練金術勝手連

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※ 練金術(ねりきんじゅつ)とは『週刊金曜日』練馬読者会的やり方という意味です。

《反日右翼》と“サヨク”《護憲保守》★意味逆転の時節

2014年08月29日 | 今週の注目記事
週刊金曜日8/28号
 おいらのとこにも『週金』(週刊金曜日)今週号(8.29号)が来た。

 特集は「嫌韓・民族差別と歴史修正主義=ヘイトの深層」だ。
 はたして、深層へ分け入ってどこまでヘイトの「真相」にせまってれれるか、読み応えはありそう。
 (8.29号もくじ

 最近ちまたでは、じぶんの国の過去・現在のありようを客観視…または批判的、自省的に見る考え方に対し《反日左翼》ちうレッテルを張るのが、ちまちまと流行っているようで、じつに不思議な感じがしていた。

 たぶん、不思議に感じるのはおいらだけではないのだろう?…ネ。

 人生にたとえるとたとえ未来へ一歩踏み出すためだっても、気に入らない過去の自分を清算するのはつらいことだネ…。立ちもどってみること自体しんどい。
 ましてや、よりどころとすべきじぶんの国が、かつてアジアの国を侵略し過酷な植民地支配をしてたなんて信じられない、信じたくないかも…。
 
 だからって…日の丸振ってりゃ済む問題でもない。
 だからって、気に入らない部分はなかった、気に入るように経歴を書き換えるちうのも、ちがうよ…ネ。

 そうゆーこと、自分のことをじぶんだけの日記に書いた自分史で自己満足ちうならアリエールかも(自己正当化)…。

 だけど、世界から見られてる「国の歴史」でそれはあり得~ないこと。
 侵略と植民地支配の過去にキチッと向き合い、負の歴史を清算したうえで近所とイイ関係を創る…。それはニポン人として、いつかは乗り越えなければならない試練なのだ。

 そんなとき、やれ自虐だ、自虐史観だって吠えてみたってはじまらない。まして、あたりかまわずの《反日》呼ばわりエスカレートは危うい。それこそ、国の未来を危うくするちう意味で《反日右翼》的自慰行為?な~んて、おいらは考えてしまう。

 横行するヘイトスピーチと安倍内閣の容認姿勢に対して諸外国、諸国民からの、それは厳しい評価があることは知ってるよネ。
(今週号参照、さらに参考:のりこえねっと) 

 それに答えを出さなければならない与党・自民党は、官邸前や国会まわりで日夜くりひろげられてる直接抗議、もっと拡大するかもしれない“国民”の声の可視化(国民主権)
の動きを規制したがっている。
 ( 東京新聞:自民、国会デモ規制検討 政権批判封じの疑念
 ホントおかしいヨ。

 自分で、歴史を学ぶことがなにより大切。
 それは、安倍ちゃんの暴君ぶりが極まってる、今でしょ !!! 。


 ところで、『週金』今週号巻頭コラムの「風速計」で佐高編集委員は、《右でも左でもある立場》という題で、姜尚中や大学教授を引き合いにして、「~編集委員だった筑紫哲也について私は今度、『不敵のジャーナリスト 筑紫哲也の流儀と思想』(集英社新書)を出した。特に安倍晋三に嫌われた筑紫には、3つのこだわりがあった。『少数派の立場に立ち続けたこと』『沖縄への思い入れを持ち続けたこと』そして『護憲の立場を崩さなったこと』である。」と書いているネ。

(在日日本人)         ページトップ

「東京新聞がんばれ ぼくらもがんばる」★主権者に課せられた世界に対する責任

2014年07月20日 | 今週の注目記事
週刊金曜日1000号東京新聞記事    ※右は東京新聞2014.7.18朝刊記事 ⇒⇒
     (前投稿参照:1000号を迎えた『週金』★


 7月1日。安倍内閣は解釈壊憲に踏み切った。
 閣議決定によって憲法を壊すなど、ナチスドイツの手口( 全権委任法によりワイマール憲法否定)の上を行くものだ。この状況を一言で言えば、自衛隊の創設以来積み重ねられてきた九条「解釈改憲」の仕上げということになるのか? 視点を変えれば、戦後着々と強化されてきた安保体制の現実のなかで、運動スローガン的に「守れ!」から「護ろう!」へとトーンダウンせざるを得なかった伝統的?平和運動の帰結でもあったとは、いえまいか。(参考:いま、九条を守るとは★

