練金術勝手連

「練金術」のページへようこそ。

※ 練金術(ねりきんじゅつ)とは『週刊金曜日』練馬読者会的やり方という意味です。

● 本日台風接近、投票日和? ●

2009年08月30日 | みんなの日記
    投票しました??!
 台風11号の雨が心配。でも、午後8時に選管により投票会場の入り口が閉じられるまでにすべり込めばOK、投票可能。


(kdak)「政治に関心を持たない国民が悪い。」といわせないためにも、一人でも多くの方が、今後の日本のあり方を主体的に考え、向こう4年間、そして将来の日本の歴史を自らの手で作り出す決意をもって投票されることを願わずにはいられません。
(在日日本人)そう、今日の選択は歴史的選択だっていわれてるけど、おいらもそう思う。歴史に参加できるチャンスなんて一生になんどもあるもんじゃないからね。

■□■ これから投票する人へ □ 出かけるまえの参考資料 ■改■

2009年08月28日 | 壊憲STOP勝手連
   棄権は危険! 勝たせ過ぎも危険!(衆院選)

 直近の情報(朝日新聞8/27付)によれば、民主党の獲得議席が衆議院の絶対多数320議席(3分の2)に達しそうだという… 。
 単独で3分の2議席を占めれば、連立を組む社民党など他党の影響力は低下するかもしれず、自公政権が繰り返した悪夢=参院否決法案の単独再可決=の再来が現実となるかもしれない。

《09衆院選参考リンク》

民主党マニフェスト 世界的に少なすぎる議員数を削減し、世界的に高すぎる政党助成金を増額する
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/125986595.html

「きっこの日記」東京10区
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2009/08/post-2861.html

『週刊金曜日』直前注目情勢など
http://www.kinyobi.co.jp/backnum/antenna/antenna_kiji.php?no=752



   棄権は安全!!  …でもバッテンで意思表示!!(国民審査)

 民主主義の基本として、誰しもガッコで習ったことがある三権分立(司法の独立)。この国で機能していると考える人間がはたしてどれだけいるか。
 憲法が期待する役割を果たさず長期政権に迎合・隷従し、9条などの憲法判断を回避(逃避)し続ける法の番人たる最高(低)裁判所・官僚判事たち…。

 それでも、衆議院の投票と併せて行われる最高裁判事の国民審査は、現行制度上“国民の意思”を伝えるただひとつの道だ。今回の審査対象は、長官を含む15名の最高裁判事のうち、前回の総選挙以後に任命された以下の9名。

        【出身】    【任 命】   【実績の一例】 
 竹崎博允(長官) 裁判官 08/11月麻生内閣 裁判員制度推進(※2)
 那須弘平     弁護士 06/5月 小泉内閣 植草判決(※3)・一票の格差合憲
 涌井紀夫     裁判官 06/10月安倍内閣 一票の格差合憲
 田原睦夫     弁護士 06/11月安倍内閣 植草判決・「君が代」伴奏処分合憲
 近藤崇晴     裁判官 07/5月 安倍内閣 植草判決
 宮川光治     弁護士 08/9月 福田内閣 警察情報公開否定判決
 桜井龍子     行政官 08/9月 福田内閣 中国残留婦人国賠訴訟上告棄却
 竹内行夫     外交官 08/10月麻生内閣 イラク派兵推進(※1)
 金築誠志     裁判官 09年1月 麻生内閣 警察情報公開否定判決



 まず国民審査の留意点を確認してからでかけよう。

  ・特定の裁判官のみ信任したいときは→その者以外の全員に×
  ・投票用紙に何も書かなければ、そのまま信任票になる
  ・判断できない場合は棄権(投票用紙を受け取らないか、用紙を持ち帰る?)
  ・特定の裁判官に×をして、あとは棄権することはできない(→全員に×)
  ・小泉・阿倍・福田・麻生内閣の任命だから…という場合は→全員に×


《09最高裁国民審査参考リンク》

『平和のための国民審査(竹内バッテン)運動』※1
http://liveinpeace.jp/kokuminshinsa.html

裁判員制度を推進する最高裁長官を罷免しよう!※2
http://noconfidence.web.fc2.com/

植草一秀の『知られざる真実』※3
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/

「司法の独立と民主主義を守る国民連絡会議」9人の横顔
http://www.jdla.jp/kokuminshinsa/24kokuminshinsa.pdf

(練金術師)

●● 極右の動きに警戒を ● 読者会で話したこと ●●

2009年08月27日 | 読者会定例会
 8月の練馬読者会には中学校教員の方が初参加。「従軍慰安婦」に関する写真展(三鷹市)に「在日特権を許さない市民の会」(在特会)が押しかけて混乱した現場(下記※参照)を目のあたりにし、ショックだったという報告を受けて議論。

 在特会、田母神など極右勢力による市民運動などへの妨害が行政や警察により野放しにされている現状に対する危機感を共有、その現状にどう立ち向かえばよいか。
 「極右側(在特会=参考など)は、よりどころをもとめてネット集う者や、もともと政治に無関心で、社会や自分自身に不満を抱えている若者に届く言葉で(排外的心情に訴えて)巧みに心をつかんで、“市民運動”として組織化(偽装)しているのではないか。」、「教科書採択・日の丸君が代強制などが進行する東京都の教育極右化現場(学校)においても、こうした歴史認識に批判的な教員が居づらくなったり定年前に相次いで辞めたりする一方で、こうした流れに親和的な若者の教員採用が進んでいる」などの指摘もあり、このような動きに対して、一人一人の市民としてどう立ち向かえばよいかが話し合われた。

 30日に総選挙と同時に行われる最高裁判所裁判官国民審査について、「司法の独立と民主主義を守る国民連絡会議」の今回審査対象の裁判官のプロフィール等がまとめられた資料をもとに、国民審査や裁判官の任命のあり方などについて話し合われた。中でも、裁判員制度推進の中心の一人となった竹崎博允氏(長官)、自衛隊のイラク派遣決定当時の外務事務次官の竹内行夫氏は不信任にしなければならないといったことなどが話し合われた。

 その他、民主党が衆議院の比例区議員定数の削減を主張していることへの批判、戦争体験、日本郵政の労働現場の実態、集団検診の実状(追加説明)などについて議論が交された。時間が足りない中、多岐にわたるテーマを活発に話し合うことができ、大いに実りある会とすることができた。
(kdak)

※各地で繰り返される「在特会」の蛮行(『週刊金曜日』2009年8月22日号4ページ)

「在日特権を許さない市民の会(在特会)」と称した右翼排外主義集団の活動が、各地で目立っている。このうち三鷹市では八月一日から三日まで開かれた「夏休み・親子で平和を考える アジアで何があったの? みて・きいて! お話と『慰安婦』展」に期間中「在特会」や右翼団体が一時は一〇〇人以上も詰めかけた。
 このため会場となった三鷹市の市民協働センター入り口では集会破壊を防ぐため、主催者団体と同センター職員が入場者をチェック。乱入しようとした「在特会」側は「朝鮮人売春婦」「メス豚」などといった口汚い罵声を浴びせ、危険を察知して集会後に一〇人一緒になって帰ろうとする参加者にも突っかかるなど、悪質な威圧行動を繰り返した。
 富山市では八日、従軍「慰安婦」問題をテーマとする映画と講演の集会が市内の会館で開かれたが、市の後援が開催直前に市側の判断で撤回。当日にも「在特会」のメンバー約二〇人が「朝鮮人は半島に帰れ」など書かれたプラカードを持って押しかけたが、混乱はなかった。撤回について同実行委員会側は、「『在特会』が『慰安婦』問題は事実無根だなどと脅して圧力をかけ、安易に屈した結果だ」と抗議している。
成澤宗男・編集部

★★★ 政権交代 ★“風”は本物か ★★★

2009年08月24日 | これだけは言いたい!
 投票日まで1週間を切って、民主党300…自民党100…などという調査やら観測記事がマスゴミ各紙・各局から流れてきます。週刊誌にあっては“自民党小選挙区ほぼ全滅で獲得議席は44”( 週刊現代8/21号 )とまで、センセーショナルに報じています。
 「今度の衆院選挙が4年前の“小泉郵政フィーバー”の裏返しとなるのではないか…、ポピュリズムが横溢するなか「気分で政権交代」…というのだけは願いさげです。」と危惧した通りのなりゆきに戦慄をおぼえます。

 吹いているさなかにいると、その風がどういう風なのかは見えにくい…。けれど、その風がもたらす結果は、時を置かず誰の目にもはっきりと見えるものとなります。
「郵政民営化」ワンフレーズの小泉旋風に乗せられた国民は、格差・貧困や環境負荷の増大に最大利益を見いださざるを得ない新自由主義“改革”により“痛み”を与えられました。その“痛み”がようやく多くの国民の共有感覚・共通認識となってきたいま再び、「政権交代」のワンフレーズに論点が収斂されてしまう。それでよいのでしょうか。
 
 《多様な意見や少数者を尊重する分かち合い社会》、《暴力的でない持続可能な再配分構造》をいかにつくるか、が最大の争点のはずです。ここへ向かって吹く風が本物の風なのです。ひとり勝ちバンドワゴンに乗ることが果たして、そのための制度変更を確実にすることにつながるのでしょうか?
 投票には、小選挙区・比例区のダブルチャンスがあります。“偽装新党”などに惑わされることなく、現少数野党に政権交代後の座席をよりしっかりと確保することが、せめて風を本物にするための担保だとかんがえます。

(イトヤン)

◆ 反戦の視点・その86(つづき)◆

2009年08月23日 | 練馬の里から
オバマ米大統領のプラハ演説をどう読むか─私たちが選択すべき道についてのつづき

●「オバマジョリテイ」?
 ところで8月6日の「平和宣言」で秋葉忠利広島市長はこうのべた。

《今年4月には米国のオバマ大統領がプラハで、「核兵器を使った唯一の国として」、「核兵器のない世界」実現のために努力する「道義的責任」があることを明言しました。核兵器の廃絶は、被爆者のみならず世界の大多数の市民並びに国々の声であり、その声にオバマ大統領が耳を傾けたことは、「廃絶されることにしか意味のない核兵器」の位置付けを確固たるものにしました。
 それに応(こた)えて私たちには、オバマ大統領を支持し、核兵器廃絶のために活動する責任があります。この点を強調するため、世界の多数派である私たち自身を「オバマジョリティー」と呼び、力を合せて2020年までに核兵器の廃絶を実現しようと世界に呼び掛けます。その思いは、世界的評価が益々(ますます)高まる日本国憲法に凝縮されています。
 最後に、英語で世界に呼び掛けます。
We have the power.(私たちには力があります。) We have the responsibility.(私たちには責任があります。)And we are the Obamajority.(そして、私たちはオバマジョリティーです。)Together, we can abolish nuclear weapons. Yes, we can.(力を合せれば核兵器は廃絶できます。絶対にできます。)》

 新聞記者として長く原爆報道に携わり、広島市長を務めた平岡敬氏は、厳しくこう指摘している。
 「なんと言ったかね、あれは、THE UNITED STATES HAS A MORAL RESPONSIBILITY TO ACT.行動に対する道義的責任っていう。ですから結局彼は認めていない。やっぱり僕は、謝らせなきゃいかんと思うんです。で、今、広島はですね、オバマに来てくれてなこと言ってますね。来て何するんですか。ああいう、その広島のね、甘ったっるさってのを僕は嫌いなんですよ」(8月6日の中国放送)
 平和宣言について広島市立大学広島平和研究所の浅井基文所長はこう語っている。
 「オバマっていうのはですね、核廃絶論と核抑止論の間の真ん中に立っててですね、ちょうど振り子の中心にいる、やじろべえみたいなもんで、どっちに行くかなあという状況だと思うんですよ。一番今求められていることは、核廃絶論の私たちの主張とか政策とか、そういうことを主体的に強める努力をするということであって、オバマ頼みっていうのはですね、むしろそういう努力に水を差す、私たちの主体的努力をも安易な楽観論でですね、弱めてしまうことすら懸念されるわけです」(出典、上に同じ)。

