早起き鳥 

【未明混沌】今日も必ずお元気で…!

rakuten

父親の目、子供の目

2016年06月01日 04時47分28秒 | 読書







 私がまだ小学生のころ

父親がなにかたいそう厄介な

問題を抱えて苦労しているのが

家で一緒に食事をしていて

わかったことがありました。


母親との会話の中に

「入札」という言葉がよく出てきて、

それがなにかわからぬなりに

それを成功させるために

高血圧を心配しながらも健康を無視して

毎夜遅くまで接待を続けているのが

子供心にもわかっていました。


そしてある日なぜか珍しくも

午後早い時間に父が帰宅していて

私の帰宅を知った父が私を呼び寄せ

二人して陽の高いうちから

風呂に入ったものですが


なにかを感じて私が

「あの入札はどうだっとの?」

「ああ、あれはどうもダメだった。

今日それがわかったんだよ」

「それで早く帰ってきたの?」

父が苦笑いで頷いてみせました。



  「老いてこそ人生」
          石原 慎太郎 著
     







 筆者のお父さんとの

心温まるエピソード

父親の目、子供の目

お互いがお互いを意識しながらも、

ともに本音で話しているのが

よく伝わってくる


子供のいない自分には

なんとも理解できない光景であるが

うらやましくもあり

そういう苦労をせずに済んだ想いもある

いずれにせよ、

子供といっても我が子には

格別の想いがあるのだろう


筆者の父親は真剣に

「入札」がなんのことがわからぬままに

とても大切なことだと察し、

心配していた我が子のことが愛おしく


子供は真摯に自分の知らない

「入札」がどういうものなのか

少し目の前ベールが剥がれた気がしただろうし


たとえ結果がどうであれ、

父が入札の不安から

解放されたのだと悟り安堵


なんとも素敵な親と子供の

触れ合いを感じて心温まる

きっと筆者とその子供達に

も受け継がれていったのだろう



     早起き鳥




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