 21世紀にもなってナチスばりに立憲主義を否定する安倍内閣の卑劣なやり方は、主権者のひとりとしてとうてい容認できるものではない。 このことは本来自明なはず?であり、政権がそう出た以上あらためて、ゼロから九条を取り戻すたたかいが喫緊の課題であり、この国の主権者に課せられた世界に対する責任でもあるのではないか。

 このようなとき、期せずして“平和運動”とともに歩んできた『週金』が創刊1000号となった。
 特集記事で(7月18日号)、7人の編集委員が各々の声で抗議する。
週刊金曜日1000号表紙

集団的自衛権行使に否!
   ●編集委員抗議声明

 安倍晋三首相は集団的自衛権の行使容認という憲法の解釈変更を強行した。ここまで「法」を無視する政治家は戦後いないだろうが、その共犯者もいる。日本の歴史的岐路に編集委員が見解を寄せた。(平井康嗣・本誌編集長)
  ★この流れに抗う方法(雨宮処凛)
  ★本質をわかりやすく言うと(石坂啓)
  ★闘いはこれからだ(宇都宮健児)
  ★「市民へのテロ!」(落合恵子)
  ★改めて「国とは何か」を問え(佐高信)
  ★パンとサーカス(田中優子)
  ★立憲主義を守るために(中島岳志)


※この号の注目すべきその他の記事(目次)については『週金』表紙画像をクリック。
(練金術師)        練金術トップ    

《アベノミ劇場》に抗して★週刊金曜日臨時増刊

2013年07月11日 | 今週の注目記事
images NHK・民放をはじめ"マスゴミ”あげて、アベノミクスで景気が回復しているという報道をたれながしている。
 それとは程遠い現実を前に《アベノミ劇場》は、黒田日銀総裁をして「回復」を発表させた。
 安倍政権とマスゴミが連携して選挙民の前に展開するスペクタクルは『空飛ぶ広報室』TBS番組の類ばかりではないのだ。

 憲法については、96条改憲が憲法そのものの破壊であることに言及されるようにはなったが…。
 「この度、『週刊金曜日』では「憲法」をテーマに臨時増刊号を刊行いたしました。全国書店にて7月9日に発売です。 (※一部地域を除く )店頭に在庫がない場合は、書店に注文下さい。 インターネットをご利用の場合はamazonもしくはブックサービスをご利用ください。」

(練金術師)              ページトップ                にほんブログ村 地域生活(街) 東京ブログ 練馬区情報へ

● 世界は見ている ● 編集委員がどこまで本誌批評をできるか ●

2013年02月18日 | 今週の注目記事
images 週刊金曜日練馬読者会は第四土曜日に定例会を開いている。2月23日は喫茶店に集合だ。都合が付けられる方は気軽に参加を!!

 週刊金曜日練馬読者会2月例会

   日  時:2013年2月23日(土) 18時30分から
   会  場:喫茶ノウ゛ェル
        (西武池袋線大泉学園駅北口駅前英林堂書店2階)
   会  費:喫茶代
   問合わせ:nerikinjyutu@mail.goo.ne.jp

     
安倍政権が発足して2ヶ月。
 『週金』最新号(2/15号)は安倍政権を直撃する「世界は見ているー『慰安婦』問題で安倍首相は針のムシロ !?」に注目だ。

2013の年明けから月1回程度のペースで「『週刊金曜日』を読む」という記事の掲載が始まっている。
 『週金』創刊20年目という節目の企画だそうだ。個々の編集委員の個性も興味深いが、編集委員という立場でどこまで批判的に誌面を評価するすることができるか 注目してみたい。
その第1回目は「『怒りの声』を『静かな祈り』に」と題した中島岳志編集委員の文章。昨年11月分の誌面が対象で、「我々の中に潜む『東電的なるもの』と対峙しなければ、おそらくここから前に進めない。絶望することにも絶望するとき、私はやはり祈ってみよう」と結んでいる……。(2013年1月11日号)
そして第2回目(2月1日号)は田中優子さんが、衆議院選を報じた12月分の記事を読者の目線で批評しているので、以下に掲げておく。