●対テロ戦略の一環としてのオバマ流「核廃絶論」
 私たちはプラハ演説中の次の部分を、《今、続けている侵略戦争の正当化》として凝視し、声を挙げねばならない。 
 「米国が攻撃を受けたとき、(中略)、何千もの人々が米国の国土で殺害されたとき、NATOはそれに呼応しました。アフガニスタンにおけるNATOの任務は、大西洋の両側の人々の安全にとって不可欠なものです。私たちは、ニューヨークからロンドンまで各地を攻撃してきた、まさにそのアルカイダ・テロリストを標的とし、アフガニスタン国民が自らの将来に責任を負えるよう支援しています。私たちは、自由主義諸国が、共通の安全保障のために提携できることを実証しています。」(Ⅰ、19節)
 オバマ大統領は米軍を増派して、アフガニスタンとパキスタンで戦火を拡大し、民間人を殺し続けている。その米軍に「呼応」しているのが、NATO軍で編成するISAF(国際治安支援部隊)である。米軍が拡大中の戦闘はブッシュ前政権以来の対テロ戦略の発動に他ならず、ブッシュ前大統領のイラク戦争に強く反対してホワイトハウスの主になったオバマ大統領は、イラクからの撤兵を遅らせる一方で、アフガニスタンを「主戦場」にしつつある。(本シリーズ「反戦の視点・その85 激化し拡大する「オバマの戦争」に正面から対決しよう!」を参照してほしい。)
 「アフガニスタンにおけるNATOの任務」とはタリバーンの掃討作戦のことである。ブッシュ前大統領はブレア前英首相とともに、2001年10月、当時アフガニスタンを実効支配していたタリバーンがアルカイダをかくまっているとして、同国に先制空爆を始めた。それによりタリバーンは一時期支配力を失ったがすぐに復活し、米国政府の傀儡(カイライ)であるカルザイ政権を攻撃している。米軍やISAFが「アフガニスタン国民が自らの将来に責任を負えるよう支援」しているとは、戦後米歴代政権が使い古したレトリックで、拡大する侵略戦争の実相を隠すイチジクの葉にすぎない。ベトナム侵略戦争の際も米国政府はベトナムへの軍事介入の根拠を「南ベトナム国民の自立を支援するため」と繰り返し主張したのだった。
 ちなみに、本年1月20日の大統領就任演説でオバマ氏はこう語っている。
 「我々の国家は、暴力と憎悪の広範なネットワークを相手に戦争を行っている。」
 「我々は、責任ある形で、イラクをイラク国民に委ね、苦労しながらもアフガニスタンに平和を築き始めるだろう。古くからの友やかつての敵とともに、核の脅威を減らし、地球温暖化を食い止めるためたゆまず努力するだろう。」
 「今この瞬間にもはるかかなたの砂漠や遠くの山々をパトロールしている勇敢な米国人たちに、心からの感謝をもって思いをはせる。」

 オバマ大統領が「核兵器のない世界」を語るのは、「管理が不十分な核物質」がアルカイダの手に渡り、それで米国が攻撃されることを避けたいからである。パキスタンの「イスラム過激派」を無人武装偵察機で越境攻撃するのは、パキスタンが保有する核がアルカイダの手に落ちることを警戒しているからである。つまり彼の「核廃絶論」は米国を防衛するための対テロ戦略の一環であり、そこから一歩も出るものではない。彼の主張は徹頭徹尾、米国一国中心主義に基づいている。
 湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争などで戦費が爆発的に増大し、国家財政が破綻した「アメリカ帝国」はすでに一極構造の極たりえない。世界の多極化が進み、「ユニラテラリズム」(単独行動主義)など過去の夢のまた夢である。だからオバマ大統領は、ひたすら同盟諸国との連携を推進する協調主義を押し出さざるを得ない。だが、その外交戦略がめざすところは、「世界の安全保障」やら「共通の安全保障」などではない。NATO諸国を含む「自由主義(同盟)諸国」に米国防衛の責任を負わせることなのだ。
 一方で「全世界的な不拡散体制が持ちこたえられなくなる時期が来る可能性がある」とNPT体制崩壊の危機を説き、他方で「米印原子力協定」の調印によって同体制を骨抜きにして恥じることがないのは、米国だけが生き残ることにしか関心がないからである。いや、オバマ大統領の念頭にあるのは、米国とイスラエルだけが生き残ることと言うべきだろう。

●核廃絶に向けて私たちが進むべき道
 だから私たちに問われているのは、言うまでもなく、「オバマジョリティ」(オバマ大統領を支持する多数派)に加わるか加わらないかではない。核廃絶の道筋は別のところにある。以下の記事を注意深く読んで欲しい。

《広島市の平和記念公園。原爆投下から52年を迎えた1997年8月6日午前9時前。原爆死没者慰霊式・平和祈念式が終わると、来賓として出席していた橋本龍太郎首相が広島市長の平岡敬に語りかけてきた。
 「市長さん、気持ちは分かるが、そんなことできっこない。あなたは米国の怖さを知らないんだ」。平岡は「何が怖いんですか」と問い返したが、それ以上の言葉はなかった。
 平岡はこの日読み上げた平和宣言で、日本政府に「『核の傘』に頼らない安全保障体制構築への努力」を呼び掛けた。平和宣言が「核の傘」脱却を求めたのは初めてだった。橋本は式典後の会見で「日米安保を基盤とした安全保障の仕組みは必要」と述べ、被爆地の願いを即座に拒絶した。
 「これでは思考停止じゃないか。米国ににらまれると、日本の首相は務まらないということなのか…」と12年前のエピソードを回想する平岡。市長在任中の8年間で政府の圧力を感じたのはこの時だけではなかった。
 95年11月、核使用の違法性を審理していたオランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)で、平岡は長崎の伊藤一長市長とともに「国際法違反は明らか」と陳述した。
 陳述のためハーグへ向かう数日前、平岡は外相の河野洋平から突然の電話を受けた。「市長さん、政府の方針をご存じですか」と切り出し、「国際法違反」の訴えを取り下げるよう求める河野。平岡は「そうは行きません。これは基本的な問題なので」と押し返した。
 「日本の究極的な安全保障を米国の核に依存しておきながら、その存在自体が『違法』だと言うのは、どう考えても矛盾じゃないか」。平岡の陳述直前まで外務事務次官だった斉藤邦彦は、政府が核使用を違法と主張できなかった理由を、米国の核の傘に求めた。》
(2009年6月8日付『共同通信』)

本稿の筆者は本シリーズ「反戦の視点・その83、核実験を批判する資格について」でこうのべた。その引用をもって結語とする。
 《(核クラブの)米英仏ロ中とインド、パキスタン、イスラエルの計8カ国が保有する核弾頭は2万3千3百発以上、うち使用可能な弾頭は約8千4百発だが(出典:スウェーデンのストックホルム国際平和研究所〔SIPRI〕の2009年版年鑑)、核が拡散する世界で、核廃絶の大義を主張できるのは、核兵器を保有しないか、他国の「核の傘」に依存しない国だ。日本は今は核武装していない。しかし韓国とともに米国の「核の傘」で守ってもらうことを、冷戦期も、冷戦後も、軍事的安全保障の根幹としてきた。自国は米国の核に依存していながら、近隣諸国の核武装は許せないというのは、いかにも身勝手な理屈である。/歴史に「if」(もしも…であったら)はないというが、仮に戦後日本が日本国憲法をそのまま実現して他国に少しも脅威を与えない平和な国であったなら、隣国の「ミサイル」の発射や地下核実験でいきり立って「戦争も辞さぬ」というような発言が(麻生)首相の口から飛び出すことはなかったにちがいない。「唯一の被爆国」神話はともあれ、この国はヒロシマ・ナガサキを経験した国として、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に核開発をやめるよう説得できる道義性を保ち得たはずである。/東北アジアの軍事的緊張をなくす方法はある。周辺諸国の軍備状況に一切かまわず、日本が一方的に武装を解除し、日米安保条約を破棄して米軍を撤退させることである。自衛隊を非武装の実現に向けてどんどん縮小し、沖縄からも「本土」からも米軍に出て行ってもらう。そうすれば、日本の前科を忘れない近隣諸国は、世界に向けて誓約した日本国憲法の前文と9条が空手形ではないことを確信して安心し、善隣友好を発展させるにちがいない。》

  (2009・8・12記)
    
【追記】
 8月9日、田上富久長崎市長が読み上げた平和宣言のうち、オバマ大統領のプラハ演説に触れた部分を紹介し、8・6ヒロシマと8・9ナガサキの中間、今年の8月8日に米軍が核抑止力の再生のために何をしたかを伝える記事を引用する。特にコメントは加えない。

 ■長崎平和宣言から
 ◎今年4月、チェコのプラハで、アメリカのバラク・オバマ大統領が「核兵器のない世界」を目指すと明言しました。ロシアと戦略兵器削減条約(START)の交渉を再開し、空も、海も、地下も、宇宙空間でも、核実験をすべて禁止する「包括的核実験禁止条約」(CTBT)の批准を進め、核兵器に必要な高濃縮ウランやプルトニウムの生産を禁止する条約の締結に努めるなど、具体的な道筋を示したのです。「核兵器を使用した唯一の核保有国として行動する道義的な責任がある」という強い決意に、被爆地でも感動がひろがりました。
◎長崎市民は、オバマ大統領に、被爆地・長崎の訪問を求める署名活動に取り組んでいます。歴史をつくる主役は、私たちひとりひとりです。指導者や政府だけに任せておいてはいけません。
 世界のみなさん、今こそ、それぞれの場所で、それぞれの暮らしの中で、プラハ演説への支持を表明する取り組みを始め、「核兵器のない世界」への道を共に歩んでいこうではありませんか。

■8月9日付『朝日新聞』の記事「米軍 核軍縮とズレ」から
 オバマ大統領が「核なき世界」をめざすと表明した米国だが、現場の米軍は、むしろ核抑止力をてこ入れする動きを見せている。8月7日にはミサイルや爆撃機による世界全域への核攻撃を統合する新軍団が発足した。一方、核戦略の司令塔となる戦略軍は、新たな時代の下での核抑止のあり方を探る異例のシンポジウムを開いた。オバマ政権の誕生で核軍縮路線が勢いづく中で、抑止力維持を理由に新たな核兵器開発をめざす「抵抗勢力」の思惑もちらつく。
 幅7㍍もある巨大な星条旗が掲げられた。迷彩服に身を包んだ軍人たちが壇上に真剣なまなざしを向ける。式典会場わきの滑走路には、強い日差しが照り返す中、B52戦略爆撃機が駐機され、核搭載ができるというミサイルや爆弾が並んでいた──。
 米南部ルイジアナ州のバークスデール空軍基地で8月7日(日本時間8日)、米空軍の「グローバル戦略攻撃軍団」の発足式典が行われた。
 オバマ大統領は今年4月、プラハ演説で「核兵器のない世界」をめざすと掲げた。だが、7日の式典で空軍幹部らが強調したのは、プラハ演説の別の側面だった。「大統領は『核兵器が存在する限り、安全で効果的な核抑止力を維持する』と明言した。これこそ、我々にとって基本線となる任務だ」。新軍団司令官のクロッツ中将は、軍人ら約千人を前に力説した。
 米空軍が新軍団を創設するのは28年ぶりのことだ。これまで別々の指揮系統下にあった地上発射型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)と、B52、B2といった戦略爆撃機による核攻撃を一括して指揮する拠点として設けられた。
 ドンリー空軍長官は式典で、「我々の核攻撃態勢の再生にとって画期的な出来事になる。今日は歴史的な日だ」とあいさつ。冷戦終結とともに存在感が薄れた核抑止力の「再生」を誓った。

