続く中国株の低迷 中国が必要とするビジョンとは 【Weekly Watch国際政治】
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(1)中国株低迷 権力を維持するために共産党はどこまでやる?
株価を支えようとする中国政府の介入もあり、3週間ほど安定していた中国株式市場だが、このほど再び下落を始めた。27日、上海株式市場は8.48%下落し、一日の下落幅としては2007年以来の出来事となったことを、各紙が報じている。
英ガーディアン紙によると、中国政府は「株を直接買い上げることで市場を支える」とし、株価を安定させようとしている。しかし同紙によると、株価の下落は、中国の実態経済の弱体化や、「中国政府が株価の低迷に対応しきれない」という不信感から来ているという。
実際、今回の株価低迷だけでなく、最近の経済指数も、中国経済が失速していることを暗示している。
中国共産党政府は国民に経済成長を約束することで、自分たちの権力を正当化してきた。
言いかえれば、共産党にとって経済成長や、中国国民の命や繁栄も、自分たちの権力を維持するための道具にすぎないということだ。約束を果たせなくなった共産党は、権力にしがみつくために、国民を力で押さえつけるだろう。
日本は、中国の覇権主義に対して国防体制を整えるとともに、「中国国民が本当の繁栄と幸福を享受するために、何が必要か」というビジョンを提示し、思想的な戦いも進めていくべきである。
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(2)TPP交渉が終盤へ アジアの平和を守るための協定
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉が27日から31日にかけてハワイで開かれていることを、欧米各紙が報じている。順調に進めば、8月には最終的な合意が見られるかもしれない。
アジア太平洋地域に面する12カ国が貿易交渉を続けており、さらに4カ国が参加に興味を示している。関係国は世界のGDPの約40%を担い、もし可決すれば、史上最大の貿易協定になると言われている。
現在続いている交渉では、日本の農業関税の撤廃、カナダの鶏肉や乳製品の輸入規制、そしてアメリカの自動車部品に対する関税など、市場開放・貿易自由化に関する問題に焦点が当てられている。
しかし、TPPが目指すものは貿易の自由化だけではない。知的財産の侵害や、為替操作で輸出業を有利に運ぶなどといった行為を防ぐために、共通のルールを設けようとしているのだ。そのため、知的財産権を侵害し、中央政府が人民元の価値を決めている中国などは、参加が難しいとされている。
こうした点から考えると、TPPは、アジアインフラ投資銀行(AIIB)や「一帯一路」など、中国が広げようとしている中国型経済圏に対抗するものでもあるとともに、中国包囲網でもある。
TPP交渉が合意に達すれば、アジアの平和を守るための一石を投じることとなるだろう。
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(3)米原油生産量の下落が始まる? シェール革命の夢が終わる
アメリカの原油生産量が近未来に縮小し始めるであろうことを、オンライン紙オイルプライスが報じている。
ここ数年、アメリカの原油生産量は急激に上昇していたが、これはシェールオイルの採掘によるところが大きい。シェールオイル採掘とは、地中に眠る頁岩から石油を取り出すことだが、地中数キロまで掘った後、さらに横掘りをしなくてはならないため、コストがかさむ。昨年の後半から、原油価格が暴落した影響で、シェール企業が危機に陥り、新しい油田の採掘を見送る企業が相次いだ。
今のところは、価格暴落の後も、アメリカでシェール関係の原油生産量が上がり続けているが、これはシェール企業の多くが、大量の油田を事前に掘っていたからである。
だが、それも終わりつつある。一時的にごまかすことはできても、採算の採れない事業は長続きしない。
今、世界が必要としているのはシェール革命ではなく、石油に代わって世界を潤すことができるエネルギー革命だ。
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2015年3月号記事 シェール開発金融に波及するリスク - 原油価格暴落 - The Liberty Opinion 2
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