週刊金曜日2013年2月1日号より

(練金術師)
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★ 脱原発が日本を救う ★ 脱原発こそが経済成長への道 ★

2012年12月10日 | 今週の注目記事
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いよいよ選挙の季節(都知事選・衆院選)まっただなか、今週の『週刊金曜日』原発反対総選挙特集号に注目だ。
(練金術師)

“みどりの選挙”で未来の価値の共有を
脱原発が日本を救う(金子 勝)


福島原発事故後、初となる衆議院議員選挙が四日公示された16日投開票に向けた最重要争点の一つはもちろん「原発」だ。
私たちはどのように考え、どう行動すべきなのか。

ワイド特集 この人を見よ!
原発政策を決める総選挙がはじまった。「原発いらない!」の圧倒的な世論を受け、人々が走り回っている。

・「原発維持」石原慎太郎代表と橋下徹代表代行のすきま風で見えた真の第3極のゆくえ
・最大数十兆円の税金を吸い込む下河邊和彦東電会長の「再生への経営方針」
・民自だけで100億超円と噂される広告費で稼ぐ電通・博報堂の“手腕”
・労働組合にもかかわらず原発維持にうごめく電力総連の種岡成一会長
・池田大作名誉会長の「提言」を一蹴した山口那津男公明党代表が選挙後に直面する試練
・「日の丸」を掲げて「右からの脱原発」を訴え続ける針谷大輔氏
・大飯原発を調べる有識者の一人、岡田篤正教授が35年前に論文を書いていた
・今中哲二京都大学助教が提言する「規制委員会は全原発の安全審査をやり直すべき」
・安井正也緊急事態対策監など悔い改めない推進派が牛耳る原子力規制庁

「3・11」後の動きとリストで見る衆議院議員の脱原発「本気度」

 第46回総選挙が12月4日、公示された。“脱原発”を公約に掲げる政党・候補者は多いが、本当はどうなのか。3・11後の原発政策をめぐる動きから、その「本気度」を検証する。

脱原発こそが経済成長への道
 地域分散型エネルギーで創造するニッポンの未来(環境エネルギー政策研究所)

「原発ゼロ」にすると、日本経済はダメになるとの声が大きくなっている。
だが、「3・11」を経た私たちは、旧い経済・産業構造にとらわれたままではいけない。いまこそ、自然エネルギーへの転換で新しい日本の未来を創造する時だ。

                    もどる

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★忌まわしき時代に別れを!公正平等で雇用安定も実現する新たな社会経済システムを!★

2011年11月19日 | 今週の注目記事

毎日新聞記事●経済同友会の「発送電分離」提言

 日本経済団体連合会、日本商工会議所とならぶ経済三団体のひとつ経済同友会が11/18、「現行の地域独占や総括原価方式ではコスト削減や設備投資に対するインセンティブが働きにくい」、「コストを透明化し、送電網への公平なアクセスを現行以上に保証すべきだ」、原発については「災害などのリスクや使用済み核燃料の再処理などの費用を明確にすべきだ」、「政府保有か半官半民など将来的な運営主体を検討すべきだ」などという提言を発表。発送電分離と電力の自由化という“発想”や指摘は、電力の地域独占、垂直独占に風穴をあける可能性を持つ。
 これは、経済界の一角がこれまでの《原子力利権マフィア》の支配体制に異論(脱原発論)をなげかけるという以上に電力業界にとってダメージとなる指摘だと指摘しておこう。( 2011.11.19 毎日jp

今週の週刊金曜日(11/18号)から
( 表紙画像をクリック → もくじ )

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●特集■世界を病ませた 新自由主義
 《私たちは現在、大きく時代が変わりつつあるのを目撃している。
三十数年前、米英で始まった福祉削減と富裕者優遇税制、規制緩和、民営化等を特徴とする新自由主義的経済政策が、破綻を遂げて断末魔に喘いでいるのだ。何度かのバブル崩壊と金融危機を経験した後には、社会的格差の絶望的な拡大と膨大な財政赤字、雇用不安、産業基盤の弱体化、そして社会の荒廃と貧困が残された。》

●注目記事■NHK「あさイチ」の「放射線食卓まるごと調査」でたらめデータで安全宣言
 首都大学東京・福士政広教授研究室の分析はまちがいだらけで、「食材産地にこだわる消費者の行動が、過剰な風評被害を起こしている」という結論に持っていきたいというNHK側の番組制作意図が感じられる…という。
(NHK番組内容は こちら

(練金術師)

★ 新しい沖縄へ ★ 私たちができること ★

2010年10月26日 | 今週の注目記事
『週刊金曜日』2010年10月22日号の注目記事は
     11・28沖縄県知事選 再燃する普天間 だ。

images 10月の練馬読者会(10/23)では、沖縄県知事選挙(11月28日投開票)が話題となった。一貫して県内移設反対を主張してきた伊波洋一・前宜野湾市長と、「県内移設は厳しい…」から「日米共同声明を見直し県外に移設することを政府に求めたい」へと直近になってスタンスを変えざるを得なくなった仲井眞弘多知事の一騎打ちの構図。
 そしてこの基本構図のなかには沖縄の民意と菅内閣との齟齬がある。これに関連して喜納昌吉民主党県連代表、下地幹国民新党郎幹事長らによる独自候補擁立という不自然・不可解な動きついても俎上に上った。(参考:沖縄タイムス
 追記:民主独自候補断念→自主投票に 毎日新聞

 さて、『週金』今週号の特集は「どちらが勝っても『沖縄の民意は県外移設』という結果にしかならないが、はたしてそうか。実は、仲井眞氏は四年前の初当選後にも実質的に公約を破っているのだ。」というレポートではじまる必読記事だ。共通認識としたい。

10月22日号特集
 仲井眞氏は信じられるか(横田 一)
 川内博史氏に聞く 
   沖縄等米軍基地問題議員懇談会会長(民主党衆議院議員)
 歪められた沖縄の民意
   官房機密費約3億円が沖縄知事選に流れ込んだ証拠(伊田 浩之)

 伊波さんの掲げる“あたらし沖縄”とは?…、そして本土にいる私たちができることは?…については左のリンクバナーからたどることができる。

(練金術師)

★★ 政治屋の闇と検察の闇 ★★

2010年01月19日 | 今週の注目記事
 小沢一郎民主党幹事長の資金問題で、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で石川知裕議員と池田光智元秘書が逮捕された。ことがことだけに身柄拘束・密室調取(供述強要)が懸念される。(刑事事件の冤罪事例にもまして取り調べの全面開示が必要ではないか)

 もちろん、検察>リーク=>メディア>キャンペーン=>検察>強制捜査…の暴走検察・マスゴミの連携プレイが狙うのは、中堅ゼネコン・水谷建設の裏金が小沢資金4億円に含まれているというストーリーを“国民”にすり込むことの一点だろう。すでにマスゴミ論調は小沢おろしの第2ラウンドに突入したようだ。
http://www.j-cast.com/2010/01/16058067.html )

 第1ラウンドの西松建設のときは献金元の政治団体(「新政治問題研究会」、「未来産業研究会」)がダミーで違法献金!、という大キャンペーンにもかかわらず起訴事実は報告書の虚偽記載のみで、特捜検察の意図と能力に“?”がつき、“野党党首・小沢”に対する「国策捜査」とも検察暴走とも言われた…。第2ラウンドも同じ構図なのか。

 そしてその第1ラウンドに関してもすでに、大久保秘書第2回公判では検察の尻に火がついた、といわれる。
http://blog.goo.ne.jp/fugimi63119/e/ee25b5a876720204adb35a22863e0afe )