◆ 反戦の視点・その86 ◆

2009年08月23日 | 練馬の里から
 オバマ米大統領のプラハ演説をどう読むか─私たちが選択すべき道について
                                 井上澄夫

 2009年4月5日、バラク・オバマ米大統領がチェコ共和国の首都プラハでチェコ国民を前に演説した。この演説(以下「プラハ演説」とする)について日本での報道は次の部分を大きく取り上げた。

 「核保有国として、核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任があります。従って本日、私は、米国が核兵器のない世界の平和と安全を追求する決意であることを、信念を持って明言いたします。」

 しかしこの部分を取り出すだけで演説の評価をすることが妥当だろうか。やはり演説全体の構成をまず把握し、それを踏まえて判断すべきだろう。
 そこで、駐日米国大使館の日本語仮訳に基づいて、プラハ演説がどのような論理構成を持っているのかを明らかにする。なお演説の正文は英文で、ホワイトハウスのホームページで読むことができる。またここで使用する仮訳は駐日大使館のホームページに出ている。
 「プラハ演説」をどうとらえるべきかについては、様々な考えがあるだろうが、何よりまず、演説の全文を読んだ上で意見を開陳してほしい。一部だけを取り上げたマスメディアの報道で判断するのは不毛な結果しか生まない、と筆者は訴えたい。

※ ホワイトハウスのHP 
    http://www.whitehouse.gov/the_press_office/Remarks-By-President-Barack-Obama-In-Prague-As-Delivered/
 ※ 駐日大使館のHP http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-20090405-77.html

 駐日米国大使館の日本語仮訳では、演説の本文は49のパラグラフ(節)に分かれている。それらは長短いろいろだが、演説に見出しはない。そこで、以下、引用にあたっては、初めから順に各節に番号を振ることにする。また論述の都合上、便宜的に見出しをつける。

●プラハ演説の核拡散にかかわる部分
 
 オバマ大統領の演説を核問題に絞り込むと、次の部分が重要な位置を占めている。(丸カッコ内は該当する節)

? NATO(北大西洋条約機構)強化の訴え、米国によるチェコ防衛の確約
(17、18、19、20節)
 ? 「核攻撃の危険性の高まり」と核不拡散体制の限界到来の可能性
                              (21、22,23節)
 ? 「米国が行動する道義的責任」と「核兵器のない世界を追求する決意」
                                (26,27節)

 ? 「米国の国家安保戦略における核の役割の縮小」と「核兵器が存在する限り」米国   が同盟国を防衛するために核保有を維持する表明  (28節)
 ? ロシアとの新たな戦略兵器削減条約交渉と包括的核実験禁止条約批准の推進、核分   裂性物質生産を禁止する新条約締結の努力      (29,30、31節)

 ? 核不拡散条約(NPT)の強化と「原子力の平和利用」
                          (32,33,34,35節)
 ? 北朝鮮のロケット発射実験と「規則を破る国」が報いを受ける国際的制度
                             (36,37,38節)
 ? 「イランの脅威」に備えるチェコ・ポーランドへのミサイル防衛システム配備
  (39,40節)
 ? 「テロリストの核兵器入手」こそ「最も差し迫った、最大の脅威」
  (41,42,43節)

●〈核兵器が存在する限り〉、核は手放さない
 米国の核による同盟諸国の防衛については、?と?で約束されていて、米国政府は同様の約束を日本と韓国に対しても行なっている。?(28節)ではこう語っている。
 「しかしもちろん、核兵器が存在する限り、わが国は、いかなる敵であろうとこれを抑止し、チェコ共和国を含む同盟諸国に対する防衛を保証するために、安全かつ効果的な兵器を維持します。しかし、私たちは、兵器の保有量を削減する努力を始めます。」
この発言で明らかなのは、〈核兵器が存在する限り〉、同盟諸国と米国自身を防衛するために必要な核兵器は手放さないという強固な意志である。彼は「私たちは、兵器の保有量を削減する努力を始めます」と言う。だがそれは、米国はロシアとともにこの地球を何度でも壊滅させるに十分な核を保有しているのだから、核によって世界を脅し続けるために必要最小限の水準まで保有する核を削減することなどいつでもできるということに過ぎない。ならばロシアとともに、どんどん削減すればいいが、その「削減」の前提は「核の均衡」であるから、ロシアとの戦略兵器削減交渉によって、世界が「核の脅威」から解放されることはない。それに英、仏、中の核はどうなるのか、イスラエル、インド、パキスタンの核は……。

●チェコへのMDシステム配備の強要
ところで、誰もが奇異の感を抱くのは、?だろう。チェコとポーランドへのミサイル防衛(MD)システム配備が「イランの脅威」に備えるものだという主張である。

 「イランの核開発・弾道ミサイル開発活動は、米国だけでなく、イランの近隣諸国および米国の同盟国にも真の脅威を及ぼします。チェコ共和国とポーランドは勇敢にも、こうしたミサイルに対する防衛システムの配備に同意してくれました。イランからの脅威が続く限り、私たちは、費用対効果の高い、実績のあるミサイル防衛システムの導入を続けていきます。」

 チェコとポーランドへの配備がNATOの拡大に反発するロシアを封じ込めるためであることは世界周知の常識であるが、ロシアとの新たな戦略兵器削減条約(START)の交渉への影響を恐れて、標的をイランにすり変えたのである。それにもう一つ、MDシステムの配備にチェコの人びとが強く反対しているため、チェコがNATOの一員であることを強調して配備容認を迫ったのである。次の文言がそれを如実に物語っている。これはチェコの人びとへの恫喝である。
 「私たちは、新しい脅威がどこで発生しようとも、それに対処するための危機管理計画を備えておくために、NATO加盟国として協力しなければなりません。」

●演説の核心─アルカイダの核入手こそ「最も差し迫った、最大の脅威」─

さて、ここが肝心だが、?にはオバマ大統領の核拡散にかかわる危機意識が表われている。彼は次のように語る。
 「世界規模の核戦争の脅威が少なくなる一方で、核攻撃の危険性は高まっています。核兵器を保有する国家が増えています。核実験が続けられています。闇市場では核の機密と核物質が大量に取引されています。核爆弾の製造技術が拡散しています。テロリストは、核爆弾を購入、製造、あるいは盗む決意を固めています。こうした危険を封じ込めるための私たちの努力は、全世界的な不拡散体制を軸としていますが、規則を破る人々や国家が増えるに従い、この軸が持ちこたえられなくなる時期が来る可能性があります。」
 「規則を破る国家」がすでに核保有国であるインド、パキスタン、イスラエルであり、核実験を2度行なった朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)であることは周知のことだが、この演説では北朝鮮だけが取り上げられている(?)。NPTにもCTBT(包括的核実験禁止条約)にも加盟していない世界で6番目の核保有国・インドに原子力発電所用の核燃料や技術を提供する「米印原子力協定」の調印(2007年)は、典型的なダブル・スタンダードであるにとどまらず、米国政府が自らNPTを突き崩すものだが、オバマ大統領はむろんそれには触れない。「イスラエル支持」を宣言しているから、イスラエルの核保有にも触れない。
 彼の関心がむしろ「規則を破る人々」に集中していることは、?に明らかである。

 「私たちは、テロリストが決して核兵器を入手することがないようにしなければなりません。これは、世界の安全保障に対する、最も差し迫った、かつ最大の脅威です。/アルカイダは、核爆弾の入手を目指す、そしてためらうことなくそれを使う、と言っています。そして、管理が不十分な核物質(後注1参照、引用者)が世界各地に存在することが分かっています。/本日、私は、世界中の脆弱(ぜいじゃく)な核物質(後注2参照、同)を4年以内に保護管理することを目的とした、新たな国際活動を発表します。私たちは、新しい基準を設定し、ロシアとの協力を拡大し、こうした機微物質(後注3参照、同)を管理するための新たなパートナーシップの構築に努めます。/また私たちは、闇市場を解体し、物質の輸送を発見してこれを阻止し、金融手段を使ってこの危険な取引を停止させる活動を拡充しなければなりません。」
 ※ 注1 管理が不十分な核物質 unsecured nuclear material 旧ソ連崩壊の際、同国内 外に流出したとされる核物質など/注2 世界中の脆弱な核物質 all vulnerabl nuclear  material すべての管理不十分な核物質 注3 機微物質 sensitive materials 注1に同じ

 実にまさにこの部分こそ、この演説で彼が言いたいことである。アルカイダの主たる攻撃目標は米国である。何のことはない。オバマ大統領は「世界の安全保障」を大義として掲げながら、実は「米国の安全保障」に世界は協力せよと要求しているのである。大統領が誰であろうが、米国政府にとっての最大の関心事は、米国の安全保障である。それについては、あとでもう一度触れる。

●原爆投下責任を認めず謝罪もしない「核のない世界」の追求
 さて?だが、演説では「核攻撃の危険性の高まり」を強調する?と、核によって同盟諸国を防衛することと同時に、核兵器保有量の削減の努力、包括的核実験禁止条約の批准の推進などを語る?の間にはさまれている。
 「核保有国として、核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任があります。米国だけではこの活動で成功を収めることはできませんが、その先頭に立つことはできます。/従って本日、私は、米国が核兵器のない世界の平和と安全を追求する決意であることを、信念を持って明言いたします。私は甘い考えは持っていません。この目標は、すぐに達成されるものではありません。おそらく私の生きているうちには達成されないでしょう。」
 「核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任があります。」は英文ではこうである。
  as the only nuclear power to have used a nuclear weapon, the United States has a moral responsibility to act.
 この部分は、確かに米国が核兵器を使用した唯一の核保有国であることを認めている。しかし、それは客観的な歴史の事実であり、トルーマン以降の歴代米大統領の誰もが認めるところだろう。「核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として」の部分で、オバマ大統領が広島・長崎への原爆投下についての米国の責任を認めたと解釈することはできない。ましてここには謝罪の意味はいささかも含まれていない。
 前後の文脈に照らせば、「核兵器のない世界」をめざす彼の決意は、そのような世界が訪れるまでは、つまり「核兵器が存在する限り、わが国は、いかなる敵であろうとこれを抑止し、同盟諸国に対する防衛を保証するために、安全かつ効果的な兵器を維持する」という表明(?)との関係で読むべきである。しかも彼は、「核兵器のない世界」は「おそらく私の生きているうちには達成されない」と明言しているのだ。
 彼の「米国だけではこの活動で成功を収めることはできません」という言い訳を受け入れるわけにはいかない。この論理は「核クラブ」(米・ロ・英・仏・中、国連安保理常任理事国)の米国以外のどの国も使える。私たちは、NPTに基づいて「合法的」に核を保有している「核クラブ」に、NPT第6条が規定する「全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約についての誠実な交渉」の即時履行を迫らねばならない。
米国に「道義的責任」があるというなら、オバマ大統領がなすべきは、何よりまず「核クラブ」がこぞって大胆に核軍縮を進めるための協議を速やかに開始することだ。(つづく
                                     

◆◆ ちょっと待って民主党マニフェト ◆◆

2009年08月17日 | 壊憲STOP勝手連
 秒読みに入った民主党鳩山内閣。諸々の抵抗や障害があっても、マニフェストを確実に実行に移す過程で“官僚内閣制”とはちがう政策実現手法を見せてくれることを期待します。

