワハゼ、別名アカモノともいう。

 

 さらに一時間半、いい加減急な登りにうんざりとした頃、やっと物見山の頂上らしきところに着いた。

 頂上に標識らしきものはなく、3本の木に山名がくくりつけられているだけ。見晴らしも全くきかない。

 

 護摩札が木の根元に備えてあった。

 

物見山からは20分ほど下って分岐へ。左は鬼怒沼山の頂上を通って尾瀬沼までのハードなコースだ。右に折れて鬼怒沼の湿原へ。

 

オオシラビソの森が突然途切れ、木道と湿原が現れた。

 

一か月前尾瀬ヶ原で見頃だったワタスゲが、今ここで再び最盛期の姿に会えた。鬼怒沼湿原の標高は2000m、尾瀬ヶ原に比べ標高が500mほど高いせいだろうか。

 

 

 こちらが先ほど登ってきた物見山。澄んだ青空が綺麗だ。

 

反対側の小さに起伏が鬼怒沼山

 

 

点在する池塘の上をトンボとともに涼風が吹きすぎていく。

 

木道がずっと天上まで続いている。

 

湿原には大小10数個の池沼があるが、ここが最大の金沼。右にそびえるピラミダルな山が日光白根山だ。

 

 

 今回はこの辺で。


梅雨時の尾瀬を歩く4

2014-07-09 | 登山

 タカネシオガマとホソバヒナウスユキソウの豪華なツーショット

 

 7月1日は至仏登山の解禁日。山の鼻から登り始めたのは8時少し前。やや遅い時間だが、それでも山開きの日とあって登山者は結構多かった。

登山道入り口、看板には登り専用と書いてある。

 

残雪の残るこの山では春を知らせる花タムシバも今頃咲く

 

出会いを期待していたクモイイカリソウ

 

 赤紫色の縁取りをした葉が豪雪地帯に生きる厳しさを物語っている。

 

ミヤマダイモンジソウは繊細な花だ。

 

 30分ほど登ったら森林限界地点を過ぎた。振り返ると尾瀬ヶ原が眼下に広がる。

 

 やっと頂を見せた燧ケ岳

 

一時間登ってきた。マルバヘビノボラズに出会えた。面白い名前は葉や枝にある棘からつけられた。名前と異なり、枝先に咲く黄色い花は可愛らしい。

 

随分と登ってきた。辺りにもう背の高い木はなくなった。真っ赤なハイマツの新芽が目を奪う。

 

岩の割れ目から顔を覗かせているのはユキワリソウ

 ピンク色をしたハート形の花弁が可愛らしい。

 

 

 オゼヌマタイゲキ、オゼコウホネに続いて尾瀬の名のついた3番目の花に出会えた。ユリ科のオゼソウ、これも蛇紋岩残存植物の一つ。

 

 花は地味なので知らない人は目もくれず素通りしていく。足元に咲いているのがオゼソウですと言いたくなるのだが。おせっかいと思われるのも癪なので言わない。

 草丈は10~20cmほど、黄緑色の可愛らしい花をたくさんつける。

 

キバナノコマノツメは名前にスミレのつかない数少ないスミレ。ここに咲くのは正確にはジョウエツキバナノコマノツメといって、葉が少し厚く毛がほとんどないのが特徴らしい。

 

 

 

チングルマの群生。尾瀬沼や尾瀬ヶ原ではすでに花を終えていたが、2000m近くのこの辺では花がちょうど見ごろを迎えていた。

 

 ハクサンイチゲも鉱山ではよく見かける花。

 特徴となっている白い花びらは実は萼片。

 

 

頂上直下の高天ヶ原まで登ってきた。ここは高山植物のお花畑で有名なところだが、残雪の見られるこの時期はまだ花の数は少ない。

 

特徴のあるデッドツリー。怪獣が頭を抱えているように見えるのは私だけか……。

 

やっと待望のホソバヒナウスユキソウに出会えた。

 

 エーデルワイスで知られるウスユキソウ属は世界で30種。ホソバヒナウスユキソウはここ至仏山と谷川岳でしか見られない。

 

 

 

まだ花をつけていたショウジョウバカマ

 

足元をカエルが逃げて行った。カエルの種類までは残念ながら分からない。

 

ミツバオウレンとバイカオウレン

 

 紅いのはコケモモの若芽だろうか

 

こちらはバイカオウレン

 

ジョウシュウアズマギク

 

まもなく頂上、登ってきたばかりの高天ヶ原を見下ろした

 

 ほぼ2時間の登りでやっと頂上。頂上には10人ぐらいの登山者がいる。若い人が多いのはメジャーな尾瀬の山の特徴なのか。

 

 