 検察対小沢の全面対決などというマスゴミセンセーションに惑わされず、二つの側面にしっかりと注意を払いたい(政治資金規正法を弄ぶ“検察暴走”そして“政治屋とカネ”の自民党的体質)。

images タイミングを合わされたかのように『週金』今週号の特集が“小沢一郎研究“だ。
「小沢一郎・民主党幹事長の {選挙に強いDNA} が、政権交代を望む国民の思いや民主党の政権公約と重なり合い、民主党圧勝をもたらした。しかし、田中角栄的なバラマき型のDNAは消え去っていなかった。進行する小沢独裁体制化を民主党内の力学で封印できないことが最大の問題」…なのだという。(暴走検察記事は次号に期待しよう)


今週1/15日号の注目記事その1《小沢一郎研究
 ●レポート:小沢支配の閉塞感と失望感 横田 一
 ●インタビュー:「問題」としての小沢一郎をどう見るか 後 房雄さん
「政権交代が実現した今、私たちは現実政治のなかで小沢一郎をどう捉え、対抗軸を見出していけるか。かつて「左翼は小沢一郎に対抗しうるか」という問いを投げかけた後房雄さんに聞いた。」
 ●編集委員コラム:
  ■小鳥を飼う男の心象風景  佐高 信
  ■いつもわたしは「ラジカル」でありたい 落合恵子
  ■民主党という枠組みの分裂を危惧する 中島岳志

注目記事その2はインタビュー《渦中の伊波洋一・宜野湾市長に聞く
「普天間移設と辺野古新基地は関係ない」
《参考》宜野湾市HP
    1月15日号もくじ 
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普天間基地撤去の問題は沖縄の人々に負担を押しつけてきた本土に住む我々自身の問題であり、政権交代の意義そのものに関わる問題だと感じる人はゼヒ本誌に目を通してほしい。

 12/15星陵会館で開かれた「普天間基地はいらない 新基地建設を許さない緊急集会」の熱気が示したのは、軍民を問わず世界でもっとも危険な飛行場を今すぐ閉鎖(返還)し、新たな基地を作ることは許さないという沖縄の決意に応えたいという思いだった。

(練金術師)




● なにが「謀略」どこまで「謀略」 ●

2009年10月01日 | 今週の注目記事
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 9月11日発行の週刊金曜日№766が、22ページから、「今こそ問われる米国の『陰謀・謀略』の歴史」と題し、前防衛大学校教授に聞くという形で、成澤宗男氏が再び「陰謀論」を展開しているので、一言しておきたいと思います。

 展開される論法を少々乱暴に纏めると、次のようになるでしょう。
 「米国はこれまでの歴史の中で陰謀・謀略を多用してきた。従って911もまた米国の陰謀・謀略である。」 だが、これは推論としていささか無理があるのではないでしょうか。

 今回の議論は孫崎さんという方の個性なのか立場なのか、今までのような「ビルは仕掛けられた爆薬で爆破された」だの「ペンタゴンに突っ込んだのはミサイだだのといった、露骨で滑稽な陰謀論は抑え気味に語られています。また歴史上、例えば米西戦争やノースウッズ作戦、トンキン湾事件など、実際に謀略かそれに近かっ
た事実もあるのは確かだと思います。更には旧サダム政権とアルカイダの関係なども、書いてある通りではないかと私も思います。しかしだからと言って911もまた謀略であり、陰謀であるということにはならないでしょう。
 そんなことを言ったら、張作霖の爆殺も、柳条湖も謀略だから、未だに日本は謀略国家だという話になってしまいます。(米西戦争は張作霖謀殺の30年も前です。)