 いまだに修正・微調整を重ねている民主党マニフェストですが、その第1に掲げるムダをなくす政策の中に衆院定数を80削減とあります。
 このマニフェストに掲げられた政策にはいくつもの問題が指摘されています。もちろん政策には優先順位があり、幅広い支持を得るためのおいしい表現や、あえて触れないこともあるでしょう。こうした限界を認めてもなお《衆院比例区80削減》は、最大の問題であり許し難いものです。
 民主党はマニフェストから削除ないし凍結再検討すべきでしょう。

 もともと小選挙区制は、勝者総取りで民意を反映せず、それだけでは国民主権の原則にもとるという根本的欠陥を持っています。細川内閣時代に抜本的「政治改革を!」という国民の声を選挙制度改革にすりかえて成立を図り、その際に欠陥を緩和する意味で、民意をストレートに反映する比例代表制を並立させたという経緯を想起してほしい。当初の案では小選挙区250/比例区250だった。それが300/180になり小泉郵政総選挙を経験し、いよいよ09年政権交代選挙を迎えた訳ですが、民主党は何故、ムダを切るという目玉商品を掲げる中に、国民の意思とは無関係に大政党支配を永続化させるような選挙制度変更をまぎれこませようとするのでしょうか。

 もし意図的にそうしたのならそれは一種の詐欺的所業です。なぜなら、公選法で決められている衆議院480人(小選挙区300/比例180人)、参議院242人(選挙区146/比例代表96)は、1.2億人の国民意思を代表するのに諸外国と比べても決して多くはないからです(下掲共同声明参照)。それでもなお“代議制民主主義のコスト削減”をいうのであれば、たとえば政党助成金に手をつけたり、たとえば小選挙区200/比例区200といった案にすべきでしょう。誰もが納得できるコストカットのやりかたではないかと思うからです。(共同声明賛同者緊急募集中=詳しくは下のURLまで)
(イトヤン)

共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」

2009年8月4日

 民主党は、7月27日に発表した衆選マニフェスト(政権公約)のなかで、「ムダづかい」削減のために衆議院比例区議員の定数80削減を提案した。
 自民党でも、定数削減を政権公約にしている。

 しかし、国会議員の定数削減は、議会制民主主義のもとにおける有権者の多様な意思の表明を困難にし、民主主義の精神を踏みにじるものであり、我々はこの提案に強く抗議する。

1. 議会制民主主義のもとでは、広範な市民の多様な意思をできるだけ的確に議会に反映させること、従ってまたこのための仕組みが極めて重要である。

2. このためには、然るべき人数の議員が必要である。
 現在の衆議院の定数、480人は決して多すぎるものではない。
 現在の選挙制度が発足した時には500人であったが、その後削減されている。

3. ヨーロッパの主要国(独、英、仏、伊)では、人口は日本の2分の1から3分の2であるが、下院議員の定数は600人前後である。
 人口10万人当たりの定数は、独で0.74人、その他では1.0人前後である。
 これに対し、日本では0.38人と極めて少ない。

4. 米国の連邦下院議員定数は、435人と少ないが、独特の大統領制である、州の権限が強い連邦国家であるなど、政治制度が日本と 著しく異なっており、比較の対象にするのは適切ではない。
 それでも、米国の議会予算は日本より大幅に多い。

5. 定数削減の目的は、これまで、民間のリストラ、国の行政改革に対応して、国会も人員、予算の節約を図る必要があるため、といわれてきたが、今回「ムダづかい」削減による財源確保が目的、とされている。
 しかし、国権の最高機関である国会の議員の在り方を、民間や一般公務員と同じように論ずることは基本的に間違っており、特に議員定数の一部を「ムダ」とみなしてその削減を財源確保の手段としていることは、到底容認できない。
 定数削減の結果、国会がまともに機能しなくなったら、民主主義が衰退してしまうことを無視している。

6. このような危険を冒してまで議員定数を削減しても、それによる予算節約はそれほど大きいものではない。
 国会の予算は、国会図書館を除くと約1,100億円である。(この他、政党助成費が321億円ある。)
 これは、一般会計予算の0.12%であり、この一部を削減しても予算の1万分の1から2程度である。       
 因みに、米軍へのいわゆる「思いやり予算」は2千数百億円に上る。また、F-15戦闘機は一機100億円、F-2は120億円である。
 もちろん予算節約の努力は必要であるが、他方、国会の基本的な任務遂行に必要な予算は、民主主義のコストとして負担すべきである。

7. 定数削減は、比例区の定数削減として提案されているが、この提案には、民意をより正確に反映する比例区の定数を削減し、最終的にはこれを無くして、完全な小選挙区制に変えてしまおうという意図が窺われる。マニフェストには「政権交代が実現しやすい選挙制度とする」と記されているからである。
 ただし、専門家によると、小選挙区制では政権交代が起きる可能性が高い、ということは明瞭とはいえない。

8.小選挙区制には問題があることは広く知られているにも拘わらず、選挙制度の在り方について公に議論しないまま、定数削減によって完全な小選挙区制へと実体を変えようということは、極めて不公正、不当な政策であるといわざるをえない。

9. 小選挙区、2大政党制は、統治する立場からは好都合といわれているが、市民の立場からは、多様な民意を的確に反映させることにはならず、不公正である。
 有権者の意思を的確に反映させるためには、少数政党への投票をも尊重する比例代表制を基礎とした制度が絶対に必要である。

10. このように大きな問題があるにも拘わらず、定数削減という方針が尤もらしく聞こえ、一定の支持を得ているのは、ろくに仕事をしない議員が多すぎる、世襲議員が余りにも多い、などのためであろう。
 この状況を改めるのは、定数削減ではなく、望ましくない議員を落選させ、真っ当な人物を選ぶことである。

11. 参議院議員の定数については、今回は触れない。参議院の在り方を議論する過程で慎重に検討すべきである。
 衆参合わせて何割削減などという粗雑な議論は、問題外である。

 以上の理由により、我々は国会議員の定数削減という政策の撤回を強く求める。

「平和への結集」をめざす市民の風
http://kaze.fm/kaze.html



★★ ホントに沈むか? ★ ダムに沈む温泉★★

2009年08月16日 | みんなの日記
10年以上まえの話で、ごめん。近所の書店で「『週刊金曜日』置いてますか」と聴いたら、かわりに店員は、写真週刊誌『フライデー』(最近店頭であんまり見かけなくなった)を持ってきたんだ。『週刊金曜日』は今では少部数ながら毎週店頭に並ぶけど、そのときは笑うに笑えず、「週刊金曜日とは…なんたらかんたら…」その店員と話こんだ記憶があるよ。そのフライデーのそんな昔じゃない記事に“福田ダム(八ッ場ダム)”の告発記事をみつけたんだけど……。これは政権選択選挙の参考になるかな?…。

ダムに沈む温泉って呼ばれてたころ川原湯温泉には何度か行ったことがあるけど、周辺工事は進んでおった。ところがなんと、実際には計画から60年経っても八ッ場ダム本体工事は未着工だそうで、無駄な公共事業の象徴として、ダム工事中止は民主党・社民党・国民新党の政権公約なんだって。
 そこでおいらは考える。鳩山政府を待たなくたって、直轄負担金の抜本的見直しをやってる東京都で第一党となった都議会民主党なら、八ッ場ダムの負担金支出停止(の意思表示)くらいはできるはず!

ところで、いきなりダム建設がストップすれば、したくなくても協力してきた地元も困り、「ダム計画中止後の生活再建支援」なんかも必要になりそうだけど、これも含めて八ッ場ダムの過去・現在・未来については《八ッ場あしたの会》が解りやすくまとめてるね。http://www.yamba-net.org/

あッそうそう。『フライデー』の八ッ場ダムに関する記事はこっち

(在日日本人)

★★ 熱い(鳩山)暑い(麻生)たたかい ★★

2009年08月15日 | 今週の注目記事
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『週金』今週(762)号の巻頭を飾るのは題して《審判を待つ改憲・タカ派議員たち》。
 例によってお盆休みのため、合併号(8/7、8/14号)となっているが、歴史的な熱い?(鳩山=友愛)、暑い(麻生=選挙戦略)たたかいのまっ盛りであり、逆に読者としては「臨時増刊・直前大特集」でも出してほしいところ…。


  審判を待つ改憲・タカ派議員たち
 二〇〇一年の「9・11事件」を契機とするブッシュの対テロ戦争に前後し、二〇〇五年の
『9・11選挙』を経て今日に至るまで、この国は戦後史に例を見ないほどの急激な軍事化と
憲法の破壊が進んだ。だが、いまや衰えを隠せなくなったこの暗流が消え去る前に、
国会で改憲と歴史修正主義を煽った議員たちの姿を照らす。彼らを再び登場させるか
否かを決めるのは、一人ひとりの良識にかかっている。(編集部)
  ■憲法、歴史認識・教育、防衛・外交
  ■総選挙に出馬する主な右派団体所属議員(編集部)
  ■呆れるばかりの暴言 妄言 放言録
  ■核武装論に打ち克つ対抗構想を(前田哲男)
  ■ついに風前の灯となった「専守防衛」
    次期「防衛計画大綱」の恐ろしさ(水島朝穂)


内容はといえば、まず「制服組が公然と海外での武力行使を宣言する」大綱が作成中で「民主党も、この『大綱』を認めそう」。なので、水島朝穂さんのレポート《次期「防衛計画大綱」の恐ろしさ》は必読といえる。
 そして、直接8月30日の参考となりそうなのが、右派団体(改憲・タカ派議員の集まり)とはどういう団体なのか、右派団体に所属する立候補予定議員はどんな事をしてきたのか。全国選挙区別のリストアップだ。
 取り上げている団体は、憲法調査推進議員連盟(超党派)、新憲法制定議員同盟(超党派)、日本会議国会議員懇談会(超党派)、正しい日本を創る会(超党派)、神道政治連盟国会議員懇談会(自民党)、歴史・検討委員会(自民党)、日本の前途と歴史教育を考える議員の会(自民党)、みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会(超党派)、中国の抗日記念館から不当な写真の撤去を求める国会議員の会(超党派)、国防部会(自民党)、安全保障議員協議会、新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会、北朝鮮に対する抑止力強化を考える会、価値外交を推進する議員の会。

このほか、金曜アンテナでは宮崎一区、石川二区、東京八区ほかの注目選挙区を独自レポートしている。(表紙画像をクリックすれば…もくじ)
(練金術師)


  みんなの日記
 今週の762号の27ページ「80歳を超えた戦争の語り部たち」の、「戦争は二度と起こしてはなりません。」という結論にはもちろん異議はないのですが、どうにも気になる点が散見されます。
 例えば冒頭の碑の文の引用ですが、 「…数多の者が神風特別攻撃隊員として命を捧げたことを/」 の『捧げた』、 「…出撃散華した…」 の『散華』、 「…五十五柱を超える…」 の『柱』(は人間の遺体を数える単位ではなく、神を数える単位です)などは、全て死を美化し顕彰する言い回しです。これでは靖国神社や遊就館の論理と選ぶところがありません。靖国神社ですら「平和のために礎になった…」というような論理を振り回しますからね。(最近はもっと悪化して、法衣の下から鎧が露骨に見えるようにはなってきましたが、一応建前は現在もそうです。)
 それだったら、空襲の爆撃下で逃げ惑って死んだ人も、銃剣で突き刺されて死んだ人も、毒ガスで悶え死んだ人も、全て「命を捧」げ「散華」した一柱一柱と言うべきでしょう。なぜ特攻隊員だけ特別扱いをするのでしょうか?
 特攻隊員の追い詰められた状況は、私にも理解できないことはありません。しかしそれでもなお、彼らには選択の余地があったわけです。重慶や東京や大阪やガザやその他もろもろの場所で空襲により死んだ者には、選択の余地はなく、いうところの難死です。このような難死と特攻死は、百歩譲っても同等でしかありません。どうして特攻死のみを持ち上げ、賛美し、顕彰するのでしょうか。
 もっと言うなら、死を決意した「立派な」特攻隊員はそれからどこへ行ったのでしょう。もちろん、人を殺しに「出撃」したのです。その時点では彼らの戦いが「侵略」にすらなりえなかったことはむしろ救いですが、焼夷弾で焼き殺される人々は少なくとも直接には人を殺しに行ったわけではありません。この点から考えても、難死より特攻死を上に見るような視点は、許しがたいものだと思います。
 金曜日の、結果が反戦だから許すというような態度は、私には認めることができません。少なくとも近代の侵略戦争は、防衛やら平和の名において開始されていることを銘記すべきでしょう。
(草場純)
練馬読者会8月例会

