ビタミンDは、食物から摂るほかに、日光を浴びると身体の中でもつくりだす
ことができるビタミンです。
小腸や腎臓でカルシウムの吸収を促進する働きと、それに伴い血液中の
カルシウム濃度を保ち、丈夫な骨をつくる働きがあります。
ビタミンDが不足すると、骨や歯の形成がうまくいかなくなり、子供では
くる病、成人では骨軟化症などがおこることが知られています。
高齢化社会を迎えるにあたり、骨粗鬆症の人が増えてきています。
若いうちからビタミンDとカルシウムを十分に摂ることに加え、適度な
日光浴と運動を心がけることで、骨粗鬆症予防に役立つと言われています。
そして、近年、ビタミンDは、「がん」の発生率や死亡率にも影響する
ことが指摘されています。
事の発端は、1980年代に報告された「紫外線をよく浴びる地域では
大腸癌の死亡率が少ない」という疫学研究にまでさかのぼります。
要点をまとめると
紫外線を浴びる
↓
体の中でビタミンDが生成される
↓
ビタミンDが「がん予防」に働く
という論理展開になります。
そして、それを裏付けるような観察研究が、いろいろな種類のがんについて
報告されるようになりました。
闇雲にビタミンDのサプリメントを補充することは推奨されず、まずは、
バランスのとれた食事からビタミンDをきちんと摂取することが大切に
なると理解して下さい。
(2014年6月25日 朝日新聞)