永子の窓

趣味の世界

蜻蛉日記を読んできて(194)

2017年05月30日 | Weblog
蜻蛉日記 下巻(194) 2017.5.30

「かくて月果てぬれば、はるかになりはてぬるに思ひ倦じぬるにやあらん、音なうて月たちぬ。
四日に、雨いといたう降るほどに、助の本に、『雨間侍らば立ち寄らせ給へ。きこえさすべきことなんある。上には、<身の宿世の思ひ知られ侍りて、きこえさせず>ととり申させ給へ』とあり。かくのみ呼びつつは、何事といふこともなくて、かはぶれつつぞかへしける。」

◆◆こうして右馬頭が当初結婚を予定していた四月が終わってしまい、結婚がはるか先の八月になってしまったことに、うんざりしたのであろうか、全く訪問もなく五月になってしまいました。その四日の雨が強く降るときに、助のもとに、「雨の晴れ間がありましたら、お立ち寄りください。申し上げねばならないことがあります。母上様には、「わが身の前世からの因縁のほどが思い知らされまして、何も申し上げません」と、よろしくお伝え下さいませ。と言ってきました。こんな具合にいつも助を呼びつけては、格別これということもなく、とりとめのないことを言うばかりで帰すのでした。◆◆