  日  時:2009年8月22日(土) 19時から
  会  場:喫茶ノウ゛ェル(西武池袋線大泉学園駅北口駅前)
  会  費:喫茶代
  問合わせ:nerikinjyutu@mail.goo.ne.jp
       または03-3925-6039 近藤まで。


●● 政権交代 ● 民主党へいれる不安?●●

2009年08月14日 | これだけは言いたい!
  民主党への疑問”についての私見

  8月30日(日)の衆議院議員総選挙まであと2週間程に迫ってきました。今回の総選挙は、結果に関わりなく、今後の日本の帰すうを左右する極めて重大な選挙になると思います(向こう4年間に止まらない)。
 そこで、本稿では、自民党を政権から引きずり下ろしたいが、“民主党政権”に不安や疑問を感じると思っておられる方に、私(kdak)なりの意見を申し上げたいと思います。

【疑問 1】
 民主党には、自民党と同様に、集団的自衛権を肯定するような軍事タカ派(前原誠司氏など)や、戦前の侵略を正当化するような歴史修正主義者(松原仁氏など)といった極右的な議員がいたり、また、鳩山由紀夫代表自身が前回党首だったときに小泉改革にエールを送るなど、自民党に追従して新自由主義政策を推進してきたことを思うと、民主党中心の政権に代わっても、従来の自民党と何ら変わらないのではないか。
【意見】
 確かに、その点については、筆者も全く不安を感じていないということはありません。ですが、民主、自民両党の選挙公約や幹部の前回総選挙以降の発言等を比較していけば、党の総体としては、民主党の方が、国民生活を守り、貧困者を救済し、日本国憲法に忠実な政治をしようとする決意が、より感じられると思っております。
また、極右的な議員にしても、党として意思決定するまでの過程においては、執行部を批判したりしても、一度党として意思決定した以降は、党の意思に忠実に従って行動し発言しております。そのことからすると、極右的な議員にしても、自民党政権によって起きた種々の問題(生活格差・貧困の拡大、財政悪化、外交・内政両面における常軌を逸した対米追従、自衛隊活動の拡大などの相次ぐ憲法無視)に対して、民主党中心の政権の一角を担う立場から(護憲派からすれば不十分な面がありながらも)解決すべく取り組むことが期待できると思います。
 また、逆も真なりで、自民党の比較的リベラルな候補(加藤紘一氏など)も同様に、党として意思決定するまでの過程においては、執行部を批判したりしても、一度党として意思決定した以降は、党の意思に忠実に従って行動し発言してきたことからすると、自民党政権によって起きた種々の問題を発生させた責任を免かれず、また、自民・公明両党に問題の解決を期待できません。期待できない以上、どんなにリベラルであっても、自民党の候補に投票することは、問題をさらに助長すると言わざるを得ません。
 以上のことからすると、自民・公明両党を政権から引きずり下ろしたいのであれば、たとえその候補がどれだけ極右的であっても民主党の候補に投票すべきではないかと思われます。そして、その方が、長期的にみれば近年の壊憲の流れに歯止めがかかり、憲法の理念の現実化もよりなされると思います。

【疑問 2】
 仮に、政権交代がなったとして、民主党中心の政権が自民党政権とほとんど変わらなかった場合、政権交代した意味がないのではないか。
【意見】
 まず第一に、政権交代がなって発足した民主党中心の政権が、自民党政権とほとんど変わらないか、あるいは、自民党政権と根本から変わるかは、政権交代がなってみなければ何とも申し上げようがありません。 ただ、政権交代がなって発足した民主党中心の政権が、自民党政権と根本から変わるか変わらないかは、一人一人の国民が、自民党政権と根本から違う政策をするように民主党中心の政権にどれだけ働きかけるか。また、誤った方向へ行きそうになったときに、どれだけ批判できるかにかかっていると思います。このことは、民主党に限らず、どの政党が政権を担っても当てはまることだと思います。
 さらに、政権交代の目的は、単に政治の方向性を変えるだけでなく、政策に失敗したり腐敗したりした与党を政権から引きずりおろすことにより、与党に責任を取らせることにもあると思います。それだけに、多くの問題を引き起こし腐敗した自民・公明両党を政権から引きずりおろすことは、そのこと自体に十分意味があると申し上げることができると思います。

【疑問 3】
 民主党の極右的な議員が、当選後も極右的な言動を繰り返した場合、どのようにすればよいか。
【意見】
 この点についても、上記と同様に、選挙後にその議員に極右的な認識を改めるように促し、それでも改めない場合には、民主党に対しその議員を処分するなどの対応を要求していくべきではないかと思われます。

【疑問 4】
 民主党は、連立相手の社会民主党のようには護憲を前面に出しておらず、憲法改定を党是にすらしているので、憲法が踏みにじられている現状は変わらないのではないか。
【意見】
 この点については、私も不安を感じていないわけではありません。
 ですが、護憲を明確に掲げている政党が少数になってしまった現状が
 旧社会党時代、今の社民党が自民党に次いで第2党、野党第1党を占めていた時期に、共産党、公明党、民社党、さらには社会民主連合、新自由クラブといった当時の野党間の共闘を図り、自民党を政権から引きずりおろす努力、憲法の理念を現実化しようとするような政権を樹立する努力を怠ったばかりか、冷淡な態度すらとった国民にも原因があるのではないかと申し上げざるをえません。その意味で、現状を嘆くのは間違っているのではないかと思わざるを得ません。ですから、現状の中で、より憲法の理念が現実化する方向にいくにはどのようにすればよいかを考えて、投票する政党・候補者を決めるよりないと思います。

 以上が、民主党への疑問に対する私なりの意見ですが、この意見の根本には、当たり前のことかもしれませんが、民主主義の政治においては、主権者である国民が、政権担当者(政権政党)を国民一人一人の主体的な意思によって(選挙において)決め、政権担当者が権力を濫用したり政策を誤ったりしないよう監視し、国民自身が選んだ結果に対し責任を負わなければならないということがあります。僭越かとはおもいますが、このことだけは申し上げたいと思います。
 以上の私の意見を読んだ一人でも多くの方が自民・公明両党を政権から引きずりおろす決意をもって投票されるよう切に願わずにはいられません。
 よろしくお願い致します。
(kdak)

練馬読者会8月例会

  日  時:2009年8月22日(土) 19時から
  会  場:喫茶ノウ゛ェル(西武池袋線大泉学園駅北口駅前)
  会  費:喫茶代
  問合わせ:nerikinjyutu@mail.goo.ne.jp
       または03-3925-6039 近藤まで。


● 09年衆院選について ● 自民党と第2自民党とが交代して・・・ ●

2009年08月12日 | 壊憲STOP勝手連
    09年衆院選について
                              井上澄夫

 多くのマスメディアが、8月30日投開票の衆院選で政権交代がなされることは必至という基調で「政局」を報じている。実際そうなるかどうかについて、私は判断を留保する。一寸先は闇の政治の世界、投票日までに何が起きるかわからないからである。

 私は民主党を支持しない。同党が改憲を党是とし、鳩山由紀夫代表が根っからの改憲論者であるということが主たる理由である(参考:鳩山著『新憲法試案』PHP研究所)。私にとって、民主党は第2自民党である。自民党と第2自民党とが交代して政権を担当しても、それは同じチームのバッターの入れ替えにすぎず、それをもって「2大政党制」というのはおかしい。そういう政治現象は「保守再編」と言うべきである。

 小泉元首相は米国政府の要求に従い、「構造改革」によって自民党の伝統的支持基盤であった地域・業界がらみの利益誘導構造をぶっこわした。それゆえ自民党は何より支持基盤の再編・強化を迫られている。苦戦と報道される由縁は、民意を問わず首相を3人も入れ替えたことや政策の拙劣さもさることながら、支持基盤の再編・強化がうまくいかないことにあるだろう。

 次の政権は小泉流規制撤廃オンリーのネオ・リベラリズム経済政策の修正を図らざるを得ない。格差社会の現実に向き合い、社会福祉の充実に努力する(少なくとも、そのフリをする)姿勢を見せなくてはならない。だが膨大な財政赤字をどうやって解消するのか、増税以外に展望があるわけではない。
 同時に、これまで与党とマスメディアとが協力して生み出した世論の極度の右傾化・排外主義化に対応して、強硬な外交・防衛政策を打ち出すことになるだろう。
 中米間の直接対話(中米戦略・経済対話)が始まり、クリントン元大統領の訪朝によって朝米間の二国間交渉が展望され始めたが、それに伴い、かつての「旭日のニッポン」(「ジャパン・アズ・ナンバーワン」)は国際政治の谷間に沈み行く「落日のニッポン」に転じつつある。中国の軍拡、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核実験・ミサイル連射などに直面して、日本外交は戦略もそれを支える哲学も持たない。米国が差しかける「核の傘」で守られることだけが念頭にある「日米同盟の堅持」については、現与党と民主党にさしたる差異はない。
 民主党単独政権であれ、民主・自民連立政権であれ、政治の軸が今よりさらに右に移動する危険性を拭い去る条件は、残念ながら今のところ見当たらない。

 「とにかく、何でもいいから、一度民主党に政権を担当させてみたい」という意見が多いように感じる。その思いには、民意が問われることなく首相の座がたらい回しされる現状への憤りや自民・公明両党への愛想づかしがある。またその思いには「それでダメなら、また入れ替えればいい」というリアルな計算も張りついていよう。
 そういう発想には根拠があるのだから、私の民主党不支持はともかく、反対はしない。しかし民主党を支持するなら、同党が政権を担当した場合、その政策を監視し意見を表明し続ける責任を負ってほしい。格差の拡大で生活苦にあえぐ人たちの中には、かつて小泉元首相を歓呼して支持した人も少なくないのではないか。彼が平然と語った「痛み」が強度を増しながら低所得層を襲っている。ポピュリズムに踊らされて投票するのはもうやめよう。自分で自分の首を絞めることはないのだ。

 選挙では自分の考えに近い政策を掲げる政党に1票を投じるのが普通である。候補者に支持政党公認が見当たらない選挙区では、与党批判としてそれ以外の政党を選択することもあるだろう。世論調査は衆院選の投票率がかなり高くなることを示している。
 私たちはすでに戦時下にある。戦時下から脱出できるか、いよいよ戦争にはまりこんでいくかという深刻な問題に、8月30日の衆議院選挙の結果は大きな影響を与える。よくよく熟慮して投票しようではないか。さもなくば、この国の未来はいよいよ危うい。
 
(2009・8・8記)

◆ 反戦の視点・その85 ◆

2009年08月10日 | 練馬の里から
 激化し拡大する「オバマの戦争」に正面から対決しよう!

