練金術勝手連

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※ 練金術(ねりきんじゅつ)とは『週刊金曜日』練馬読者会的やり方という意味です。

● 記憶に刻まれる日 ●9月読者会で話したこと ●

2009年10月18日 | 読者会定例会
 政権交代選挙・鳩山内閣発足後初の読者会となった9月は、今回の政権交代などについてじっくり話せるように開始時間を1時間繰り上げて行った。
 まず、今回の政権交代の歴史的意義や鳩山内閣への期待と課題などについて「今回の政権交代は、日本国民が歴史上初めて主体的に国家の権力を引きずり下ろした出来事で、『8.30総選挙革命』とさえ呼ぶに値する、大政奉還、ポツダム宣言受諾に続く転換点となろう。また、外国でいえば、例えば、フランスにおけるフランス革命にあたる出来事といっても決して誇張ではないのではないか。」、「民主党批判を控え自制した今回の共産党の対応は評価できる。」、「今回の選挙で初当選した「小沢チルドレン」と呼ばれる民主党の新人の中に、「小沢さんが選挙のやり方をご指導して下さったお陰で当選できた。」と発言していた人がいたのが気になる。」といった意見や指摘が出た。また、公共事業削減などの鳩山内閣の政策に地方がどれだけ耐えられるか、前原国交相の八ツ場ダム工事中止や日航再建などの取り組み、鳩山内閣の外交防衛政策などについても議論は進んだが、今回の選挙で政権交代がなったのは良かったこと、国民は鳩山内閣を温かく見守るべきであることなどで意見の一致をみた。関連して、環境問題や原発問題が話題になり、 温暖化懐疑説や鳩山首相のCO2・25%削減表明が原子力政策に与える影響などについても話し合った。
 その他、「週刊金曜日読者会は、市民同士が会い、親交を深め合える役割を果たす場であることを常に意識しないといけない。」、「朝鮮による拉致問題を考えるにあたっては、戦前の日本の植民地支配を第一に意識しなければならない。」といった発言が出た。政権交代後最初の読者会にふさわしい充実した会にすることができた。
 長いこと多くの国民が待ち望んでいた総選挙を経て、日本の歴史上初めて国民が主体的な意志で選んだ、民主党中心の鳩山内閣がついに発足しました。総選挙投票日の2009年8月30日(日)と、鳩山内閣が発足した2009年9月16日(水))は、政権交代を望み、そうなるように行動し投票した日本国民にとっては、しっかりと記憶に刻まれる日になるのではないかと思います。民主党などには問題がところどころあるものの、国民が主体的な意志で選び樹立した政権である以上、当面は、責任を持って温かく見守っていかなければならないと思います。
 なお、10月の読者会は、以下の通り行います。日本国憲法の理念を現実化したいと思っている方、自民党政権時代とは違う日本を創りたいと思っている方、どなたでも大歓迎です。みんなで鳩山内閣を見守り、日本国憲法を現実化する決意を新たにしましょう。(kdak)

練馬読者会10月例会

  日  時:2009年10月24日(土) 18時から
  会  場:喫茶ノウ゛ェル(西武池袋線大泉学園駅北口駅前)
  会  費:喫茶代
  問合わせ:nerikinjyutu@mail.goo.ne.jp
       または03-3925-6039 近藤まで。

◆ 反戦の視点・その89 ◆

2009年10月17日 | 練馬の里から
  オバマの侵略政策への鳩山連立政権の加担を許すな!
                                井上澄夫
◆9年目に入ったアフガン侵略戦争
 米英がアフガニスタンへの空爆を始めたのは、2001年10月7日のことだ。同年の〈9・11〉を口実に米ブッシュ(子)大統領はおよそ空爆への対抗手段を持たない小国を破壊し始めた。それは「対テロ戦争」の開始を意味したが、「対テロ戦争」戦略の策定それ自体はラムズフェルド国防長官(当時)などによってもっと前に行なわれていて、〈9・11〉は同戦略の世界大の展開の始まりだったと指摘されている。1989年の冷戦の終結がさまざまな民族紛争や宗教抗争を続発させたことへの対応として、世界唯一の超大国アメリカが世界支配を打ち固めるため「対テロ戦争」戦略を編み出したのだ。
 今年の10月7日、アフガニスタン(以下、アフガン)侵略戦争は満8年を経過した。世界最大の軍事力を有する国が農業や牧畜以外産業基盤を持たない小国を侵略し、民衆を殺戮し、国土を破壊し続けてきたのだ。その残虐な行為に途中からNATO軍主軸のISAF(国際治安支援部隊)が参加した。日本政府は小泉政権時代以来、米侵略軍を支援し続けている。私たちはアフガン侵略とそれへの日本の加担に反対してきたが、まだ侵略をやめさせられずにいる。「海賊対処」を名目とする海上自衛隊のソマリア沖・アデン湾派遣も続いている。
 いうまでもないが、過去の15年戦争についてのべているのではない。いま、この瞬間にも私たちの眼前で強行されている侵略を問題にしているのだ。訪米した鳩山首相は9月23日、オバマ米大統領に対し、日米同盟について「これからも日本にとって安全保障の基軸になる。深化させたい」と表明した。「対等な日米関係」どころではない。参勤交代で江戸城に馳せ参じ、将軍家に忠誠を誓ったようなものだ。
 ※ 米英と北部同盟の攻撃によりアフガンを実行支配していたタリバーン政権は崩壊したが、2003年頃から活動を再開し、現在は勢力を盛り返している。『ニューズウィーク日本版』10月21日号掲載の「タリバン8年目の真実」は現地タリバーンの肉声を伝えるルポである。発言のすべてが真実であるとはいえないが、アフガンの現状を考える上で重要な手がかりになると思われる。