大して疲れてもいないので5分ほどで休憩し、小至仏山方面へ下る。その際下りで危うく道を間違えそうになった。標識がないので見晴のきかない時には注意が必要のようだ。もっとも山の鼻からの道は登り専用なので、そこを下ると登ってきた登山者に非難がましい注意を受けるので、すぐ間違いには気づかせられるのだが……。

至仏山と小至仏山の間は大岩のごろごろする稜線歩き。

白い花はイワハタザオだ。

 

  その墓稜線にでよく見られた花はキバナノコマノツメとユキワリソウ。

 

小至仏山の頂上

 

ミヤマキンバイ

 

雪渓を下る。傾斜は大してなく、短いのでアイゼンは不要。

 

向こうに見えるのは笠ヶ岳。

 初めの計画では笠が岳から湯の小屋に下る予定だった。

 

ミネザクラ

 

少し下ったオヤマ沢田代ではヒメイチゲにも会えた。

 

 

 

下山するにつれ天気も次第に良くなり、 燧ケ岳が全容を見せた。

 

咲き残っていたシラネアオイ

 

 標高を下げるにつれてユキザサやマイヅルソウ、ツクバネソウなどが足元にみられるようになってきた。

 

 

 

オヤマ沢田代からは小一時間で鳩待峠に到着。午後からは雨の予報だったが、嬉しいことに外れ予定より一時間以上早くぴーかんの鳩待峠に着くことが出来た。

 

いつもそうなのだが、今回も充実した山行だった。感謝。

 この辺で。

 

 

 


笠取山に咲く木の花

2014-06-29 | 登山

 梅雨の合間を縫って笠取山に遊んできた。天気予報では何とか午後3時ぐらいまで雨はなさそうだったが、そうは上手くいかず下山途中に激しい雨に降られた。

登山口は作場平。着いたのは出が遅かったので9時半過ぎ、車が一台だけ停められていた。

 

この時期、あらかた春の花は終わり、夏の高山植物はまだなので見られる花は少ない。

林道の崖に咲いていたヤマオダマキ

 

やっと花穂が白くなってきたフタリシズカ

 

お目当てのクリンソウは殆どシカの食害にあっていた。数十株見た中で花が唯一残っていたのはこの株だけ。

 

ツツジが終わったこの時期は白い山の花が多く見られるようだ。

この大木はハクウンボクのようだ。

 

ツルアジサイ

 

甘い香りを降らしているのはハリエンジュの花

 

ノイバラも咲いている

 

里ではとうに咲き終わったコゴメツツジも咲き出したばかりだ。

 

とりわけ旬を迎えていたのはオオバアサガラの花。

 

 

 オオバアサガラはエゴノキの仲間。6月に山地の林道沿いによく咲いている。

 美しい花を咲かすがエゴノキやハクウンボクと違って公園などで見かけることは少ない。

 

 白い花の中では一際目立つタニウツギ

 

これはコウゾの花だろうか

 

途中幾つもの小沢を越えていく

 

登り始めて一時間ほどでヤブ沢峠

 

途中日が差すときもあったが、ここに来てガスが出てきたようだ。不意に鹿が一頭左手の崖から出てきて、右下カラマツ林の中に入っていった。

 

笠取り小屋の前では二人組の登山者が早めの昼食をとっていた。

 

どうも天候が崩れそうなので、休みを取らず先を急ぐことにした。山頂直下の高原、晴れていれば気持ちがいい高原なのだが……。

 

 分水嶺が見えてきた。

 

ここから左に折れると頂上までの急登が始まる。

 

 

周囲の峰々はすっかりガスに覆われてしまった。

 

 ここの登りではキバナノコマノツメが見られるのだが、今回は少し遅かったようだ。

 唯一見つけた枯れかけたコマノツメ

 

 あっという間に頂上到着。

 山頂には人はおらず、ゆっくりしたかったのだが麓からガスが登ってくる。休みを取らずそのまま一気に下山することに決めた。

 

山頂付近に咲くシャクナゲの花も期待の一つだったが、6月下旬では少し遅かったようだ。

 

サラサドウダンはちょうど見ごろだった。

 

 より赤みの濃いこちらはチチブドウダンでいいのか

 

 

 頻りに近くを鳴きながら飛びまわっているのはルリビタキのようだ

 

そのまま水干まで下りてここで昼食とした。

 

下山時は一休坂経由でおりた。ミヤママタタビが至る所で花をつけていた。

 

 

ちょっと食べられそうな茸

 

カエデの花

 

熟し始めたヤマザクラの実

 

一時前に雷が鳴って暫くしたら雨が降りだした。用意したカッパを着て、登山口に戻ったのは2時少し前。期待外れのこともあったが、今回も静かな山行を楽しむことが出来たことに感謝。