                                   井上澄夫

●8月30日の衆院選を前に、報道は政局一色であるが、オバマ米政権による戦争が拡大の一途をたどっていることを強く意識したい。まず、アフガニスタン侵略戦争について考える。

 ◆アフガン情勢好転せず、多国籍軍の死者最多 イラクの二の舞?
 アフガニスタンに増派された米軍部隊が本格的な軍事作戦を開始してから1カ月が経過した。人口集中地域でのイスラム原理主義勢力タリバン排除に力点を置く米軍に対し、タリバン側は仕掛け爆弾などを用いて反撃。7月の米軍など多国籍軍の死者数は74人(米兵43人)と2001年の開戦以来最悪となった。一層の増派を求める声が高まる中、オバマ米政権の対応によっては「イラクの二の舞」に陥りかねない。
 増派作戦を遂行するためアフガン駐留米軍の司令官に就任したマクリスタル陸軍大将は、米紙ロサンゼルス・タイムズのインタビューで、海兵隊を投入した南部へルマンド州での戦いが新戦略のカギを握ると指摘。アフガン治安部隊と警官の訓練を急ぐ必要性を強調した。米政府はアフガン軍を13万4000人、警官を8万2000人にすることを目指している。AP通信によると、同司令官はこれを約40万人まで倍増することを求める方針という。
 アフガン駐留米軍の現有兵力は約5万7000人。今年末までに1万1000人が到着し、6万8000人になる。ただ、これでもイラクに増派された米軍の半分にすぎない。ブッシュ前政権はイラク部隊への権限移行を急ぎ、一時、治安悪化を招いた。専門家からは、オバマ政権が一層の増派に消極的な姿勢を示し続け、アフガン部隊への早期権限移譲を図った場合、「イラクの二の舞になりかねない」との声も出ている。
                             (8月2日付『産経』)

●オバマ大統領はアフガニスタン(とパキスタン)を対テロ戦争の「主戦場」と位置づけているが、「2001年の開戦以来最悪」の米兵死者数は彼の戦略が早くも破綻の様相を呈していることを示している。ベトナム侵略戦争もそうだった。米軍の増派に継ぐ増派は結局、無惨な敗退への道を敷いた。米軍の疲弊ぶりのニュースがある。

 ◆[米兵]対テロ戦参加、自殺率が倍増…長期従軍で疲弊
 イラクやアフガニスタンでの対テロ戦争に従軍した米陸軍兵の昨年の自殺率がイラク戦争前に比べて倍増し、ベトナム戦争以来、初めて一般の米国民の自殺率を上回ったことが分かった。今年の自殺件数は「調査中」も含めると既に91件で、過去最悪となった昨年の143件を上回る見通し。戦争の長期化で米兵の6人に1人が3回以上従軍しており、背景には過剰展開による米軍の疲弊があると指摘されている。
 昨年の自殺は、今年1月時点の集計では128件だったが、その後「調査中」とされたケースの大半が確認され、143件(今年3月時点)に増えた。記録を取り始めた80年以降で最多という。今年は、既に4月末までに46件が確認され、45件が調査中となっている。/戦争の長期化で陸軍は本来12カ月の従軍期間を15カ月に延長。除隊希望者には1年前後の延期を命じるなどして兵員不足を補った。この結果、米軍全体の4割にあたる約70万人が2回以上従軍している。キアレリ陸軍副参謀長は今年3月、連邦議会で「陸軍はストレスにさらされ、疲弊している」と指摘。兵士の従軍長期化が「自殺の大きな要因」と述べた。/米陸軍の調査によると、繰り返し配備された米兵は、1回だけの兵士より心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する割合が5割高くなる。
(5月21日付『毎日』)

●ブッシュ前大統領の最大の盟友だったブレア前英首相の「遺産」であるアフガニスタン駐留英軍も惨憺たる状況に陥っている。英世論は大多数が厭戦に傾き、ブラウン首相は窮地に立たされている。アフガニスタン駐留英軍は9000人である。

 ◆英軍兵士の死亡者数、アフガン作戦がイラクを上回る
 英国防省は7月10日、アフガニスタン軍事作戦での英軍兵士の死者が計184人となり、イラクでの179人を上回ったと報告した。英軍は2001年末に始まったアフガン軍事作戦を米国と共に主導していた。英軍はアフガン南部を担当しているが、ヘルマンド州では過去10日間の交戦などで英兵士15人が死亡している。10日には2回の爆発で5人が死亡している。(7月11日付CNNニュース)

●ところでアフガニスタンでは、どのような戦争が続いているのか。

 ◆アフガン空爆:過去最多…1~4月投下数、07年比3割増
 オバマ米大統領が対テロ戦争の主戦場に掲げるアフガニスタンで、米軍と国際治安支援部隊(ISAF)による空爆が急増。オバマ政権が誕生した今年1月から4月末までに投下された爆弾の数は1000個を超え、年間を通して過去最多だった07年の同時期より3割増えていることが分かった。オバマ大統領は昨年の大統領選で米軍の空爆による民間人被害を問題視したが、ブッシュ前政権時代より事態が深刻化する可能性が指摘されている。/米空軍が毎日新聞の取材に提供した資料によると、今年に入って4月末までの投下爆弾の総数は1096個。特に3月は335個、4月は438個と、いずれも過去の同月比で最多を記録した。年間3572個だった07年は、1~4月で853個。08年同時期は880個だった。/アフガンでは07年から、武装勢力による手製爆弾(IED=即席爆発装置)攻撃が激化。厳しい天候や起伏の激しい地形により米軍やISAFの地上での活動が制限され、これを補う形で空爆の頻度が高まっている。/国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)によると、昨年の戦闘で死亡した民間人は過去最悪の2118人。55%がタリバンなど反政府勢力による攻撃が原因だが、39%は米軍などによるものとしている。(5月31日付『毎日』)
 ◆アフガン:米無人機による攻撃、南部で多発 子供ら犠牲に
 パキスタン部族地域で続く米軍の無人機によるミサイル攻撃が、武装勢力タリバンが支配するアフガニスタン南部でも多発している。無人機は今年に入って、従来の武装ヘリや戦闘機に代わって投入されるようになり、多数の市民が空爆に巻き込まれているという。攻撃で家族や家屋を失い、カブールに避難してきた人々は「ゲーム感覚で人殺しが続いている」と憤った。/カブール郊外にある避難民キャンプ。南部のヘルマンド州やカンダハル州などからの避難民約1万3000人が暮らす。ヘルマンド州サンギン地区ミヤンルディ村から5月にたどり着いたヌール・モハマッドさん(28)は、血を流して横たわる我が子2人の遺体写真をポケットから取り出した。/1月にタリバンが村にやってきて米軍の車列を銃撃。数分後、「パイロット席のない小型機」が飛来し、ミサイル攻撃を開始した。しかし、タリバンは村から逃げた後。長男(5)と長女(4)は空爆で倒壊した家屋の下敷きになり、まもなく息を引き取った。/「米国はなぜ我が子を殺したのか。タリバンだと言うのか」。怒りを殺した静かな口調で問いかける。/今年に入ってキャンプにたどり着いた避難民たちは、米軍の攻撃が従来の有人機から無人機に代わったと口をそろえた。トカゲの頭のような前部を持つ機体や金属音を響かせる特徴から、パキスタンへの越境攻撃で使われている無人機と同タイプとみられる。アフガン南部では今、頻繁に飛び回る姿が目撃されているという。/無人機は先端に取り付けられたカメラからの映像をもとに遠隔操作されている。2月に無人機による空爆で母親を失ったというサンギン地区の別の村から来たミルアジャンさん(35)は「安全な場所にいる人間が、痛みも分からずに遊び感覚で人を殺しているのだろう」と語った。(7月30日付『毎日』)

●オバマ大統領の言う「主戦場」にはパキスタンが含まれていることを忘れてはならない。米軍はアフガニスタンでやっている無人機による空爆をパキスタンでもやっている。米国のメディアには最近「AFPAK(アフパック)」という表現が頻繁に登場する。オバマ政権にとってアフガニスタンとパキスタンが一体不可分の戦場であることを示しているが、こういう用語が両国それぞれの民衆にどう受け止められるかはまったく考慮されていない。

 ◆パキスタン部族地域にミサイル攻撃、米軍無人機か 多数死亡
 パキスタン情報機関当局者は5月16日、同国北西部にある政府直轄部族地域の北ワジリスタン地区で同日未明、複数のミサイル攻撃があり、10人が死亡したと述べた。米軍の無人武装偵察機が撃ち込んだとみられる。同地区の村落にあるマドラサ(イスラム神学校)を直撃したという。負傷者も多数いるとみられる。死亡者の組織的背景は不明だが、部族地域にはイスラム強硬派勢力タリバーンや国際テロ組織アルカイダに同調する勢力の拠点がある。/CNNのまとめでは、部族地域やパキスタン北西辺境州での無人機によるミサイル攻撃はこれで今年16件目となった。昨年比で激増している。/米軍は部族地域などがアフガンへの越境攻撃の拠点となっていると主張している。無人機の越境ミサイル攻撃は昨年秋から加速し、ゲーツ米国防長官は先に、米軍の関与を認めていた。これまでの死亡者は数百人規模とされ、民間人の犠牲者も多く、パキスタン国民の反発も強い。
                        (5月16日付CNNニュース)
 5月16日付『共同』はさらにこう伝えている。
 〈パキスタンの部族地域は国際テロ組織アルカーイダ幹部らが潜伏し「過激派の聖域」と呼ばれ、米軍や米中央情報局(CIA)が昨年夏ごろから無人機で40回以上の爆撃を実施、民間人を含む300人以上を殺害している。〉(共同)
 
●ところでオバマ大統領がアフガニスタンとパキスタンを「主戦場」にする戦略は、イラクからの出口戦略を大前提にしている。イラク駐留米軍は6月30日、イラクの都市部から戦闘部隊を「撤退」させたとされ、マリキ政権は同日を「国民主権の日」とした。しかし実態はどうなのか。『イラク情勢ニュース』から抄出して紹介する。 

 ◆イラクの「主権」ねつ造報道に隠された真実(Paul Joseph Watson、7月1日)
 <Cryptogon blog>は、「現時点で、イラクにはおよそ13万人の米軍兵士が駐留している。イラクの諸都市に配置されていた米軍兵士のほとんどは、イラク国内の別の(=都市部以外の/訳註)駐屯地に移されている。イラクの領空は米空軍が制空権を握り、領海は米海軍が制海権を握っている」と指摘する。/マイク・マレン提督(米統合参謀本部議長/訳註)は2011年という「公式」の撤退期限をほのめかしたが、その撤退期限の後については、どうなるという保証は何もない。/米軍のある高官はロサンゼルス・タイムス紙に、もっと解りやすく書いていた。つまり彼が言うには、「オバマ大統領が16ヶ月以内に撤退すると言った時、撤退と聞いて全部が引き上げると理解した者もいた。しかし、そんなことはありえない」のである。実際のところ、3年以上も前の時点で、米軍は既にイラク国内に55以上の軍事基地を建設しており、もっと建設する予算を出していたのである。/さらに言えば、米軍はすべての都市部から引き上げたのでもない。もろもろの報道によると、米軍の戦車がバグダッドのグリーン・ゾーンや空港の周辺地域をパトロールし続けることは確かである。また、主要都市の大通りは、米軍に訓練されたイラク兵がパトロールし、検問所ではどこでも身分証明を求めて市民は嫌な目に遭わされている。/「米軍がイラク国内の軍事基地に駐留し続けるというからには、国の主権などないという事実は疑いない」──バスラ在住の40歳の教師ナジム・サリムは言った。「しかし政府は、米軍が居てさえ国民を守ることのできない地域があるのに、外国軍(=占領軍)が撤退すると国民に信じさせたがっているのさ」。
 ◆イラクの「主権の日」は米国流の誇大宣伝(Jeremy Scahill、7月30日)
 ショーは大がかりに行われたものの、アメリカの占領が続いている。イラクの傀儡(かいらい)政府は6月30日を「国家主権の日」と名づけたが、アメリカの侵略と占領で何万人ものイラク人が傷つけられ、殺され、拷問され、あるいは難民化させられたことには言及せず、占領軍が自分たちを権力の座に就けてくれたことに感謝した。/イラク政府は、そのおぞましさを象徴するかのように、石油と天然ガスの巨大な油田の一部を外国企業に開放するという行為によって、「国家主権の日」を祝った──ウォールストリート・ジャーナルが報じた。/テレビで放映された式典には、6つの油田と2つのガス田の競売に国際的な石油企業が招待されていたが、それはサダム・フセインが石油部門を国営化して外国企業を排除したあと、30年ぶりに外国企業が復帰する一コマであった。競売に参加する企業のなかには、エクソン・モービル、ブリティッシュ・ペトロリアム、といった西側メジャーがあり、6月30日に契約に漕ぎつけたという報道もある。非国営企業では、世界のトップ10のうち8社までが、6つの油田と2つのガス田をめぐる開発利権をめぐって競争している。/ニューヨーク・タイムス紙の報道によると、米軍は「主権移譲」の見せかけを保つために、イラク人が治安を統制しているという外見を整える機会として、今後数日間は駐屯地にこもるよう米兵に命令を出した。「今後数日間」という字句に注目して欲しい。/米軍は、実際に、イラク軍の顧問および訓練のために、イラクの諸都市にとどまっており、膨大な数の駐屯地が都市部の外にあるとはいえ、瞬時に攻撃や再配置に応じることは可能である。/既に報道されているように、米軍司令官はさらに15~20年間は駐留する用意があると述べており、アメリカ大使館はバチカン市国なみの大きさを維持し、契約企業や傭兵企業も引き上げに向けた正式の計画を示していない。/アメリカとイラクの間に交わされた駐留米軍の地位協定は、占領を無期限に延長する権利とイラクに軍事介入し続ける権利をアメリカにゆだねている。