◆拡大する一方の侵略戦争─《アフガン・パキスタン侵略戦争》─
バラク・オバマ大統領はイラクからの撤退とアフガンの「主戦場化」を公約して米国の大統領になり、公約を守ってアフガンへの米軍2万1000人の増派を行なった。しかし実はそれだけではなかった。10月13日付『時事通信』の記事を紹介する。
 〈後方部隊1万3000人も派遣=戦闘兵力と別枠-米紙
 10月13日付の米紙ワシントン・ポストは、オバマ大統領が1万3000人以上の後方支援部隊のアフガニスタン派遣を承認し、既に現地に展開させていることが分かったと報じた。/同紙によると、後方支援部隊は技術、医療、情報などを担当する要員や憲兵隊で構成されている。同大統領は3月に2万1000人の増派を柱とするアフガン包括戦略を打ち出したが、ホワイトハウスや国防総省は、この戦闘部隊増強に伴う後方支援要員の派遣には言及していなかった。〉
 在アフガン米軍は今年末までの最初の増派分を含めて6万8000人とされていたが、実際には8万1000人に膨れ上がるわけだ。しかもこれらの数字には米軍御用達の民間軍事会社(PMC)のスタッフは含まれていない。したがって「米軍関係者」として計算すると、それがすでに膨大な数字になることは明らかである。アフガン駐留米軍司令官マクリスタルは、それでもなおオバマに4万人の増派を要求しており、政権内部に増派の是非をめぐって対立があると報道されているが、増派支持派が優勢と報じられている。
 このところ米軍兵士の死亡が急増していることもあり、米国世論の約6割が増派に反対しているので、オバマは苦しい立場に追い込まれている。米国防総省はNATO軍に増派を要求しているが、英国やドイツでも反戦世論が高まるなど、NATO諸国はこれ以上の自国軍増派におおむね否定的である(後注参照)。アフガンがすでに「オバマのベトナム」と化していることは、もはや誰の目にも明らかである。
 ※ 注英ブラウン首相は10月14日、現在約9000人を派遣しているアフガンに約500人を増派する方針を示したが、「他のNATO加盟国が応分の負担を分かち合う」ことを増派の条件にした。しかしフランスのサルコジ大統領は同月15日、仏軍の増派を検討していないとのべた。ちなみにISAFはアフガンに6万4000人を派遣している。
同日付英紙タイムズによると、イタリアの情報機関は首都カブール東のサロビ地区に駐留していた同国軍への攻撃を差し控える見返りに、数万ドルをタリバーンなど武装勢力に支払い、実際に効果を上げたという。このような買収は米軍もイラクでやっているが、イタリア側が2008年8月に同地区の治安担当を引き継いだフランスに買収工作を伝えなかったため、仏軍は治安状況を誤認し、同月、武装勢力の待ち伏せで一挙に10人を失った。
 しかも米国で「AFPAK(アフパック)戦域」という言葉が使用されていることに示されるように、米軍はパキスタン北西部(部族地域)を無人攻撃機プレデター(後注参照)で越境攻撃している。
〈ロイター通信によると、アフガン側の基地から飛び立ったとみられる無人機による攻撃は、オバマ政権が発足した1月20日以降の9カ月足らずで39件に上り、政権発足前の1年間の33件を上回った。しかも、この1年間はブッシュ前政権下で最も無人機攻撃が多かった時期だ。10月15日にもパキスタン北西部への攻撃で4人が死亡した。/攻撃のほとんどは、反米・反政府武装組織が潜むアフガン国境沿いの部族地域が対象。8月にはパキスタン・タリバーン運動の司令官を殺害するなど「戦果」も挙げたが、被害を分析している民間ウェブサイトは今年1月から9月までの死者447人のうち、43人は一般市民だったと指摘した。〉(10月16日付『朝日新聞』)
プレデターは女性や子どもも殺している。しかも攻撃は部族地域の南に位置するアフガンとの国境沿いのバルチスタン州にも広がる気配である。オバマ政権はパキスタン攻撃を拡大しようとしているのだ。それゆえ筆者は今後、《アフガン・パキスタン侵略戦争》という言葉を用いたい。アフガン侵略もパキスタン攻撃も明白な国際法違反であるが、オバマの「対テロ戦争」がブッシュ前大統領のそれを継承するものであることを改めて確認したい。そのブッシュはアフガン侵略に際してこう語ったという(発言は油井大三郎著『好戦の共和国 アメリカ』〔岩波新書〕からの筆者の孫引き。出典は米国の著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワード著『ブッシュの戦争』〔日本経済新聞社〕)。
 〈国民は9・11同時テロの残虐さを理解した。しかし、戦いがどれほど長期にわたるか、どのような困難な道のりになるかを理解しているようには思えなかった。〉
 実際、「戦い」は長期化し、そのままオバマに引き継がれた。オバマは「ブッシュの戦争」を継承し、米軍の増派を重ねつつある。
 ※ 注プレデター(predator、捕食者・略奪者・肉食動物の意)遠隔操縦で飛行する無人飛行機。偵察目的で開発されたが、パキスタンではヘルファイアミサイル搭載の武装型が使われているので、ここでは無人攻撃機とした。なおプレデターへのミサイル搭載は悪名高い民間軍事会社ブラックウォーターUSA(Xe サービシーズLLCと改名)が請け負っている。
 オバマ大統領の侵略政策について、ここでもう一つ重要な事実をつけ加えたい。米特殊部隊は9月14日、アフリカ東部ソマリア南部でヘリコプターによる秘密作戦を実施した。この作戦についてコープ元米国防次官補は『東京新聞』に「01年の米同時テロを受けたソマリアでの(テロ容疑者掃討)作戦は自衛行為であり、完全に合法的だ」と強調したという(10月7日付『東京新聞』)。これまでも米軍はソマリア南部をミサイルで攻撃してきた。コープの言い分によれば〈9・11〉にかかわっていると推定されれば、どの国への攻撃も「自衛行為であり、完全に合法的」ということになる。オバマはこういう軍事行動も認めているのである。
 《アフガン・パキスタン侵略戦争》の政治目的は、アルカイーダが態勢を立て直し、核を手に入れて米国を攻撃することができないようにすることだ。『ニューズウィーク日本版』10月21日号に興味深い記事がある(「増派か撤退か、それが問題だ」)。10月6日にニューヨーク大学で「アメリカはアフガニスタンとパキスタンで成功できない」という討論テーマをめぐって、6人の国防、情報、外交分野のべテランやシンクタンクの専門家が行なったディベート形式の討論会の報告記事である。それから2人の発言を紹介する。
 ▼テロリストの攻撃から私たちの身を守るために必要なのは、パキスタンとアフガニスタンの国内にある拠点の協力体制だ。(それさえあれば)必ずしも国全体を安定化させなくてもいい。(「成功できる派」、ジェームズ・シン、前アジア担当国防次官補)
 ▼アフガニスタンの大半を誰が支配しようと、本当はどうでもいい。大切なのは、アフガニスタンをアメリカに対するテロ攻撃の拠点に使いかねない連中の動きを封じることだ。私たちは平均的なアフガン人の生活改善について考えるのをやめるべきだ。考えるのはアメリカ人を守ること、それ以外は必要ない。(「成功できない派」、パトリック・ラング、軍事情報機関出身の退役陸軍大佐)
 「成功できる派」も「成功できない派」も、アメリカ人をテロリスト攻撃から守ることを至上の戦争目的とし、アフガンの安定やアフガン人の生活改善などはどうでもいいのだ。   

◆侵略者オバマがノーベル平和賞を受賞
 オバマがノーベル平和賞を受賞したことは、キッシンジャーや佐藤栄作の受賞同様、同賞がいかにいい加減なものであるかをまたも実証したが、授章は選考委員会が「核兵器なき世界」の実現に向けたオバマの構想と努力を特に高く評価したためであるというから、オバマのプラハ演説(本年4月7日)が有力な根拠であることは間違いない。
 同演説については本シリーズの「反戦の視点・その86」で解説したのでそれを参照してほしいが、オバマは演説で核軍縮に触れてはいても、演説の核心はあくまで核不拡散である。オバマはそれを「対テロ戦争」戦略の一環として位置づけ、こう語った。  
 〈最後に、私たちは、テロリストが決して核兵器を入手することがないようにしなければなりません。これは、世界の安全保障に対する、最も差し迫った、かつ最大の脅威です。1人のテロリストが核兵器を持てば、膨大な破壊力を発揮することができます。アルカイダは、核爆弾の入手を目指す、そしてためらうことなくそれを使う、と言っています。そして、管理が不十分な核物質が世界各地に存在することが分かっています。国民を守るためには、直ちに、目的意識を持って行動しなければなりません。〉
 旧ソ連解体の際、国外に流出した核物質やパキスタンの核兵器がアルカイーダなどの手に渡り、それで米国本土が再度攻撃されるのを防止したい、そのために世界は核不拡散に協力せよとオバマは主張しているのである。演説でオバマは同盟国を米国の「核の傘」で防衛することも強調しているし、米ロ間の核軍縮も核戦略に支障を来さない範囲での話である。彼のいう「核のない世界」はどこまでもリップサービスにすぎない。オバマの受賞自体、実に醜悪な茶番であるが、彼の受賞を奇貨として広島・長崎の市長が五輪候補地に名乗りをあげたことにはいうべき言葉がない。秋葉広島市長は8月6日の広島市平和宣言で「オバマジョリティ」(オバマを支持する多数派)であろうと呼びかけたが、《アフガン・パキスタン侵略戦争》を続行するオバマのプラハ演説から都合のいい部分だけつまみ食いする姿勢はどうだろうか。
 日豪両国の呼びかけで発足した賢人会議「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」は今月、広島での最終会合で、米国に対し、核兵器の「唯一の目的」を核戦争阻止に限定し、核の役割を低下させる新核戦略を採用するよう促す勧告を盛り込んだ報告書をまとめる予定だが、同委員会共同議長の川口順子元外相や元外務相高官ら日本側委員は安全保障上の「諸条件」が整わない中でのオバマ大統領への勧告に異論を表明しているという(9月14日付『共同通信』)。北朝鮮の生物・化学兵器による攻撃に対する核抑止力を堅持したいというのだが、5月に来日した同委員会共同議長、エバンズ・元豪外相は「核廃絶を訴えながら、一方で核兵器が大好きと言っていては世界に説明がつかない」と民主党岡田幹事長(当時)らに語ったという(同)。
 米国の「核の傘」に依存しながら核軍縮を主張する資格があるのかとは筆者の主張でもある。五輪誘致に際してあの石原都知事も突如「平和」を口にしたが、「核の傘」に守られた「平和の祭典」誘致は被爆地の市長が語ることではあるまい。

◆鳩山連立政権のアフガン政策
 岡田外相は10月11日、アフガニスタンを初めて訪問し、カルザイ大統領らと会談した。来年1月に終わる〈はず〉の海上自衛隊によるインド洋での米軍・パキスタン軍などへの洋上給油兵站作戦について、岡田外相ら政府首脳は「単純延長はしない」と繰り返しているが、これは「単純でない延長」はありえるという意味を含んでいる。
〈海自撤収に理解=米高官
 長島昭久防衛政務官は10月14日、米国防総省などでフロノイ国防次官(政策担当)、ジョーンズ大統領補佐官(国家安全保障担当)らと相次いで会談した。長島氏は海上自衛隊によるインド洋での給油活動について、新テロ対策特別措置法の来年1月15日の期限切れに伴い、派遣部隊を一時撤収する方向で調整していることを伝達。米側は「(継続の是非は)日本側が決めることだ」と理解を示した。〉(10月15日付『時事通信』)
 警戒すべきである。たとえ来年1月、海上自衛隊の輸送艦隊がひとたびは帰還しても、洋上給油が再開されることはありえるのだ。その前提に立って米国政府側が一時撤収に「理解を示している」と推察してもうがちすぎではあるまい。
ところで、岡田外相の発言を追ってみると、彼は洋上給油問題とアフガン復興とを切り離そうとしている。米国政府が盛んに、給油をやめるなら代替策を示せと迫っているからである。そして彼は普天間代替基地の移転問題をアフガン復興と「パッケージ」にしようと考えている。
〈アフガン支援強化で普天間譲歩を パッケージが「理想」と岡田外相
 カンボジア訪問中の岡田克也外相は10月3日、インド洋での給油活動に代わるアフガニスタン支援を強化することで、米軍普天間飛行場移設問題について米側の譲歩を得たいとの考えを同行記者団に示唆した。アフガン支援と普天間問題のパッケージが「理想だ」と指摘。11月のオバマ米大統領の訪日までに代替案の取りまとめを急ぐ考えを強調した。/アフガン支援で米側が自衛隊派遣を希望しているとの見方を示した上で「どこまでそれに配慮するか、情報を集めないといけない」と述べた。〉(10月3日付『共同通信』)
 洋上給油はブッシュ前大統領の歓心を買うため小泉首相(当時)が強引に始めたことであるから、鳩山連立政権が洋上給油の代替案を拒否するのは当然だが、県外移設とアフガン復興を「パッケージ」にするのはおかしい。2つの問題はそもそも関連のない別個の問題である。それらを強引に一組にして取引の材料にする根拠がどこにあるのか。「沖縄の負担軽減」を掲げるなら、普天間基地は即時閉鎖し撤去させればいい。それはアフガン復興とは何の関係もないことだ。
 〈カルザイ大統領らとの会談で岡田外相は新たな支援策としてタリバーンの元兵士らに対する職業訓練プログラムの実施を打診、カルザイ大統領らは歓迎する意向を表明した。さらに大統領は教育、農業、電力などのインフラ支援の拡大にも期待感を表明し、スパンタ外相は日本が行なっている警察官の給料負担を続けるよう求めたという。〉(10月12日付『朝日新聞』)。
 日本政府によるこれまでのアフガンへの主な支援は、復興支援が825億円(学校建設・整備など・インフラ整備・農業インフラ整備など)、統治支援222億円(行政経費支援・選挙支援)、治安改善324億円(元兵士の武装解除など・警察支援・地雷対策)である。これらの「支援」が戦火で荒廃したアフガニスタンの復興と民生の安定に具体的にどう役立っているのか、外務省のホームページをみてもさっぱりわからない。わかっているのは治安状況がすさまじく悪化しているため、軍事力を後ろ盾にしないとどんな支援活動も実施できないということだ。アフガニスタンは米軍とISAFがタリバーン掃討作戦を続ける戦場である。殺戮と破壊が続く中でどのような復興が考えられるというのか。
 同国で復興をになっているとされているのは、米軍ないしISAFが率いる「地方(地域)復興チーム」(PRT)であるが、活動の実態は治安維持のための宣撫(せんぶ)工作である。PRTに頼ればタリバーンから侵略軍への協力者とみなされるから、PRTは民衆が安心して支援を受けられる組織とはいえない。
 先の衆院選に向けた民主党のマニフェストは「テロとその温床を除去するため、NGOとも連携しつつ、経済的支援、統治機構の強化、人道復興支援活動等の実施を検討し、「貧困の根絶」と「国家の再建」に役割を果たす。」としていたが、日本政府がなしえる貢献は、米軍とISAFがアフガンから撤退するよう進言することだ。汚職が蔓延している腐敗したカルザイ傀儡(操り人形)政権に「復興」を名目に資金を提供しても、その金はほとんど政権の高官とその一族のふところに流れ込んでしまう。「テロとその温床」は米国など外国の侵略軍が産み出しているのだから、侵略軍の撤退こそ、アフガンの民衆自身による復興の糸口である。

◆小沢・鳩山民主党を厳しく監視し、声をあげよう!
オバマが「ブッシュの戦争」を継承したように、小沢・鳩山民主党が自公連立政権のアフガン侵略加担政策を引き継ぐ兆候はすでに表われている。政権交代は革新が保守に代わったのではなく、第2自民党(新保守)が第1自民党(旧保守)に代わったのであり、これは一種の「保守再編」である。民主党が社民党・国民新党と連立を組んだのは、同党が参院で過半数を占めていないからにすぎない。鳩山首相は改憲をあきらめていない。彼は衆院選の結果を踏まえた組閣の過程においてさえ改憲に言及しているのだ。
 〈鳩山代表:地方分権で改憲必要との認識示す
 民主党の鳩山由紀夫代表は9月12日放送のラジオ番組で、憲法改正に関し「憲法の平和主義、人権は当たり前だが、だからといって後生大事に憲法を一言一句変えてはいけないという発想はおかしい」と述べ、地方分権の観点から改正は必要との認識を示した。/鳩山氏は地方分権について「国が地域をコントロールして補助金漬けにする世の中では自立できない」と指摘。05年に発表した改憲試案に触れ「こういうものの道筋をつけることが大事だ」と強調した。鳩山氏の試案は、国と地方の役割分担を明確にするため、基礎自治体として「市」、広域自治体に「圏」を設置する改正などを提言している。〉(9月12日付『毎日新聞』)
 来年の参院選で民主党が過半数の議席を獲得した場合、この国の政治体制は民主党独裁へと変質する危険性が大きい。その体制下で、かつてのように自民党との大連立が図られれば改憲は一気に近づく。私たちは民主党が改憲を党是としており、財界が9条改憲を切望していることを常に念頭に置くべきである。
 政治的想像力を最大限駆使して、現政権を厳しく監視し、一見「前向き」に見える諸施策にはらまれる危険な芽を摘出し、反戦・反改憲の声をあげつづけようではないか。

【付記】
 《アフガン・パキスタン侵略戦争》が対テロ戦争であることは確かだが、戦争目的を資源・エネルギー戦略の面から考察することも必要である。米石油資本・ユノカルはかつてカスピ海地域の石油をアフガニスタンを縦断してアラビア海に面するパキスタンの港に輸送するパイプライン建設計画を立てたが、タリバーンとの交渉がうまくいかず、計画は頓挫した。
 最近の動向に少し触れると、駐日アフガニスタン大使館は「エメラルドやルビーのような宝石はもちろん、銅、鉄、金、石油とガス、そして石炭のかなりの規模の鉱床がほとんど手つかずになっている」と宣伝している。アフガン南部ヘルマンド州にはウランが埋蔵されているとも言う。外資導入を狙った広報活動には違いないが、すでに動き出しているプロジェクトもある。
 中国企業は、かつてソ連地質機関によって発見された、首都カブール南東35キロにあるAynak銅鉱床プロジェクトをインフラ整備を条件に入札で落札した。中国と日本は銅鉱石の2大輸入国であり、同プロジェクトが実現すれば、中国の資源確保に貢献する。その意味では参戦していない中国にとってもアフガンの治安維持が課題であるということだ。本稿はそのようなハイエナどもの資源・エネルギー戦略に触れていない。下のサイトを参照してほしい。

 ○VIRTUAL 金属資源情報センター
   http://www.jogmec.go.jp/mric_web/current/09_45.html
 ○駐日アフガニスタン大使館
   http://www.afghanembassyjp.com/jp/news/1397

★★ この国の「貧困」★ ちゃんとやるよね!?新政権 ★★

2009年10月12日 | これだけは言いたい!
 小泉マジックで延命した自公政権をオセロゲームのようにぱたぱたとひっくり返して誕生した鳩山新政府。国民注視・メディア混乱のなか、さっそく選挙で掲げたマニフェストに従って政策もぱたぱたとひっくり返しはじめたようだ。
 政権のオセロ・チェンジは政策実行のチェンジを確実にしてはじめて意味を持つのであって、中でも“雇用”と“貧困”の問題は早急に解決を求められる課題だ。

 日本の貧困率は14.9%だとOECDは言っている。実に7人に1人以上という数字だが、旧政権厚労省は調査さえ行わなかった。(貧困率調査
 この国の「貧困」(相対的貧困?)は、難民キャンプのような飢餓状態(絶対的貧困)と対比されがちだが、考えてほしい。“一億総中流”幻想に包摂され得ず、ついに自ら命を絶つ人が毎日100人ちかく存在する“この国の貧困”は、生きる希望や意欲さえ剥奪するような質を内包す貧困なのだということを。
(練金術師)


 ●●● 反貧困 世直し大集会2009 ●●●
      ちゃんとやるよね!?新政権

新政権発足から1ヶ月。日本はこれから本当によくなるのか?期待と不安が渦巻いています。
新政権からは、すでに母子加算の早期復活、障害者自立支援法・後期高齢者医療制度の廃止が打ち出されています。その流れを私たちは歓迎しつつ、その時期や内容についてはたくさんの心配もあります。労働者派遣法の抜本改正はどうなるのか?
人々の生活は本当に立て直されるのか? 新政権はちゃんとやってくれるのか?
それは、私たちの行動にかかっているのだと思います。去年に引き続き、世界反貧困デーに合わせて「反貧困世直し大集会」を行います。ご参集ください。

 日時:2009年10月17日(土)13:00~15:30 (雨天決行・入場無料)
 場所:芝公園4号地(東京都港区)東京タワーの下です。
    都営三田線「御成門駅」A1出口すぐ。
    都営浅草線・大江戸線「大門駅」A6出口徒歩6分。
    東京メトロ日比谷線「神谷町駅」3番出口徒歩7分。
    JR山手線「浜松町駅」徒歩12分。

 スペシャルゲスト
   加藤登紀子さん(歌手)
   ギュスターブ・アッサーさん(ソーシャル・ウォッチ・ベナン)

 内容
母子加算・派遣法・障害者自立支援法・後期高齢者医療制度…注目される各分野からの当事者発言
各政党政治家から
世界の貧困と日本の貧困…日本の貧困削減目標作成の呼びかけ
新政権に贈る集会宣言
貧困をなくすための意思表示「スタンドアップ」…みんなで反貧困メッセージをつくろう!
アフリカNGO活動家から日本の貧困問題へのメッセージ



★★八ツ場ダムのウソ・ホント ★★

2009年10月07日 | これだけは言いたい!
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【写真】
吾妻渓谷・50年に一度の雪景色







 八ツ場ダム計画はいまや、ムダなダム計画の代表となり計画中止は鳩山新政権のマニフェスト実行の象徴となっているようです。
参考資料

 メディアがこの間、ここぞとばかりにくり返し「地元の声」を流して興味本位の疑問をぶつけて関心をあおっている構図もかいま見えるようです。しかし「地元の声」として登場した多くは、50年以上にわたって積み重ねられた既成事実に疲弊し翻弄されつくした人々の声というより、その既成事実を積み重ねた側、自民党県連・役人・建設業者…ばかりだと指摘されています。
八ツ場ダム建設中止は得なの? 損なの? 公共事業見直しで無駄遣いは解消するか
八ッ場ダム入札取りやめ 『住民には配慮ないのか』

 そんな理由(わけ)で企画された以下の緊急集会を紹介します。マスゴミの鵜呑みがイヤな方、必見です。
(イトヤン)

   八ッ場ダムのウソorホント? 徹底検証!緊急集会

 国民の圧倒的な支持を受けて誕生した新政権は、「八ッ場ダム中止」を明言しましたが、国土交通省とともに八ッ場ダムを推進してきた都県知事たちがダムの完成を求める主張を執拗に展開し、また、地元からはダム中止に対して強い反発が示されています。知事たちの主張のほとんどは、事実に基づかないものであるにもかかわらず、報道の多くはそれらを無批判に伝えています。
 私たちは、5年に及ぶ住民訴訟を通じて、また、様々な媒体を使って、八ッ場ダムの本質的な問題点、不要性、危険性を明らかにしてきました。この集会では、八ッ場ダムについて流されている情報の真偽を検証し、なぜ今、
八ッ場ダムを止めなくてはならないのか、また、半世紀以上も国の政策に翻弄されてきた地元住民にとって、本当に望ましい生活再建の道筋とはどういうものなのか、ともに考えたいと思います。
 多くの方のご参加をお待ちしております。

日時 10月18日(日)13:30~16:00
会場 コア・いけぶくろ(豊島区民センター:池袋駅徒歩5分)
   5階音楽室(100人)
   http://www.toshima-mirai.jp/center/a_kumin/
資料代 500円

<おもな内容>
  検証1 八ッ場ダムは継続するより中止した方が高くつく?
  検証2 八ッ場ダムはすでに7割もできているので、今さらストップできない?
  検証3 八ッ場ダムが中止になると、利根川の水を使う権利がなくなる?
  検証4 八ッ場ダムは大渇水のために必要?
  検証5 八ッ場ダムは利根川の洪水対策として重要?
  提案  ダム予定地の生活再建と地域の再生について

◎ 解説 嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会共同代表)
     広田次男(八ッ場ダム住民訴訟原告団・弁護団事務局長) ほか

共催 八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会
   八ツ場ダムを考える1都5県議会議員の会
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★イラクで自衛隊がしてきたこと ★

2009年10月06日 | 参考資料
09年10月6日東京新聞(TOKYO Web)

イラク空輸 情報開示 06年7月以降、米兵が67% 政権交代で判断

 防衛省は情報公開法に基づき、航空自衛隊がイラクで行っていた空輸活動を記録した「週間空輸実績」を請求者に開示した。陸上自衛隊が撤収した二〇〇六年七月以降の空輸活動で、昨年、名古屋高裁が憲法違反とした首都バグダッドへの米兵空輸を行っていた時期にあたる。前政権では中身が分からない黒塗りでの公開だったが、今回初めて全データが開示された。請求者は「政権交代の効果」と評価している。 

 開示された「週間空輸実績」は〇六年七月から空輸活動が終わった〇八年十二月までの百二十四週分。運航日数は四百六十七日あり、うち二百十八日、47%がバグダッド空輸に充てられた。

 空輸した人数は二万六千三百八十四人。米軍は一万七千六百五十人で67%を占め、他国の軍も含めると71%が兵士だった。一方、国連職員は二千五百六十四人で一割にとどまった。

 前政権で政府は「空自は人道復興支援を行っている」と説明してきたが、復興支援を担う国連職員に比べ、武力行使を伴う治安維持を担当する兵士の空輸数が圧倒的に多いことがあらためて確認された。これは米軍などの「後方支援」にあたる。

 情報公開請求したのは岐阜県大垣市田町の近藤ゆり子さん(60)。過去六回、「週間空輸実績」の公表を求めた。開示されたのは「実施期間」「運航日数」のみで、あとは黒塗りされ、空輸の中身は不明のままだった。

 これを不服として四回異議申し立てをしたが、三回は「防衛省・自衛隊の効果的な運用に支障が生じる」「関係国・関係機関との信頼関係を損ねる」との理由から不開示のままとなった。今回は七月に異議を申し立て、九月二十四日付の北沢俊美防衛相名の「現時点で不開示とする理由がない」との通知とともに全面開示された。
◆新政権の検証不可欠

<解説> 民主党中心の新政権に代わり、航空自衛隊によるイラク空輸活動の「週間空輸実績」が開示された。次の課題は、野党当時に反対していた自衛隊イラク派遣の再評価だ。「対米追随」が目立った前政権との違いを鮮明にできるか注目される。

 二〇〇三年三月、当時の小泉純一郎首相は米英によるイラク戦争にいち早く支持を表明した。すると米国は「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(陸上自衛隊を派遣せよ)」と求め、日本政府は自衛隊派遣に踏み切った。

 陸自が撤収後の〇六年七月以降、空自は空輸先をバグダッドなどへ広げ、空輸の中身が米兵となった疑いが浮上した。

 民主党の原口一博氏(現総務相)は「週間空輸実績」をもとに「全部黒塗りですよ。これで私たちがシビリアンコントロールを果たすことができるのか」(〇七年五月衆院イラク特別委)と政府に迫った。

