千葉法相による死刑執行に強く抗議し、死刑の執行停止を要求する市民の声明
死刑廃止を求める市民の声
井上澄夫(埼玉県新座市、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)
加賀谷いそみ(秋田県男鹿市、男鹿の自然に学ぶ会)
奥田恭子(愛媛県松山市、心に刻む集会・四国)
廣崎リュウ(山口県下関市、下関のことばと行動をつなぐ『海』編集委員) 2010年7月28日
千葉景子法相は7月28日、東京拘置所で2人の確定死刑囚(篠沢一男さんと尾形英紀さん)の死刑を執行しました。私たちはこの暴挙に心の底から突き上げる憤りをもって強く抗議します。
私たち「死刑廃止を求める市民の声」は昨年秋の鳩山連立政権発足の翌日(9月17日)、全国と海外在住の786人の個人と44の団体の賛同を得て、「千葉景子新法相に、死刑執行の停止を強く要求する市民の共同声明」を発しました。
そして実際、千葉景子氏は法相就任以来、死刑の執行を行なってきませんでした。私たちはその姿勢を高く評価し、7月11日の参院選を経て次の内閣改造まで法相を続けることになった千葉氏が在任中は死刑執行に踏み切ることはないと思っていました。しかし千葉法相は死刑廃止を求める人たちの多くが抱いていたに違いない、そのような期待を、突然、踏みにじりました。
千葉法相は「死刑廃止を推進する議員連盟」に所属していた死刑廃止論者でしたが、その自分自身の信念と今回の突然の死刑執行との、誰の目にも明らかな矛盾について、執行後の記者会見で「これからの議論で死刑廃止という方向が出ればそれは国民的な回答。私が考え方を異にするということではない」と開き直りました。また死刑を執行した日が、昨年7月28日に自公政権下で森英介前法相によって3人の死刑囚への死刑執行が強行されてからちょうど1年目であることには、誰もが法務省の作為や恣意を感じるところですが、それについても「時間をかけ検討し、この時期になった」としか答えませんでした。「国家による殺人」にほかならない死刑執行について誠意をもって説明責任を果たそうとしない千葉法相の傲慢な姿勢に私たちは強く抗議します。
記者会見で千葉法相は死刑執行に立ち会ったことを明らかにし、法務省内に勉強会を立ち上げ、そこでは死刑制度の存廃を含めて検討するとし、勉強会の成果を公表し、広く国民的な議論を行なう契機にしたいとのべましたが、「国民的な議論」を行なうため、その前になぜ死刑を執行しなければならなかったのかについては、まったく説明しませんでした。死刑制度の存廃を公に議論するなら、まず執行の停止を明らかにしてから行なうべきであることを指摘せざるを得ません。
また死刑執行に立ち会った心境を訊かれて「私はあくまで指揮命令者として確認した」と氷のような冷たい言葉を返したことに私たちは戦慄を禁じ得ません。
法務省は世論の大多数が死刑制度の存置を支持していることを執行の根拠にしていますが、すべての人が持つ「生命に対する権利」(世界人権宣言第3条)を世論調査の結果で奪うことは普遍的な人権への無理解を露呈しています。死刑廃止に向かう世界の大勢に逆行して死刑執行を続ける日本政府に、私たちは改めて執行停止を強く要求します。恥ずべき蛮行はもう終わりにすべきです。
死刑廃止を求める市民の声
井上澄夫(埼玉県新座市、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)
加賀谷いそみ(秋田県男鹿市、男鹿の自然に学ぶ会)
奥田恭子(愛媛県松山市、心に刻む集会・四国)
廣崎リュウ(山口県下関市、下関のことばと行動をつなぐ『海』編集委員) 2010年7月28日
千葉景子法相は7月28日、東京拘置所で2人の確定死刑囚(篠沢一男さんと尾形英紀さん)の死刑を執行しました。私たちはこの暴挙に心の底から突き上げる憤りをもって強く抗議します。
私たち「死刑廃止を求める市民の声」は昨年秋の鳩山連立政権発足の翌日(9月17日)、全国と海外在住の786人の個人と44の団体の賛同を得て、「千葉景子新法相に、死刑執行の停止を強く要求する市民の共同声明」を発しました。
そして実際、千葉景子氏は法相就任以来、死刑の執行を行なってきませんでした。私たちはその姿勢を高く評価し、7月11日の参院選を経て次の内閣改造まで法相を続けることになった千葉氏が在任中は死刑執行に踏み切ることはないと思っていました。しかし千葉法相は死刑廃止を求める人たちの多くが抱いていたに違いない、そのような期待を、突然、踏みにじりました。
千葉法相は「死刑廃止を推進する議員連盟」に所属していた死刑廃止論者でしたが、その自分自身の信念と今回の突然の死刑執行との、誰の目にも明らかな矛盾について、執行後の記者会見で「これからの議論で死刑廃止という方向が出ればそれは国民的な回答。私が考え方を異にするということではない」と開き直りました。また死刑を執行した日が、昨年7月28日に自公政権下で森英介前法相によって3人の死刑囚への死刑執行が強行されてからちょうど1年目であることには、誰もが法務省の作為や恣意を感じるところですが、それについても「時間をかけ検討し、この時期になった」としか答えませんでした。「国家による殺人」にほかならない死刑執行について誠意をもって説明責任を果たそうとしない千葉法相の傲慢な姿勢に私たちは強く抗議します。
記者会見で千葉法相は死刑執行に立ち会ったことを明らかにし、法務省内に勉強会を立ち上げ、そこでは死刑制度の存廃を含めて検討するとし、勉強会の成果を公表し、広く国民的な議論を行なう契機にしたいとのべましたが、「国民的な議論」を行なうため、その前になぜ死刑を執行しなければならなかったのかについては、まったく説明しませんでした。死刑制度の存廃を公に議論するなら、まず執行の停止を明らかにしてから行なうべきであることを指摘せざるを得ません。
また死刑執行に立ち会った心境を訊かれて「私はあくまで指揮命令者として確認した」と氷のような冷たい言葉を返したことに私たちは戦慄を禁じ得ません。
法務省は世論の大多数が死刑制度の存置を支持していることを執行の根拠にしていますが、すべての人が持つ「生命に対する権利」(世界人権宣言第3条)を世論調査の結果で奪うことは普遍的な人権への無理解を露呈しています。死刑廃止に向かう世界の大勢に逆行して死刑執行を続ける日本政府に、私たちは改めて執行停止を強く要求します。恥ずべき蛮行はもう終わりにすべきです。