8月21日にアウェーで行われた2022年明治安田生命J2リーグ第32節東京ヴェルディ戦ですが、試合結果は0対0の引き分けに終わりました。
☆注目三平選手先発復帰&松本選手とマンシャ選手
前節の千葉戦からヴァンフォーレは先発メンバーを2人変更。攻守のバランスを取ることに長けている石川選手に代わり松本選手、ウィリアン・リラ選手に代わりここ最近好調を維持していた三平選手がピッチに入ります。松本選手には持ち前の高い攻撃性能をボランチの位置で発揮するために、チームとしてポゼッションし持ち上がった後に仕掛ける力を期待されていたと思います。そして三平選手にはリラ選手のときにはあまりみられないシャドーの選手たちと連携しながら状況打開していく力と、クロスボールにピンポイントでヘディングで合わせて得点を挙げる力に注目されていたと思います。そして前節の千葉戦で衝撃のJリーグデビューを飾ったエドゥアルド・マンシャ選手は2試合連続の先発出場。最近のヴァンフォーレに足りていなかったディフェンスの高さを一手に担う存在として、千葉戦の活躍がフロックではないことを証明するために引き続きハイパフォーマンスをみせられるか注目されていました。
☆中盤の攻防避け、ロングフィードで勝負
ヴァンフォーレはこれまでのように細かなパスを繋ぎながら攻撃を組み立てていくと思われたのですが、試合が始まるとそのような傾向は少なく違う攻撃手段で仕掛けていきます。その手段とはヴァンフォーレが後方でボールを持つとロングフィードで相手DFの裏のスペースにシンプルに放り込み、三平選手や鳥海選手らがそこに走り込んで攻撃の起点を作る展開を多用します。大半のロングフィードは流れたり相手のDFに対応されたりと繋がらないことが多かったのですが、それをやり続けることでボールを拾える回数も増えてきて、前線のスペースでボールをキープし味方選手の上がりを待つような攻撃展開ができるようになります。対戦相手の東京Vは中盤のポジションにテクニック力のある選手が揃っているので、まともにパス回しで中盤の攻防を挑むよりはその中盤を省略してロングフィードで一気に前線に送る手段は効果的だったと思います。
☆間延びする陣形に負担がかかる中盤の守備
序盤からロングフィード主体の攻撃にチャレンジしていてもなかなかゴールを奪えないヴァンフォーレ。スペースは効果的に突いていくことができてきましたが、そのロングフィード主体の攻撃の代償としてDFからFWまでの距離感が長くなり、陣形が間延びしている状態に陥ってしまいます。そしてロングフィードを送る攻撃は細かなパスを繋ぐより成功すれば1つのキックで一気に決定機が作れますが、やはり出し手と受け手のタイミングやロングフィードの精度によってパスがピンポイントで通る確率は低く、相手にクリアされたりこぼれ球を拾われて反撃を受けるケースが多々出てきます。相手の反撃を受けたときに陣形が間延びしていると中盤のところどころにスペースが生まれて相手に好き放題に中盤のエリアを使われてしまうのが難点で、そこをカバーするために山田選手や松本選手&荒木選手や関口選手のウイングバックも含め、彼らが広い範囲を精力的にディフェンスに動いていた印象がありますね。陣形が間延びしていた影響で彼らの守備負担は相当なものだったと思います。
☆単発な攻撃&マンシャ選手負傷退場
人数をかけて攻撃する攻撃手段と比べ、ロングボールで裏を抜け出す攻撃は抜け出した前線の選手が単独でシュートを狙っていくケースが多く、相手の守備陣もディフェンスの的を絞りやすい特徴があります。今回はそこがゴールが決められなかったポイントと言えます。相手に寄せられGKにシュートコースを切ったポジショニングをとられると途端にゴールに流し込むことが難しくなり、この日のヴァンフォーレはトータルでシュート16本を放ちましたが、可能性を感じるシュートはほんのわずかな印象でした。一気にゴール前に迫れる攻撃の先にはシュートする選手の能力の高さが必要となってくるので、個の力で状況打開するスーパーな選手がいない以上、難しい仕掛けになっていたことは間違いないと思いますね。そして気がかりなのがマンシャ選手の負傷交代。彼は交代する数分前から足の異常を感じており、ピッチに座っては立ち上がってプレーを続けていました。しかし後半27分に完全にプレー続行不可能となり野澤陸選手と交代。ここ2試合守備面で圧倒的な存在感をみせていただけにとても心配な交代となってしまいました。ケガの程度が軽く済むことを願いたいですね。
