経済好調でも貿易収支赤字を拡大する「原発の停止」[HRPニュースファイル828]
◆原発停止による貿易収支赤字の拡大
11月20日に発表された10月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、1兆907億円の赤字となりました。
赤字額は比較できる1979年以降で3番目の大きさとなり、赤字が16ヶ月連続で過去最長を更新しました(11/20 朝日夕刊2面、11/20日経夕刊1面)。
アメリカ向けの自動車を中心に好調で、輸出額は伸びているにも関わらず、なぜそれ以上に輸入額が増えているのか。
その理由は、「燃料輸入」の増加です。原子力発電所の停止により、液化天然ガスや原油など火力発電に必要な燃料需要が増加しており、さらに円安の影響で、輸入額が拡大しているのです。
日本は、対外直接投資や証券投資の収益である所得収支が大きいため、貿易収支が赤字となっても、今のところ経常収支は黒字です。
経常黒字の積み重なった結果、日本は、世界一の対外純資産は296兆円を保有しています。
これは、日本が世界一のお金持ち国であり、日本がすぐに破綻するハズがないといえる論拠の一つですが、原子力発電所の停止がさらに続き、貿易収支赤字が拡大することは日本経済にとっても悪影響となります。
来年4月には、消費税が8%に増税される予定となっていますが、燃料代もさらに重なるとなれば、消費マインドが冷え込み、購買意欲が減退し、企業の売上に直撃します。
それ以外にも、電力の高コスト化、不安定化は、工場など、企業の設備投資の意欲も冷え込ませることに繋がります。
日本経済が縮小すれば、税収も減少します。増税するにもかかわらず、財政はいつまでたっても健全化しないという状況に陥りかねません。
原子力発電所の再稼動は、日本経済をさらに活性化するためにも不可欠なのです。
◆原発を推進していた小泉元首相
小泉元首相は、「政府は、原発ゼロの方針を出すべき」と主張しておられますが、首相在任時の判断を変えた経緯をはっきりと述べるべきではないでしょうか。
2005年10月に「原子力発電は基幹電源として着実に推進していく」という原子力政策の基本方針を定め、そのアクションプランとして「原子力立国計画」2006年6月に策定されました。これらを推進したのは、小泉首相在任時でした。
さらに12日、日本記者クラブの記者会見では、「政治で一番大事なのは方針を出すこと。そうすれば必ず知恵が出てくる」と発言し、環境技術をリードする日本のハイブリッド車の可能性について言及しておられました。
しかし自動車のエネルギー消費割合は、最終エネルギー消費内の約14%であり、電力問題の本質的な解決に繋がりません(経済産業省エネルギー資源庁http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2011energyhtml/2-1-2.html)。
1973年の石油ショックを機に、代替エネルギーの開発する目的で1974年にサンシャイン計画が打ち出されました。
当初は、国内総エネルギーの20%を新技術によって充足することを目指していましたが、大きな成果は出ませんでした。
そうした中、日本のエネルギー供給体制を安定的なものとするために、原子力発電所の建設が進められてきた背景があります。
首相在任時と判断を変えた理由や、石油ショックを機に原子力発電が推進されてきた背景について何ら触れることなく、原発ゼロというのは、あまりに強引といえます。
◆放射性廃棄物の最終処分場の決定へ
20日、経済産業省の作業部会で、放射性廃棄物の最終処分場の選定について、国が主導する方針が表明されました。長年の課題であった、最終処分場についての方針が示されたという意味で、評価できます。
「原発ゼロ」を求める小泉元首相を牽制すると同時に、これを逆手にとって、放射性廃棄物の最終処分場の選定も進めることで、原子力発電にまつわる長年の課題を解決し、原子力発電を活用しやすい環境を整え、日本経済をさらに成長させるチャンスとするべきです。
(HS政経塾部長兼政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ)
◆原発停止による貿易収支赤字の拡大
11月20日に発表された10月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、1兆907億円の赤字となりました。
赤字額は比較できる1979年以降で3番目の大きさとなり、赤字が16ヶ月連続で過去最長を更新しました(11/20 朝日夕刊2面、11/20日経夕刊1面)。
アメリカ向けの自動車を中心に好調で、輸出額は伸びているにも関わらず、なぜそれ以上に輸入額が増えているのか。
その理由は、「燃料輸入」の増加です。原子力発電所の停止により、液化天然ガスや原油など火力発電に必要な燃料需要が増加しており、さらに円安の影響で、輸入額が拡大しているのです。
日本は、対外直接投資や証券投資の収益である所得収支が大きいため、貿易収支が赤字となっても、今のところ経常収支は黒字です。
経常黒字の積み重なった結果、日本は、世界一の対外純資産は296兆円を保有しています。
これは、日本が世界一のお金持ち国であり、日本がすぐに破綻するハズがないといえる論拠の一つですが、原子力発電所の停止がさらに続き、貿易収支赤字が拡大することは日本経済にとっても悪影響となります。
来年4月には、消費税が8%に増税される予定となっていますが、燃料代もさらに重なるとなれば、消費マインドが冷え込み、購買意欲が減退し、企業の売上に直撃します。
それ以外にも、電力の高コスト化、不安定化は、工場など、企業の設備投資の意欲も冷え込ませることに繋がります。
日本経済が縮小すれば、税収も減少します。増税するにもかかわらず、財政はいつまでたっても健全化しないという状況に陥りかねません。
原子力発電所の再稼動は、日本経済をさらに活性化するためにも不可欠なのです。
◆原発を推進していた小泉元首相
小泉元首相は、「政府は、原発ゼロの方針を出すべき」と主張しておられますが、首相在任時の判断を変えた経緯をはっきりと述べるべきではないでしょうか。
2005年10月に「原子力発電は基幹電源として着実に推進していく」という原子力政策の基本方針を定め、そのアクションプランとして「原子力立国計画」2006年6月に策定されました。これらを推進したのは、小泉首相在任時でした。
さらに12日、日本記者クラブの記者会見では、「政治で一番大事なのは方針を出すこと。そうすれば必ず知恵が出てくる」と発言し、環境技術をリードする日本のハイブリッド車の可能性について言及しておられました。
しかし自動車のエネルギー消費割合は、最終エネルギー消費内の約14%であり、電力問題の本質的な解決に繋がりません(経済産業省エネルギー資源庁http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2011energyhtml/2-1-2.html)。
1973年の石油ショックを機に、代替エネルギーの開発する目的で1974年にサンシャイン計画が打ち出されました。
当初は、国内総エネルギーの20%を新技術によって充足することを目指していましたが、大きな成果は出ませんでした。
そうした中、日本のエネルギー供給体制を安定的なものとするために、原子力発電所の建設が進められてきた背景があります。
首相在任時と判断を変えた理由や、石油ショックを機に原子力発電が推進されてきた背景について何ら触れることなく、原発ゼロというのは、あまりに強引といえます。
◆放射性廃棄物の最終処分場の決定へ
20日、経済産業省の作業部会で、放射性廃棄物の最終処分場の選定について、国が主導する方針が表明されました。長年の課題であった、最終処分場についての方針が示されたという意味で、評価できます。
「原発ゼロ」を求める小泉元首相を牽制すると同時に、これを逆手にとって、放射性廃棄物の最終処分場の選定も進めることで、原子力発電にまつわる長年の課題を解決し、原子力発電を活用しやすい環境を整え、日本経済をさらに成長させるチャンスとするべきです。
(HS政経塾部長兼政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ)