練金術勝手連

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※ 練金術(ねりきんじゅつ)とは『週刊金曜日』練馬読者会的やり方という意味です。

★★ どんな感情をもっているのか試され問われる ★ 拡大読者会迫る ★★

2008年08月17日 | 今週の注目記事

 改めて、ホームレスが売る雑誌『THE BIG ISSUE JAPAN(ビッグイシュー日本版)』に注目してみた。今週は『週刊金曜日』がお盆休みだから…という訳でなく、手にしたビッグイシューが03年に日本版が創刊されてちょうど100号の節目にあたるからだ。

 広告ばかりで読むべき記事のほとんどない無料雑誌が駅や街頭に氾濫するなかで、07年に200円から300円に値上げしたビッグイシュー。にもかかわらず、販売員という形でホームレスの人に収入の機会を提供するスタイルは支持され…、あるいは国際性・多様性・意外性のある記事と“若者のオピニオン誌”という同誌のコンセプトに対する理解や共感も進んでいる…、と言えるのではないか。これからも注目してゆきたい。

 さて、記念すべき第100号だが、香山リカさんは同号の対談で「ビッグイシューを買うとき、自分がどんな感情をもっているのか試され問われる」という…。雨宮処凛さんの人気連載コラム「世界の当事者になる」VOL.43は、まったく同感なので、全紹介しよう。   
  秋葉原で、1人の若者が「暴発」した日
雨宮処凛

 この号が出るころには、6月8日の秋葉原の無差別殺人事件も「過去」のことになってしまっているのだろうか。7人が殺されるというあまりにも痛ましい事件。犯人が派遣労働者であり、リストラにおびえていたことなどから、私のところにも多くの取材が来た。
 彼のしたことは決して許されることではない。殺され、けがをし、また突然「遺族」となってしまった人のことを思うと、ただただ言葉を失う。なぜ、自分の家族が殺されなければならなかったのか、そればかりを問う日々にいるのではないだろうか。私自身、過労死や過労自殺、いじめ自殺の取材を通して、突然「遺族」となってしまった人々とかかわらせてもらってきた。彼らは「なぜ」と問い続けている。ずっと。
 なぜ、あんな事件を起こしたのか。真相は彼にしかわからない。もちろん派遣という不安定な働き方もあるだろう。親との関係や自らへのコンプレックスもあるだろう。気が遠くなるほどの孤独や絶望もあるだろう。
 この連載で、私は派遣や請負など、不安定な働き方をする人々の窮状を伝えてきた。生産調整に振り回され、あっさりとクビを切られ、寮を追い出される若者たち。そうしてネットカフェ生活や路上生活になってしまった若者を、私は多く知っている。
 しかし、誰も彼のような「暴発」を起こさなかった。あの事件までは。24歳以下の非正規雇用率は50%。少し先の未来の予測も立たない日々の中で、多くの若者は必死に働いている。その中で、自分たちの状況をなんとかしようと、彼と同世代の若者たちは労働組合を作り、合法的にこの現実を変えようともしている。
 彼がもし、自分と同じような境遇の若者たちが、自らの「生存」を求めてさまざまな「労働/生存運動」をしていることを知っていたら。事件後、痛切に思ったのはそのことだ。彼のような人にこそ届かなければならないそんな運動が、当事者に伝わっていないことをまざまざと感じ、愕然とした。
 運動にかかわる人の中には、彼のように親との関係が複雑な人もいる。深いコンプレックスを抱える人もいる。派遣でクビを切られ、住む場所がない人もいる。生き方がへたな人も、他人とうまくコミュニケーションがとれない人もいる。だけど、そんな人たちが集まって「働くこと」「生きること」「生きづらさ」について語り、生まれて初めて隣にいる誰かと「競争しなくていい」居場所を手にしている。そんな「場」が今、全国に少しずつできている。けれど、現実的にはまだまだどうしようもなく少ないのだ。ただ同じような境遇の誰かと語り、自分が「ここにいてもいい」と思える場所。そんな場が広がっていくことが、悲劇を繰り返さないためのひとつの方法だと思う。


そしてちなみに、第99号は特別企画号「まるごと『地球温暖化』~つくろうよ地球人の作法」だ。それは果たしてどんな作法なのか…、バックナンバーについても販売員さんに聴いてみよう。
今週末に実施の8月練馬読者会は 拡大読者会だ。事前連絡が必要。問い合わせはnerikinjyutu@mail.goo.ne.jpまで。

(練金術師)

  ★★ 国民を騙しにかかるのではないか ★ 7月例会より ★★

2008年08月12日 | 読者会定例会
 練馬読者会7月例会は、最近の金曜日誌面を材料に参加者の意見や見方を交換した。まず7月25日号の記事から、現在大ブレイク中の「蟹工船」をはじめプロレタリア文学が注目される背景や“21世紀の住人にとってのリアリティ”について意見交換。そこからさらに、週刊誌で定価500円の『金曜日』が“プレカリアート”へどれほど浸透できるか、読まれているか、その影響の有無についても激論が交された。
 そして、三浦和義さん米当局逮捕拘束事件に対する日本政府の対応や鳩山邦夫前法相による死刑の大量執行などに見られる司法の現状について。(メディア操作と一体化して司法も“劇場化”し、人権感覚をますますマヒさせていないか…。)
 現在の与野党の動向については、政権を失いそうな自民党がメディアを使った世論操作を強めるだろうし、たとえば総選挙直前に株価をつり上げたりして、国民を騙しにかかるのではないか、との意見。

 読者会に参加していると自分の認識や意見を鍛えられることも多い。今回は特に、意見や主張の一貫性と自分の主張を修正する柔軟性の間でバランスをとることの難しさを改めて感じた会となった。
(kdak)

   ●● 23日は拡大読者会 ● 初めての方もどうぞ●●

2008年08月05日 | 読者会定例会
 先送り以外に何も決められなかったG8サミット。
 かつて経験したことのない暑い夏を迎え、温暖化(気候変動)の暴走が後戻りできない次元に入ろうとしていることが、実感できる毎日だ。「もはや“マイバッグ”や“マイ箸”でエコな気分に浸っている場合ではない!」とは誰が言ったか。来るべき総選挙の最大で喫緊のテーマが、実はここにある…。
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 水音したたる静寂な茶房に集っていっとき暑さを忘れるか、熱き厚い議論で暑さに克つか、練馬読者会8月23日(土)は寂静庵(近藤宅)にて夏の拡大読者会。
 久しぶりの方…。
 初めての方も歓迎。

(練金術師)

  会  費:3000円(飲み物持参)
  時  間:19時から24時
  参  加:03-3925-6039 近藤まで
  申し込み:21日まで(気軽に問い合わせください)
  会  場:寂静庵
       http://www.interq.or.jp/tokyo/jakujoan/