☆イゴール選手を残す交代策
0対0のまま試合時間が経過し、ヴァンフォーレは勝ち越しを狙うために最後の交代カードを切ります。それはフォゲッチ選手と飯島選手の2枚替え。もちろん彼らを悪く言うつもりもないし良い選手だと思うのですが、サイドで存在感を示せる選手や小柄で相手の守備網に潜り込めるタイプの選手を使うのではなく、分かりやすく正面突破からゴールを狙えるFWの選手を最後のカードとして使ってほしかったのが本音。ベンチにはこの試合6人のフィールドプレーヤーと1人のGKが準備していましたが、5人の交代枠から外れフィールドプレーヤーで唯一使われなかったのがイゴール選手。彼は8月6日の途中加入でシーズン終了までの短い在籍期間で結果を出そうと意気揚々とベンチで準備していたと思います。しかも0対0と膠着した試合展開で一番ゴールが求められている状況でFWの選手として出場できなかったショックは計り知れないでしょう。個人的にはイゴール選手のような士気が高く突破力という分かりやすい武器を持つ選手に最後の攻撃を託したかったですね。
☆引き分けに終わった要因は?
この試合引き分けに終わった要因として、前半にあったたくさんのCKのチャンスを満足に活かせなかったことが第一に挙げられると思います。ヴァンフォーレは前半からCKの機会を得ることが多く、その数は前半だけで7本。しかも左CKが多かったので同じキッカー&同じゴール前のポジショニングで何本も蹴っているうちにタイミングが合わせやすくなっていたと思います。しかしその7本のCKはシュートに繋がる効果的な手段とはならず。現代サッカーはセットプレーが一番の得点チャンスと言われています。キッカーの質があまり良くないのか、それともゴール前で競り合う選手の迫力が足りないのか分かりませんが、いずれにしてももったいないと思えるシーンでしたね。
そしてもう一つは間延びした陣形。先ほども言いましたが、ロングフィード主体の攻撃で一気に前線の選手たちと走らせるため、どうしても後ろと前のポジションに距離感が生まれてしまいます。ロングフィードに対して前線の選手は待ち構える状態となり孤立を生む要因に。途中出場したリラ選手は出場序盤は距離感を良い状態に保てていましたが、次第に前線で孤立するようになり個の力で突破することもできなくなっていました。そして攻撃手段が分かりやすく、前線を走った選手がそのままシュートを狙う場面もあり単発で攻撃が終わってしまうケースも多々見受けられました。1人で状況を打開できる能力の高い選手がチームにいたならそれも成立しますが、現在のヴァンフォーレにはスーパーな選手がいないのでこの方法では相手の守備網を切り崩すのはとても困難になります。多くのシュートを放てても得点が決められなかったのはこのような原因があると個人的には思っているので、状況改善のためには単発にならずに複数人で攻めていけるような工夫が今後必要になってくるでしょうね。
しかしこれまでポゼッションサッカー一辺倒だった戦略がロングフィード主体の攻撃に変わったことは評価するべき。相手の特徴に応じて戦い方を変えていく気持ちは大事で、今回はうまくいきませんでしたが思うような結果がなかなか出せない状況でいろいろな挑戦をしていくことは良いことだと思います。かといってこれを境にガラリと戦略を変えていくのではなく今まで積み上げてきたポゼッションサッカーの経験を活かしつつ、勝利のために必要な新たなエッセンスを探し出して必要に応じて違うやり方を加えていってほしいですね。
…この引き分けにより今シーズンのヴァンフォーレの成績は、9勝14分け9敗の勝ち点41となり順位は12位のままとりあえず変わらず。確実に勝ち点1は拾えていますが2試合連続スコアレスドロー&3試合連続引き分け中なので、これから上を目指していくためには勝ち切るチャレンジが求められます。次こそは勝ち点3が積み上げられるように、選手たちには残り試合を全力で戦ってほしいと思います。
2022.08.21 2022明治安田生命J2リーグ 第32節 vs.東京ヴェルディ
