2月20日にアウェーで行われた2022年明治安田生命J2リーグ開幕戦(第1節)ファジアーノ岡山戦ですが、試合結果は1対4でヴァンフォーレは敗れてしまいました。ヴァンフォーレの得点は前半に挙げた松本選手のゴールでした。
☆大幅メンバー変更
負傷者が出たこととチーム内で新型コロナウイルスの感染が拡大していることで、思うようなメンバーが組めないでいるヴァンフォーレ。ウイングバックを本職としている関口選手をシャドーのポジションで起用し、ベンチに現役大学生の三浦選手や高卒ルーキー大和選手&17歳の内藤選手を入れるなど難しいやりくりを強いられた吉田監督。欠場濃厚と思われた長谷川選手が先発に起用されたことは明るい話題となりましたが、昨シーズンからの継続性を大事にしているチームとは逆の道を行くガラリと雰囲気が変わったチーム構成でしたね。
☆リラ選手と松本選手の強さ発揮
前半35分、ハーフライン付近で相手に激しくプレッシャーをかけに行った松本選手がボールを奪い、素早い攻守の切り替えで右サイドにいたウィリアン・リラ選手にパスを送ります。ボールを受け取ったリラ選手はマークに来た相手を腕で抑えながらドリブルで進んでいき、エリア内で巧みな足技でかわして抜け出すとマイナスのクロスを供給。そこにフリーで走り込んだ松本選手が左足でシュートを押し込み、ヴァンフォーレが幸先良く先制点を挙げることに成功します。この場面で良かったのはリラ選手のドリブルの力強さはもちろんですが、なんといってもピッチ中央付近でボールを奪った松本選手がその流れのまま上がっていきゴールを決めたこと。松本選手の特長でもある積極性と攻撃性が存分に活きた良いシーンだったと思います。
☆守備の不安を露呈する2失点
先制点を奪い盛り上がるヴァンフォーレの選手たち。しかしその喜ぶ隙を虎視眈々と狙っていたのは岡山の選手たちでした。セットプレーのチャンスを獲得すると直接エリア内に上げずにあえてエリア外で起点を作りそこで頭で競り勝ちそのままクロスボールをゴール前に供給すると、最後は中央に走り込んできた川本選手にヘディングで押し込まれてすぐさま同点にします。先制点からわずか1分後という早い時間でヴァンフォーレは同点に追いつかれます。続く前半42分にもセットプレーから相手のロングフィードに対応できずに競り負けると、ポストプレーを行ったチアゴ・アウベス選手が田中選手のゴールをお膳立て。ヴァンフォーレとしたら2点とも似たようなかたちからの失点で、相手にエリア付近で競り負けたときに全員が慌ててしまい、ボールウォッチャーとなって周囲の選手の警戒を見逃してしまったことが失点理由として挙げられます。やはり圧倒的な強さを誇っていたメンデス選手の退団は大きく、くさびとなる相手のパスを跳ね返せない空中戦の物足りなさと少し変化をつけた相手の攻撃に対応できない守備陣の急造ぶりが浮き彫りになるような2つの場面でしたね。先制点を活かせず逆転されてハーフタイムを迎えます。
☆流れを掴みかけた矢先のスーパーゴール
1点を追いかける展開となったヴァンフォーレ。早々に追いつくためにより動きのペースを上げて相手にプレッシャーをかけにいき、ボールを奪って攻勢を仕掛けるなど前半にはあまり見られなかったアグレッシブさを出して試合のペースを掴もうとします。しかしその積極性が逆に仇となってしまいます。後半7分、DFラインを上げて前線に圧力をかけていたヴァンフォーレでしたが、ハーフライン手前でボールを奪われると岡山のチアゴ・アウベス選手は素早くその位置から思い切りロングシュートを狙っていきます。ゴールからかなり前にポジショニングをとっていて不意を突かれたGK河田選手は慌てて戻りますが、河田選手の頭上を越えていったシュートは鮮やかにゴールに吸い込まれていきます。誰もがビックリするような超ロングシュートを決めたチアゴ・アウベス選手。このシーンはなにこれ言わずにチアゴ・アウベス選手を褒めるしかないと思いますね。河田選手が前に出ていると感じていた彼は前半にも狙うシーンがあり、そのチャレンジ精神が実ったかたちとなりました。でももう一度このシュートを決めろと言われてもほぼできないミラクルさもあったため、ヴァンフォーレとしたら仕方ないと割り切ることが必要でした。