 ピープルズ・プラン研究所が訳出した論文も非常に重要なので、上の2論文と重複しないように、主として米国・イラク間の地位協定(SOFA)に関する部分を引用させていただく。(出典:名ばかりのイラク撤退(エリック・リーバー、ダニエル・アツモン、6月24日 ※ http://www.peoples-plan.org/jp/modules/article/index.php?content_id=15)

 ■多数の軍隊が都市部に残るにもかかわらず、米国は、地位協定(SOFA)を順守していると主張する。しかし米国は、「政策」ではなく「解釈」を変えることでしのごうとしている。たとえば、バグダット市内のファルコン前進作戦基地に駐留している3000人の米兵を移転させる計画はない。ファルコン基地はバグダット市内にあるのに、都市部とはみなさないと司令部が決定したからだ。
 ■地位協定の一番大きな抜け穴は、軍事請負業者の扱いである。イラクにいる132,610人の軍事請負業者については、ほとんど言及がない。米国防総省の報告書によると、このうち36,061人がアメリカ国民である。
 ■兵士たちを米国に帰すのではなく、6月30日の期限が適用される兵士に宿舎を提供するために、軍は農村部に進出して新たな基地を建設している。米議会はつい近頃、軍事支出法案を通過させたのだが、この法案には、イラク国内での軍事建設のための追加資金提供が含まれている。

 さて問題の地位協定だが、同協定は今年1月に発効した。昨年末に失効した国連安全保障理事会決議に代わる米軍駐留の根拠となっているが、占領継続協定としてイラク民衆の反発が強い。昨年11月の協定案の議会承認の際、反対派の票を得るために国民投票条項が盛り込まれたが、国民投票は来年1月30日に実施される。

 ◆イラク、来年1月に国民投票 米との地位協定の是非問う
 イラク政府は6月9日、2011年末までの米軍のイラク駐留を認めた米イラク地位協定について、是非を問う国民投票を10年1月30日に実施することを閣議決定した。投票は当初、09年7月を予定していたが、イラク政府報道官によると、連邦議会選と同日投票にすることで、警備などにかかる費用や手間を軽減する。(6月12日付『日経』)
 
 国民投票が延期されたのは、現状では地位協定が否決されることが明らかだからだ。オバマ政権が来年の国民投票も延期するようマリキ傀儡(カイライ)政権に圧力をかけることは間違いない。

●戦火は拡大する一方だ!!
 得られる情報を見る限り、オバマ大統領が掲げる「撤退」はリップサービスの類にすぎない。米軍も軍事請負業者もイラクから撤退する気はない。しかも制空権も制海権もイラクに移譲されていない。そのイラクに油田とガス田を求めてメジャー(国際石油資本)がハイエナのように群がっている──これが「主権国家」イラクの実態である。
 ここで注目すべきニュースがある。「英国防省は7月31日、イラクに最後まで駐留していた約100人規模の英軍部隊が、クウェートに撤収したことを明らかにした。イラク連邦議会で駐留延長が承認されず、同日に駐留期限が切れるため。オーストラリア軍とルーマニア軍も同日までに撤退。イラク駐留多国籍軍は米軍だけとなり、多国籍軍広報官は来年1月から『イラク駐留多国籍軍』を『イラク駐留米軍』に名称変更するとしている。」(8月1日付『共同』)。
 これでイラクは米国の専有物になったとオバマ大統領は考えるのだろうか。彼は一方でアフガニスタンとパキスタンでは侵略戦争を拡大し、両国の民間人被害は増大するばかりである。だがアフガニスタンで戦火を拡大しているのは米国だけではない。4050人の兵員を派兵しているドイツ政府が身を乗り出して来た。ミリバンド英外相は7月29日、アフガニスタンでの作戦を継続することをクリントン米国務長官に表明した。

 ◆ドイツ軍:アフガンでタリバン掃討戦 異例の本格軍事行動
 ドイツのユング国防相は7月22日記者会見し、アフガニスタン北部に駐留するドイツ軍が、アフガン軍と合同で旧支配勢力タリバンの掃討作戦を実施中であると明らかにした。治安維持活動や復興支援を中心に展開してきたドイツ軍が、本格的な軍事行動に乗り出すのは極めて異例だ。/ユング国防相によると、ドイツ軍は06年に北部に駐留して以来初めて装甲戦闘車や重武装兵を投入する。ドイツ軍300人とアフガン軍800人が参加し、攻撃機も使って北部クンドゥス周辺の半径30キロ地域から武装勢力を排除するという。作戦の狙いについて、ドイツ軍は「8月20日投票のアフガン大統領選を無事に実施するため」としている。/ドイツは01年から北大西洋条約機構(NATO)が主導する国際治安支援部隊(ISAF)に参加、アフガン北部には06年から駐留し、北部地域全体の司令・統括を担当している。(7月23日付『毎日』)

今夏、戦闘の激化は必至である。米軍を支援するため、日本の海上自衛隊は米軍艦船にインド洋・アラビア海で洋上給油を続けている。
 とすれば、私たちがなすべきことを改めて指摘する必要があるだろうか。



★ 政権交代 ★ 小選挙区制は多様な選択肢を奪う ★

2009年08月09日 | 読者会定例会
 練馬読者会の7月は、寂浄庵にて恒例となった納涼拡大読者会。拡大読者会ということから、初めて(?)共産党から党地区委員長の岸さん(今回東京9区から立候補予定)ほか1名のゲスト参加をえて、飲んで食べておおいに語り合う夕べとなりました。

 衆院選を前にして~二大政党により政権交代の可能性が高まった意義を認めつつ、選ぶ側としては小選挙区制によって多様な選択肢を失ってしまったのも事実。
現状では「比例区」を有効利用して小さな政党の議席を確保するしかないのでしょうか?

 共産党の方には、市民運動との関わり方や社民党との関係、野党協力のあり方や党組織について、路線転換(「たしかな野党」から「建設的野党」へ)についてなど、時間が足りないほど多くの質問・意見が出されましたが、それぞれに率直な回答と意見交換が得られました。参加者もそれぞれに一致できること、一致できないことがありましたが、当読者会として今後も党派を抜きにこのような機会を増やしたい…ということになりました。
(SUZ)
 練馬読者会8月例会

  日  時:2009年8月22日(土) 19時から
  会  場:喫茶ノウ゛ェル(西武池袋線大泉学園駅北口駅前)
  会  費:喫茶代
  問合わせ:nerikinjyutu@mail.goo.ne.jp
       または03-3925-6039 近藤まで。


◆ 反戦の視点・その84 ◆

2009年08月07日 | 練馬の里から
普遍的で包括的な人権意識の定着こそ、戦争国家への歯止め
                              井上澄夫

 「死刑に異議あり!キャンペーン」を1年間持続してこられたみなさんに、深い敬意を表します。私はこれまでお話された方々とは、少し違うことをお話します。 

 いわゆる「明治」期の自由民権運動のことは、みなさん、よくご存じと思います。民権は国権に対置された概念ですが、私は現在の日本の人権状況は、この民権が人権と同じものではなかったことにも大きな原因があると思うのです。
 言うまでもなく、民権は人権と重なり合う部分を持っていました。しかし同じものではありませんでした。というのは、自由民権運動は地租軽減、国会開設、不平等条約撤廃、言論・集会・結社の自由などをスローガンとしていたのですが、天皇制国家との闘いにおける最も切迫した課題が、政権獲得のための国会開設に収斂(しゅうれん)されていったからです。
 土佐の民権派が盛んに唄った「よしや節」というのがあります。「よしや」は古い表現で「たとえ……であったとしても」という意味です。「よしや節」にこういう一節があるのです。〈よしやシビルは不自由にても、ポリチカルさえ自由なら〉。
 たとえ一般市民に自由がなくても、政治的自由さえ保障されれば、という意味ですね。それが象徴しているように、民権はなにより政治的な自由を核としていました。憲法学者の樋口陽一さんはこう指摘しています。
 〈政権獲得をめざすことの反面、政治の前提となる社会のありよう、さらにさかのぼってその社会の想定する人間像という場面まで射程の及ぶ関心はほとんど欠落していた。〉
            (『憲法 近代知の復権へ』、東京大学出版会、2002年刊)
 今日では、人権が単なる政治的な自由権をはるかに超える普遍的で包括的な概念であることは常識です。しかし当時の自由民権運動では、たとえば、女性差別が顕著でした。男女・女男平等の思想がまったくなかったわけではないのですが、それが運動の基調になることはありませんでした。民権家の遊説では演説会を主催する側が弁士を宴会でもてなしたあと、遊郭に送り込むことが多かったといわれています。
 1881(明治14)年に結成された板垣退助らの自由党は、弾圧と買収で切り崩され、1884(明治17)年に解党しました。1889(明治22)年に明治天皇が大日本帝国憲法を下賜する形で発布し、翌年、1890(明治23)年に、欽定憲法施行とともに国会が開かれますが、そこに至る過程で、もともと「国権伸張のために民権の確立を」という危うい論理をはらんでいた自由民権運動は、朝鮮を属国化する動きに進んで呼応し、排外主義を媒介にして国権主義に変わっていきました。自由民権運動は、私たちに多くの豊かなものを遺(のこ)しながら、普遍的で包括的な人権思想を肉体化し、それが天皇制国家との対決を強く促(うなが)すという方向に発展しませんでした。

 なぜこういうことをあえて言うのか。日本国憲法下にある私たちも、かつての自由民権運動と同じ道をたどりつつあるのではないかと思うからです。私たちは今すでに、戦時下に生きています。そう思う人は少ないのですが、それはまぎれもない事実であり、この戦時下で死刑の執行が激増しているのです。2006年12月25日の長勢甚遠元法務大臣の死刑執行に始まり、鳩山邦夫、保岡興治、森英介の各法務大臣へと続く連続的な大量の死刑の執行は、わずか2年1カ月の間に、10回、合計32名にのぼっています。日本は国外で戦争し、「銃後」の国内で次々に死刑を執行する、そういう国になってしまっているのです。
 世界人権宣言(1948年)はその第3条で「すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する」と規定しています。しかし1989年に国連総会で採択された国連死刑廃止条約を日本は批准していません。自由民権運動における最高の理論家だった植木枝盛(うえきえもり)が構想した「東洋大日本国国憲案」はその45条で「日本の人民は何らの罪ありと雖も生命を奪はれざるべし」と明確に規定したのですが、残念ながら、運動の敗北によってこのすばらしい条文は活かされませんでした。
 