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☆注目三平選手先発復帰&松本選手とマンシャ選手
前節の千葉戦からヴァンフォーレは先発メンバーを2人変更。攻守のバランスを取ることに長けている石川選手に代わり松本選手、ウィリアン・リラ選手に代わりここ最近好調を維持していた三平選手がピッチに入ります。松本選手には持ち前の高い攻撃性能をボランチの位置で発揮するために、チームとしてポゼッションし持ち上がった後に仕掛ける力を期待されていたと思います。そして三平選手にはリラ選手のときにはあまりみられないシャドーの選手たちと連携しながら状況打開していく力と、クロスボールにピンポイントでヘディングで合わせて得点を挙げる力に注目されていたと思います。そして前節の千葉戦で衝撃のJリーグデビューを飾ったエドゥアルド・マンシャ選手は2試合連続の先発出場。最近のヴァンフォーレに足りていなかったディフェンスの高さを一手に担う存在として、千葉戦の活躍がフロックではないことを証明するために引き続きハイパフォーマンスをみせられるか注目されていました。
☆中盤の攻防避け、ロングフィードで勝負
ヴァンフォーレはこれまでのように細かなパスを繋ぎながら攻撃を組み立てていくと思われたのですが、試合が始まるとそのような傾向は少なく違う攻撃手段で仕掛けていきます。その手段とはヴァンフォーレが後方でボールを持つとロングフィードで相手DFの裏のスペースにシンプルに放り込み、三平選手や鳥海選手らがそこに走り込んで攻撃の起点を作る展開を多用します。大半のロングフィードは流れたり相手のDFに対応されたりと繋がらないことが多かったのですが、それをやり続けることでボールを拾える回数も増えてきて、前線のスペースでボールをキープし味方選手の上がりを待つような攻撃展開ができるようになります。対戦相手の東京Vは中盤のポジションにテクニック力のある選手が揃っているので、まともにパス回しで中盤の攻防を挑むよりはその中盤を省略してロングフィードで一気に前線に送る手段は効果的だったと思います。
☆間延びする陣形に負担がかかる中盤の守備
序盤からロングフィード主体の攻撃にチャレンジしていてもなかなかゴールを奪えないヴァンフォーレ。スペースは効果的に突いていくことができてきましたが、そのロングフィード主体の攻撃の代償としてDFからFWまでの距離感が長くなり、陣形が間延びしている状態に陥ってしまいます。そしてロングフィードを送る攻撃は細かなパスを繋ぐより成功すれば1つのキックで一気に決定機が作れますが、やはり出し手と受け手のタイミングやロングフィードの精度によってパスがピンポイントで通る確率は低く、相手にクリアされたりこぼれ球を拾われて反撃を受けるケースが多々出てきます。相手の反撃を受けたときに陣形が間延びしていると中盤のところどころにスペースが生まれて相手に好き放題に中盤のエリアを使われてしまうのが難点で、そこをカバーするために山田選手や松本選手&荒木選手や関口選手のウイングバックも含め、彼らが広い範囲を精力的にディフェンスに動いていた印象がありますね。陣形が間延びしていた影響で彼らの守備負担は相当なものだったと思います。
☆単発な攻撃&マンシャ選手負傷退場
人数をかけて攻撃する攻撃手段と比べ、ロングボールで裏を抜け出す攻撃は抜け出した前線の選手が単独でシュートを狙っていくケースが多く、相手の守備陣もディフェンスの的を絞りやすい特徴があります。今回はそこがゴールが決められなかったポイントと言えます。相手に寄せられGKにシュートコースを切ったポジショニングをとられると途端にゴールに流し込むことが難しくなり、この日のヴァンフォーレはトータルでシュート16本を放ちましたが、可能性を感じるシュートはほんのわずかな印象でした。一気にゴール前に迫れる攻撃の先にはシュートする選手の能力の高さが必要となってくるので、個の力で状況打開するスーパーな選手がいない以上、難しい仕掛けになっていたことは間違いないと思いますね。そして気がかりなのがマンシャ選手の負傷交代。彼は交代する数分前から足の異常を感じており、ピッチに座っては立ち上がってプレーを続けていました。しかし後半27分に完全にプレー続行不可能となり野澤陸選手と交代。ここ2試合守備面で圧倒的な存在感をみせていただけにとても心配な交代となってしまいました。ケガの程度が軽く済むことを願いたいですね。