 社民党の辻元清美氏(現国交副大臣)は「人道復興支援というなら、黒塗りじゃないものを出してください」(〇六年十一月衆院安全保障委)と情報を隠す政府に不満を表明した。

 こうした人々が政権を取り、空輸活動のデータは開示された。その一方で、新政権は米英でさえ揺らいだ「戦争の大義」をどうみているのか、自衛隊派遣は何だったのか見解を示していない。

 昨年四月、名古屋高裁がイラク空輸について違憲判断を示した際、空輸担当の最高幹部は「判決は乱暴だ。バグダッドにも非戦闘地域はあるし、輸送機から降りた米兵がそのまま戦闘に加わるわけでもない」と反論した。

 公開された「週間空輸実績」だけでは、この反論の適否は分からない。幸い検証の材料になる自衛隊の資料は新政権の手元にある。鳩山由紀夫首相が目指す「対等な日米関係」の構築には、安保政策の検証が不可欠だ。 (編集委員・半田滋)
◆政治の意思示した

<北沢俊美防衛相の話> 国民の知る権利を阻害する政治は本来の姿ではない。一定の軍事機密があることは承知しているが、政治の意思として国民にきちんと情報を提供するよう官僚に指示すれば、明らかにできる。情報の隠ぺいは日本のためにも省庁のためにもならない。国民に真実が明らかになるプラスの方が、日本の政治としてはるかに大きい。

<イラク空輸活動> イラク特別措置法に基づき、航空自衛隊のC130輸送機3機が2004年3月から08年12月まで、クウェートを拠点にバグダッド空港などイラクの空港に国連や多国籍軍の兵士、物資を空輸した。名古屋高裁は昨年4月、「他国の武力行使と一体化し、憲法9条などに違反する」と違憲判断を下したが、政府は傍論部分の指摘で拘束力はないとして活動を継続させた。



● なにが「謀略」どこまで「謀略」 ●

2009年10月01日 | 今週の注目記事
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 9月11日発行の週刊金曜日№766が、22ページから、「今こそ問われる米国の『陰謀・謀略』の歴史」と題し、前防衛大学校教授に聞くという形で、成澤宗男氏が再び「陰謀論」を展開しているので、一言しておきたいと思います。

 展開される論法を少々乱暴に纏めると、次のようになるでしょう。
 「米国はこれまでの歴史の中で陰謀・謀略を多用してきた。従って911もまた米国の陰謀・謀略である。」 だが、これは推論としていささか無理があるのではないでしょうか。

 今回の議論は孫崎さんという方の個性なのか立場なのか、今までのような「ビルは仕掛けられた爆薬で爆破された」だの「ペンタゴンに突っ込んだのはミサイだだのといった、露骨で滑稽な陰謀論は抑え気味に語られています。また歴史上、例えば米西戦争やノースウッズ作戦、トンキン湾事件など、実際に謀略かそれに近かっ
た事実もあるのは確かだと思います。更には旧サダム政権とアルカイダの関係なども、書いてある通りではないかと私も思います。しかしだからと言って911もまた謀略であり、陰謀であるということにはならないでしょう。
 そんなことを言ったら、張作霖の爆殺も、柳条湖も謀略だから、未だに日本は謀略国家だという話になってしまいます。(米西戦争は張作霖謀殺の30年も前です。)

 例えば1923年の関東大震災では、6000人にも上る朝鮮人、600人にも上る中国人、60人にも上る日本人が惨たらしく殺されたと言われます。(実数はちゃんと調査されていませんので、正確ではないですが。)これは政府の謀略である面は確かにあります。しかし誰も地震そのものを政府の陰謀だとは言わないでしょう。天災ですから当然なのですが、そうした天災を好機として戒厳令を敷き、戦争
や政府に反対する者を拷問で殺し、民衆を煽って未曾有の人災を重ねたメカニズムは、ぜひとも解明されねばなりません。そうでないと次の地震のときに危ないのは我々だからです。
 911の場合は、天災ではありませんから、その発生そのものに謀略が含まれる可能性は確かにあります。だが911を奇貨として、民衆を煽って戦争に向かわせたことこそブッシュ大統領の「陰謀」であって、その背景にある南北問題や資源利用の偏在から目を反らせ、真の原因に目を瞑らせて戦争を作ってしまったメカニズムこそ、
告発し解明すべきだと思うのです。ところが、事件そのものが「アメリカ政府によって仕掛けられた謀略だ」とか「ビルは情報機関によって仕掛けられた爆薬によって倒壊したのだ」などとしてしまったのでは、肝心のメカニズム解明の焦点がずれてしまいます。つまり、彼らが事件をどう利用したかが追及されるべきなのに、そもそも事件を起こしたのが彼らだとなってしまったら、リアルで逐時的な解明が出来なくなると、私は危惧するのです。
 すなわち、「陰謀論」こそ、真の陰謀から目を逸らせる働きをするというのが、私の指摘です。
(草場純)

※表紙画像は9/25号