 やはり、私たちの中に普遍的で包括的な人権意識を定着させることが問われていると思います。私は「死刑廃止を求める市民の声」という小さなグループの一員ですが、死刑執行に抗議する共同声明への賛同をネットで呼びかけると、「今まで死刑反対の意思表示をしたことがなかったのですが、こういう場を設けてくれてありがとう」という反応が寄せられます。死刑に疑問を持つ人、死刑に反対する人は、じわじわとですが、着実に増えていると実感します。
 法務省は世論の8割が死刑存置を支持しているということを死刑執行の根拠にしていますが、では、残りの2割の意見を無視していいというのでしょうか。死刑存置に賛成といっても、その理由は一様ではないでしょう。ためらいながら賛成している人もいるはずです。私たちの働きかけによって、意見を変える人は決して少なくないと思います。
 魯迅は「安易な絶望は根拠のない希望と同じである」とのべています。希望はその字のとおり、希(まれ)な望みですから、そうそうあるものではない。それなら私たちが希望を創るしかないではありませんか。
 私たち「死刑廃止を求める市民の声」は、安易な絶望を友とせず、みなさんといっしょに努力を続けようと思います。

【付記】7月25日、東京の都心で「死刑に異議あり!キャンペーン1周年記念集会」が開かれた。私はそこで発言したが、時間の制約により、あらすじしか語れなかった。本稿はそこでの話に大幅に加筆したものである。
 なお、その後、7月28日、森法相が3人の死刑囚に死刑を執行した。以下に「死刑廃止を求める市民の声」が呼びかけた「市民の共同声明」を添付する(署名者は略)。

森英介法相による3度目の死刑執行に強い怒りをもって抗議し、
         死刑執行の即時停止と死刑制度の廃止を求める市民の共同声明


                           2009年7月28日

 法務省は7月28日、大阪拘置所で山地悠紀夫さん(25歳)と前上博さん(40歳)に対し、また東京拘置所で陳徳通さん(41歳)に対する死刑を執行したと発表しました。

 私たちは、またもや繰り返された「国家による殺人」に強い怒りをもって抗議します。


 森英介法相は本年1月29日に4人の人びとに対する死刑を執行しました。私たちはそれに強く抗議するとともに、森法相に3度目の執行を行なわないよう求めてきました。  しかし、森法相は2度目の執行以来約半年ぶりに再び執行したのです。森法相は計9人に死刑を執行しました。

 今回の執行では、死刑確定から執行までの期間は、山地さんが2年1カ月、前上さんが2年、陳さんが3年で、異例の短期間での執行でした。森法相は「衆議院が解散されても、今は、私が法務大臣であり、法務大臣としての職責を粛々と果たした」とのべていますが、今回の執行は、誰もが衆院選をめぐる政局に注目している時期にドサクサ紛れに強行されたと言わざるを得ません。

 それだけではありません。2007年8月に就任した鳩山邦夫元法相以来、死刑執行のペースが加速し、司法においては死刑判決が何のためらいもなく次々に乱発されています。

 死刑廃止は今や世界の滔々たる大潮流ですが、死刑執行の激増をもってそれにひたすら挑戦し続ける日本政府の姿勢は醜悪極まるものです。
 私たちは森法相の暴挙に重ねて抗議するとともに、日本政府・法務省に対し、死刑執行を即時停止し、死刑制度を廃止することを強く要求します。



■◆■ 参考資料・福田王国(群馬県)のお話し ■◆■

2009年08月05日 | 参考資料
《『フライデー』2007年12月7日号》より

〔告発ルポ〕
 総事業費8800億円! 52人の天下りのムダ
  福田首相「地元八ッ場ダムでの国交省天下りシステム」に怒!


            取材・文 横田一(ジャーナリスト)

 福田康夫首相(71)のお膝元・群馬県長野原町で、55年前に計画された「八ッ場ダム」の建設が進んでいる。総事業費は4600億円で、下流域の関連事業や起債の利息を含めた国民の総負担額は8800億円とダム事業としては全国トップ。
 利水と治水が目的だが、供給予定の首都圏(東京・埼玉・千葉・茨城・群馬・栃木)では水需要が低迷し、人口減少時代となって水余りに拍車がかかる。
一方の治水も非現実的な洪水を前提にしているため、効果が乏しい。「日本一無駄なダム」と批判されているのはこのためだ。しかも福田首相の父・赳夫元首相が強力な推進派だったことから、「地元では“福田ダム”と呼ばれています」(住民)。

 なぜ必要性の乏しい“福田ダム”に巨額の血税をつぎ込むのか。長妻昭衆院議員(民主)は、八ッ場ダムに関する資料を国土交通省に提出させていた。ダムの工事名・落札業者・落札金額・契約日が入った一覧表や、国土交通省から落札業者への天下り数(再就職数)などをまとめたもので、分量はA4判23枚に及ぶ。

 長妻議員はこう振り返る。

「国交省に資料提出を求めた時、最初はごく一部しか出してきませんでした。それで何回も執拗に要求して、やっと詳しい資料を出してきた。それを見ると、出し渋る理由が何か、想像がつきました。ダム工事を落札している37社の企業に国土交通省職員が52人、7つの公益法人を含めると77人が天下っていたのです」
 工事落札業者のゼネコンの中には、自民党に献金していた企業(鹿島・大林組・小田急建設など)もあった。「典型的な政官業の癒着です。ちなみに民主党は臨時国会の最重要課題に『税金の無駄違い一掃』を掲げ、天下りの廃止を求めています」(長妻講員)

 “福田ダム”の建設は、国交省OBの天下りのためという側面があるわけだ。元キャリア官僚も、こう話す。「国交省に限りませんが、官僚の最大の関心事は天下りです。だから『費用は低めに、効果は水増しする』という常套手段(情報操作)を使って無駄な公共事業を正当化し、着工にこぎつける。後は『予想外に地盤が軟弱だった』などと言い訳をして事業費を膨らませればいい。工事さえ始めれば、請負業者が増え、天下り先も次々と出来るという計算なのです」

 こうした役人の悪知恵を見抜いてダム建設を中止させたのが、鳥取県の片山善博・前知事。建設予定の中部ダムについて県土木部は「護岸工事の147億円よりダム工事の140億円のほうが安い」と正当化していたが、片山前知事は「嘘を言ったら情報公開条例で罰せられるぞ。試算をやり直せ」と迫った。これに震え上がった役人が「本当はダムが230億円、護岸工事が78億円でした」と改ざんを認めたのだ。
 10月10日の予算委員会で、前原誠司・民主党副代表は、片山前知事の“武勇伝”を紹介した上で「徹底した情報開示」の重要性を訴えた。対する福田首相はひょうひょうとこう答えた。「私の県にも大きなダムがあります。八ッ場ダムみたいな建設中のもある。日頃、(ダム問題への)関心は十分持っている。需要がどれぐらいあるのか。可能な限り、情報公開しながら、的確かつ厳格なる事業評価をしていかなければいけない」
 期待を持たせたのはいいが、質問から1カ月以上経っても「国交省から新たな情報公開の資料や厳格な事業評価の結果は届いていない」(前原事務所)。

 国会で答弁しておきながら放置したままでは、福田首相は「役人の味方なのか」と批判されても仕方がない。実は、八ッ場ダムの総事業費(関連事業費や利息を除く)も、86年当時は現在の事業費の半分以下、2110億円しかなかったのである。ダム予定地は地質が軟弱で、今後、総事業費がさらに膨らむ恐れもある。鳥取県と同じような情報操作の可能性があるのに、福田首相は国会で約束したことを国交省に実行させていなかったのだ。
 不甲斐ない福田首相を、野党は徹底して追及する構えだ。前原副代表は「今後も情報公開や厳格な事業評価を求めていく」と手綱を緩めず、野党国会議員有志からなる「公共事業チェック議員の会」(鳩山由紀夫会長)も、12月10日に八ッ場ダムの現地視察を決定。そして同会のメンバーである川田龍平参院議員は11月17日、先発隊のような形で工事現場を見て回った。橋梁やトンネルを目にした川田議員は、こう話す。「莫大な税金の無駄遣いに驚きました。東京選出の国会議員としても『水は余っており、ダムは必要ない』の立場で国会(所属は環境委員会)でも取り上げたい。薬害エイズ問題は厚生官僚が製薬会社に天下っていることが大きな原因でした。八ッ場ダムでも国交省の役人が落札業者に天下り、建設推進をしています。国交省と厚労省が業者のほうを向くのは天下り構造が続いているからです。天下りは直ちに止めるべきです」

 視察に同行した角倉邦良群鳥県議もこう話す。「県議のうち反対派は2人だったが、統一地方選挙で反対・慎重派県議が10人に増えました。事業費を負担する下流域(東京都など)
の都・県議とも連携したい。ダム中止を視野に入れ、水没予定地区住民の生活再建を支える法案が国会に提出されることを期待しています」

 強まる反対論に耳を傾け、福田首相はダムの見直しに着手するのか。それとも国交省の天下りシステムを温存するのか。

 なお福田首相にダムの必要性などについて質問状を送付したが、期限までに回答はなかった。国交省も「八ッ場ダムは治水対策上や水資源確保のために必要不可欠な施設。天下り先確保のために推進しているわけではない」と反論した。
 だが、03年から05年のたった3年間で77人もの役人が再就職する公共事業を天下りシステムと言わずしてなんと言うのだろうか。


●八ッ場ダム事業に係る落札業者への国土交通省職員の
 再就職者数〈過去3年(平成15年から平成17年)の営利企業に限る〉

 (企業名)        (人数)

(株)オオバ           1
池下工業(株)          1
池原工業(株)          2
小田急建設(株)         1
開発コンサルタント(株)     4
(株)一瀬調査設計        1
応用地質(株)          1
(株)オリエンタルコンサルタンツ 1
(株)建成社           1
(株)建設環境研究所       2
(株)建設技術研究所       1
(株)ダイヤコンサルタント    1
(株)千代田コンサルタント    2
(株)テクノプラン        2
(株)東京建設コンサルタント   1
(株)トデック          1
(株)ニュージェック       4
(株)日測            1
(株)横打            1
川崎地質(株)          1
協和補償コンサルタント(株)   1
興亜開発(株)          2
国土環境(株)          2
佐藤鉄工(株)          1
サンコーコンサルタント(株)   1
新構造技術(株)         1
住鉱コンサルタント(株)     1
大日本コンサルタント(株)    1
東武計画(株)          1
日本建設コンサルタント(株)   1
日本振興(株)          2
パシフックコンサルタンツ(株)  2
東日本旅客鉄道(株)       1
富士通(株)           1
復建調査設計(株)        2
三井共同建設コンサルタント(株) 1
八重洲コンサルタント(株)    1


●八ッ場ダム事業に係る落札業者への国土交通省職員の再就職者数〈国土交通省所管公益法人に限る〉

(財)国土技術研究センター    6
(財)建設物価調査会       2
(財)ダム水源地環境整備センタ  4
(財)ダム技術センター      2
(財)水資源協会         3
(財)日本気象協会        6
(社)関東建設弘済会       2

落札業者に再就職した国土交通省職員数(03年から05年の3年間)と落札金額の一覧表。このうち「小田急建設」と八重洲コンサルタント」は自民党国民政治協会にも献金していた。企業名は受注時のもの