☆イゴール選手を残す交代策
0対0のまま試合時間が経過し、ヴァンフォーレは勝ち越しを狙うために最後の交代カードを切ります。それはフォゲッチ選手と飯島選手の2枚替え。もちろん彼らを悪く言うつもりもないし良い選手だと思うのですが、サイドで存在感を示せる選手や小柄で相手の守備網に潜り込めるタイプの選手を使うのではなく、分かりやすく正面突破からゴールを狙えるFWの選手を最後のカードとして使ってほしかったのが本音。ベンチにはこの試合6人のフィールドプレーヤーと1人のGKが準備していましたが、5人の交代枠から外れフィールドプレーヤーで唯一使われなかったのがイゴール選手。彼は8月6日の途中加入でシーズン終了までの短い在籍期間で結果を出そうと意気揚々とベンチで準備していたと思います。しかも0対0と膠着した試合展開で一番ゴールが求められている状況でFWの選手として出場できなかったショックは計り知れないでしょう。個人的にはイゴール選手のような士気が高く突破力という分かりやすい武器を持つ選手に最後の攻撃を託したかったですね。
☆引き分けに終わった要因は?
この試合引き分けに終わった要因として、前半にあったたくさんのCKのチャンスを満足に活かせなかったことが第一に挙げられると思います。ヴァンフォーレは前半からCKの機会を得ることが多く、その数は前半だけで7本。しかも左CKが多かったので同じキッカー&同じゴール前のポジショニングで何本も蹴っているうちにタイミングが合わせやすくなっていたと思います。しかしその7本のCKはシュートに繋がる効果的な手段とはならず。現代サッカーはセットプレーが一番の得点チャンスと言われています。キッカーの質があまり良くないのか、それともゴール前で競り合う選手の迫力が足りないのか分かりませんが、いずれにしてももったいないと思えるシーンでしたね。
そしてもう一つは間延びした陣形。先ほども言いましたが、ロングフィード主体の攻撃で一気に前線の選手たちと走らせるため、どうしても後ろと前のポジションに距離感が生まれてしまいます。ロングフィードに対して前線の選手は待ち構える状態となり孤立を生む要因に。途中出場したリラ選手は出場序盤は距離感を良い状態に保てていましたが、次第に前線で孤立するようになり個の力で突破することもできなくなっていました。そして攻撃手段が分かりやすく、前線を走った選手がそのままシュートを狙う場面もあり単発で攻撃が終わってしまうケースも多々見受けられました。1人で状況を打開できる能力の高い選手がチームにいたならそれも成立しますが、現在のヴァンフォーレにはスーパーな選手がいないのでこの方法では相手の守備網を切り崩すのはとても困難になります。多くのシュートを放てても得点が決められなかったのはこのような原因があると個人的には思っているので、状況改善のためには単発にならずに複数人で攻めていけるような工夫が今後必要になってくるでしょうね。
しかしこれまでポゼッションサッカー一辺倒だった戦略がロングフィード主体の攻撃に変わったことは評価するべき。相手の特徴に応じて戦い方を変えていく気持ちは大事で、今回はうまくいきませんでしたが思うような結果がなかなか出せない状況でいろいろな挑戦をしていくことは良いことだと思います。かといってこれを境にガラリと戦略を変えていくのではなく今まで積み上げてきたポゼッションサッカーの経験を活かしつつ、勝利のために必要な新たなエッセンスを探し出して必要に応じて違うやり方を加えていってほしいですね。
…この引き分けにより今シーズンのヴァンフォーレの成績は、9勝14分け9敗の勝ち点41となり順位は12位のままとりあえず変わらず。確実に勝ち点1は拾えていますが2試合連続スコアレスドロー&3試合連続引き分け中なので、これから上を目指していくためには勝ち切るチャレンジが求められます。次こそは勝ち点3が積み上げられるように、選手たちには残り試合を全力で戦ってほしいと思います。
2022.08.21 2022明治安田生命J2リーグ 第32節 vs.東京ヴェルディ
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