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◆◆ ちょっと待って民主党マニフェト ◆◆

2009年08月17日 | 壊憲STOP勝手連
 秒読みに入った民主党鳩山内閣。諸々の抵抗や障害があっても、マニフェストを確実に実行に移す過程で“官僚内閣制”とはちがう政策実現手法を見せてくれることを期待します。

 いまだに修正・微調整を重ねている民主党マニフェストですが、その第1に掲げるムダをなくす政策の中に衆院定数を80削減とあります。
 このマニフェストに掲げられた政策にはいくつもの問題が指摘されています。もちろん政策には優先順位があり、幅広い支持を得るためのおいしい表現や、あえて触れないこともあるでしょう。こうした限界を認めてもなお《衆院比例区80削減》は、最大の問題であり許し難いものです。
 民主党はマニフェストから削除ないし凍結再検討すべきでしょう。

 もともと小選挙区制は、勝者総取りで民意を反映せず、それだけでは国民主権の原則にもとるという根本的欠陥を持っています。細川内閣時代に抜本的「政治改革を!」という国民の声を選挙制度改革にすりかえて成立を図り、その際に欠陥を緩和する意味で、民意をストレートに反映する比例代表制を並立させたという経緯を想起してほしい。当初の案では小選挙区250/比例区250だった。それが300/180になり小泉郵政総選挙を経験し、いよいよ09年政権交代選挙を迎えた訳ですが、民主党は何故、ムダを切るという目玉商品を掲げる中に、国民の意思とは無関係に大政党支配を永続化させるような選挙制度変更をまぎれこませようとするのでしょうか。

 もし意図的にそうしたのならそれは一種の詐欺的所業です。なぜなら、公選法で決められている衆議院480人(小選挙区300/比例180人)、参議院242人(選挙区146/比例代表96)は、1.2億人の国民意思を代表するのに諸外国と比べても決して多くはないからです(下掲共同声明参照)。それでもなお“代議制民主主義のコスト削減”をいうのであれば、たとえば政党助成金に手をつけたり、たとえば小選挙区200/比例区200といった案にすべきでしょう。誰もが納得できるコストカットのやりかたではないかと思うからです。(共同声明賛同者緊急募集中=詳しくは下のURLまで)
(イトヤン)

共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」

2009年8月4日

 民主党は、7月27日に発表した衆選マニフェスト(政権公約)のなかで、「ムダづかい」削減のために衆議院比例区議員の定数80削減を提案した。
 自民党でも、定数削減を政権公約にしている。

 しかし、国会議員の定数削減は、議会制民主主義のもとにおける有権者の多様な意思の表明を困難にし、民主主義の精神を踏みにじるものであり、我々はこの提案に強く抗議する。

1. 議会制民主主義のもとでは、広範な市民の多様な意思をできるだけ的確に議会に反映させること、従ってまたこのための仕組みが極めて重要である。

2. このためには、然るべき人数の議員が必要である。
 現在の衆議院の定数、480人は決して多すぎるものではない。
 現在の選挙制度が発足した時には500人であったが、その後削減されている。

3. ヨーロッパの主要国(独、英、仏、伊)では、人口は日本の2分の1から3分の2であるが、下院議員の定数は600人前後である。
 人口10万人当たりの定数は、独で0.74人、その他では1.0人前後である。
 これに対し、日本では0.38人と極めて少ない。

4. 米国の連邦下院議員定数は、435人と少ないが、独特の大統領制である、州の権限が強い連邦国家であるなど、政治制度が日本と 著しく異なっており、比較の対象にするのは適切ではない。
 それでも、米国の議会予算は日本より大幅に多い。

5. 定数削減の目的は、これまで、民間のリストラ、国の行政改革に対応して、国会も人員、予算の節約を図る必要があるため、といわれてきたが、今回「ムダづかい」削減による財源確保が目的、とされている。
 しかし、国権の最高機関である国会の議員の在り方を、民間や一般公務員と同じように論ずることは基本的に間違っており、特に議員定数の一部を「ムダ」とみなしてその削減を財源確保の手段としていることは、到底容認できない。
 定数削減の結果、国会がまともに機能しなくなったら、民主主義が衰退してしまうことを無視している。

6. このような危険を冒してまで議員定数を削減しても、それによる予算節約はそれほど大きいものではない。
 国会の予算は、国会図書館を除くと約1,100億円である。(この他、政党助成費が321億円ある。)
 これは、一般会計予算の0.12%であり、この一部を削減しても予算の1万分の1から2程度である。       
 因みに、米軍へのいわゆる「思いやり予算」は2千数百億円に上る。また、F-15戦闘機は一機100億円、F-2は120億円である。
 もちろん予算節約の努力は必要であるが、他方、国会の基本的な任務遂行に必要な予算は、民主主義のコストとして負担すべきである。

7. 定数削減は、比例区の定数削減として提案されているが、この提案には、民意をより正確に反映する比例区の定数を削減し、最終的にはこれを無くして、完全な小選挙区制に変えてしまおうという意図が窺われる。マニフェストには「政権交代が実現しやすい選挙制度とする」と記されているからである。
 ただし、専門家によると、小選挙区制では政権交代が起きる可能性が高い、ということは明瞭とはいえない。

8.小選挙区制には問題があることは広く知られているにも拘わらず、選挙制度の在り方について公に議論しないまま、定数削減によって完全な小選挙区制へと実体を変えようということは、極めて不公正、不当な政策であるといわざるをえない。

9. 小選挙区、2大政党制は、統治する立場からは好都合といわれているが、市民の立場からは、多様な民意を的確に反映させることにはならず、不公正である。
 有権者の意思を的確に反映させるためには、少数政党への投票をも尊重する比例代表制を基礎とした制度が絶対に必要である。

10. このように大きな問題があるにも拘わらず、定数削減という方針が尤もらしく聞こえ、一定の支持を得ているのは、ろくに仕事をしない議員が多すぎる、世襲議員が余りにも多い、などのためであろう。
 この状況を改めるのは、定数削減ではなく、望ましくない議員を落選させ、真っ当な人物を選ぶことである。

11. 参議院議員の定数については、今回は触れない。参議院の在り方を議論する過程で慎重に検討すべきである。
 衆参合わせて何割削減などという粗雑な議論は、問題外である。

 以上の理由により、我々は国会議員の定数削減という政策の撤回を強く求める。

「平和への結集」をめざす市民の風
http://kaze.fm/kaze.html




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