☆防いでほしかった4点目
後半11分に右サイドを攻略されたヴァンフォーレは相手のパスワークについていけず、最後はゴール前でチアゴ・アウベス選手に押し込まれて試合を決定づける4失点目。このシーンでもサイドを進んでいた相手選手に注目し過ぎて後ろから入ってくる選手の動きを見逃しています。それでは守備も緩くなるのは当然だと思います。キャンプで洗練したチームからその後メンバーに離脱者が出るごとにその都度改めてチーム編成を行い準備してきたと聞いています。やはり本番までの数日間の準備だとストレートに来る攻撃には耐えられますが、ワンクッション置いた変化をつけた攻撃に対応できる力はまだありませんでしたね。その差がこの4点目に出ていた気がします。
☆長谷川選手の奮闘
後半11分の段階で1対4となり試合状況はかなり厳しいものとなりましたが、チームのなかで特に諦めない強い気持ちを見せたのが長谷川選手でした。ウィリアン・リラ選手と連携して次々と相手エリア付近に侵入し、ドリブルで持ち込んでシュートを放つ積極性を披露。ゴールこそ決められませんでしたが、自分の力でなんとかゴールを決めて流れを変えたいという気持ちがプレーに表れていましたね。3点リードした岡山はその後守備をしっかりと固めて試合を締める戦術を取ってきましたが、長谷川選手の仕掛けにはヒヤッとした場面も多かったと思います。でも個人的には今後の試合に繋げるためにも3点差となった残り34分間で最低でも1点は返してほしかったのが本音ですね。
☆先制しリードを保つプランの崩壊
シャドーに今まで活躍してきた選手ではなく違う選手を起用した(せざるを得なかった)段階で内容は度外視して勝利最優先の気持ちで先制し接戦に持ち込んで最後まで逃げ切りたい試合のプランがあったはずです。先制したまでは理想的でしたが、すぐに同点に追いつかれたことでそのプランをじっくり遂行していこうとする落ち着きが得られなかったのも痛かったですね。守備的に進められる選手が多かった一方で攻撃のアイディアを生み出していくタイプの選手がピッチに少なかったので、サイドをメインに組み立てていた攻撃は半円を描き続けることが多く、中央に勝負していく鋭いパスを選択する回数が少なかったのは気になりました。途中交代で攻撃への燃料を投入しようとしましたが、その効果も十分ではなかったですね。理想としている試合展開に持っていけなかったことが敗因の一つだったと思います。
☆初勝利に向けて
様々な理由により理想のメンバーが組めないハンディはありましたが、それにしても守備で基本的なことができていない印象が強く残ったのが個人的な感想。寄せられない&当たられてもよろけずに耐えるフィジカル&マークの確認など一人一人がやろうと心がけたらしっかり修正できるようなポイントがたくさんあったので、まずはそこの問題を徹底的に潰していく覚悟が必要だと思います。若い選手が多く、シーズンの初戦ということで緊張から本来の力が出せなかったかもしれませんが、この悔しい経験を糧にして次こそは伸び伸びとした良いコンディションで粘り強く戦っていく闘志をピッチ上で発揮してほしいですね。スコア的に大差はつきましたが、シュート数やパス数ではヴァンフォーレが相手を上回っていたことと、三浦選手など将来有望の選手たちがその才能の片鱗をみせてくれたことなどポジティブな面もみられたので、今回の岡山戦よりもさらにアグレッシブな姿勢を次の大分戦ではみせてほしいと思います。次こそは白星を記録しましょう!期待しています!
【公式】ハイライト:ファジアーノ岡山vsヴァンフォーレ甲府 明治安田生命J2リーグ 第1節 2022/2/20
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