 例えば1923年の関東大震災では、6000人にも上る朝鮮人、600人にも上る中国人、60人にも上る日本人が惨たらしく殺されたと言われます。(実数はちゃんと調査されていませんので、正確ではないですが。)これは政府の謀略である面は確かにあります。しかし誰も地震そのものを政府の陰謀だとは言わないでしょう。天災ですから当然なのですが、そうした天災を好機として戒厳令を敷き、戦争
や政府に反対する者を拷問で殺し、民衆を煽って未曾有の人災を重ねたメカニズムは、ぜひとも解明されねばなりません。そうでないと次の地震のときに危ないのは我々だからです。
 911の場合は、天災ではありませんから、その発生そのものに謀略が含まれる可能性は確かにあります。だが911を奇貨として、民衆を煽って戦争に向かわせたことこそブッシュ大統領の「陰謀」であって、その背景にある南北問題や資源利用の偏在から目を反らせ、真の原因に目を瞑らせて戦争を作ってしまったメカニズムこそ、
告発し解明すべきだと思うのです。ところが、事件そのものが「アメリカ政府によって仕掛けられた謀略だ」とか「ビルは情報機関によって仕掛けられた爆薬によって倒壊したのだ」などとしてしまったのでは、肝心のメカニズム解明の焦点がずれてしまいます。つまり、彼らが事件をどう利用したかが追及されるべきなのに、そもそも事件を起こしたのが彼らだとなってしまったら、リアルで逐時的な解明が出来なくなると、私は危惧するのです。
 すなわち、「陰謀論」こそ、真の陰謀から目を逸らせる働きをするというのが、私の指摘です。
(草場純)

※表紙画像は9/25号

★★ 熱い(鳩山)暑い(麻生)たたかい ★★

2009年08月15日 | 今週の注目記事
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『週金』今週(762)号の巻頭を飾るのは題して《審判を待つ改憲・タカ派議員たち》。
 例によってお盆休みのため、合併号(8/7、8/14号)となっているが、歴史的な熱い?(鳩山=友愛)、暑い(麻生=選挙戦略)たたかいのまっ盛りであり、逆に読者としては「臨時増刊・直前大特集」でも出してほしいところ…。


  審判を待つ改憲・タカ派議員たち
 二〇〇一年の「9・11事件」を契機とするブッシュの対テロ戦争に前後し、二〇〇五年の
『9・11選挙』を経て今日に至るまで、この国は戦後史に例を見ないほどの急激な軍事化と
憲法の破壊が進んだ。だが、いまや衰えを隠せなくなったこの暗流が消え去る前に、
国会で改憲と歴史修正主義を煽った議員たちの姿を照らす。彼らを再び登場させるか
否かを決めるのは、一人ひとりの良識にかかっている。(編集部)
  ■憲法、歴史認識・教育、防衛・外交
  ■総選挙に出馬する主な右派団体所属議員(編集部)
  ■呆れるばかりの暴言 妄言 放言録
  ■核武装論に打ち克つ対抗構想を(前田哲男)
  ■ついに風前の灯となった「専守防衛」
    次期「防衛計画大綱」の恐ろしさ(水島朝穂)


内容はといえば、まず「制服組が公然と海外での武力行使を宣言する」大綱が作成中で「民主党も、この『大綱』を認めそう」。なので、水島朝穂さんのレポート《次期「防衛計画大綱」の恐ろしさ》は必読といえる。
 そして、直接8月30日の参考となりそうなのが、右派団体(改憲・タカ派議員の集まり)とはどういう団体なのか、右派団体に所属する立候補予定議員はどんな事をしてきたのか。全国選挙区別のリストアップだ。
 取り上げている団体は、憲法調査推進議員連盟(超党派)、新憲法制定議員同盟(超党派)、日本会議国会議員懇談会(超党派)、正しい日本を創る会(超党派)、神道政治連盟国会議員懇談会(自民党)、歴史・検討委員会(自民党)、日本の前途と歴史教育を考える議員の会(自民党)、みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会(超党派)、中国の抗日記念館から不当な写真の撤去を求める国会議員の会(超党派)、国防部会(自民党)、安全保障議員協議会、新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会、北朝鮮に対する抑止力強化を考える会、価値外交を推進する議員の会。

このほか、金曜アンテナでは宮崎一区、石川二区、東京八区ほかの注目選挙区を独自レポートしている。(表紙画像をクリックすれば…もくじ)
(練金術師)


  みんなの日記
 今週の762号の27ページ「80歳を超えた戦争の語り部たち」の、「戦争は二度と起こしてはなりません。」という結論にはもちろん異議はないのですが、どうにも気になる点が散見されます。
 例えば冒頭の碑の文の引用ですが、 「…数多の者が神風特別攻撃隊員として命を捧げたことを/」 の『捧げた』、 「…出撃散華した…」 の『散華』、 「…五十五柱を超える…」 の『柱』(は人間の遺体を数える単位ではなく、神を数える単位です)などは、全て死を美化し顕彰する言い回しです。これでは靖国神社や遊就館の論理と選ぶところがありません。靖国神社ですら「平和のために礎になった…」というような論理を振り回しますからね。(最近はもっと悪化して、法衣の下から鎧が露骨に見えるようにはなってきましたが、一応建前は現在もそうです。)
 それだったら、空襲の爆撃下で逃げ惑って死んだ人も、銃剣で突き刺されて死んだ人も、毒ガスで悶え死んだ人も、全て「命を捧」げ「散華」した一柱一柱と言うべきでしょう。なぜ特攻隊員だけ特別扱いをするのでしょうか?
 特攻隊員の追い詰められた状況は、私にも理解できないことはありません。しかしそれでもなお、彼らには選択の余地があったわけです。重慶や東京や大阪やガザやその他もろもろの場所で空襲により死んだ者には、選択の余地はなく、いうところの難死です。このような難死と特攻死は、百歩譲っても同等でしかありません。どうして特攻死のみを持ち上げ、賛美し、顕彰するのでしょうか。
 もっと言うなら、死を決意した「立派な」特攻隊員はそれからどこへ行ったのでしょう。もちろん、人を殺しに「出撃」したのです。その時点では彼らの戦いが「侵略」にすらなりえなかったことはむしろ救いですが、焼夷弾で焼き殺される人々は少なくとも直接には人を殺しに行ったわけではありません。この点から考えても、難死より特攻死を上に見るような視点は、許しがたいものだと思います。
 金曜日の、結果が反戦だから許すというような態度は、私には認めることができません。少なくとも近代の侵略戦争は、防衛やら平和の名において開始されていることを銘記すべきでしょう。
(草場純)
練馬読者会8月例会

  日  時:2009年8月22日(土) 19時から
  会  場:喫茶ノウ゛ェル(西武池袋線大泉学園駅北口駅前)
  会  費:喫茶代
  問合わせ:nerikinjyutu@mail.goo.ne.jp
       または03-3925-6039 近藤まで。


★ 江古田でEcoだ!★ いまこそサステナ ★

2009年08月01日 | 今週の注目記事
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 いよいよはじまった政権交代選挙。地元江古田で候補(予定)者たちはエコだエコだと口をそろえる…。

 この国が今やっているのは“エコ”という名の《一時的業界支援ばらまき》。グリーンニューディールの発想(持続可能社会へむけた仕組みをつくる)とはまったく似て非なるもの。『週金』最新号を紹介する。特集は題して《日蝕ニッポン



■自然エネルギーは一〇〇年に一度の産業革命です
 飯田哲也(環境エネルギー政策研究所)
 アンドリュー・デウィット

太陽が隠れる日蝕にお祭り騒ぎをする日本人たちの姿は、皮肉なほど今の日本の
置かれた状況を表すのに象徴的だった。自動車産業に匹敵する市場規模にも成長
しうると言われる再生可能エネルギー市場。そのグリーンエネルギー革命に、世界
各国は政府主導で大規模な投資を進めている。一方、太陽光発電で一時は世界を
リードしていた日本も今や“ジャパン・イズ・パッシング”。グリーン産業革命を目の前に
しながら“素通りする”だけの環境後進国と成り下がってしまった。さらに国内ではエコ
政策と称してバラマキをし、いまだに太陽光や風力などの再生可能エネルギーよりも
原子力発電に莫大なコストを支払おうとしている。日本は今、今後五〇年、一〇〇年の
命運を決めてしまう危機的な状況に目を向ける最後のチャンスを迎えている。


■低炭素革命への補正予算は消費の前倒し
 「ワイズ・スペンディング」のウソ
 桃井貴子

自公政府が実施した補正予算約一四兆円。その目玉である低炭素革命一兆五七七五億
円の中身をあらためて検証すると、環境に逆行するバラマキだったことがはっきりと見て
取れる。ますますグリーン産業革命から日本は遠のくばかりだ。


■民主案に対抗した温暖化対策だが……………
 経産省と財界が押し切った自民党案
 編集部

地球温暖化対策推進本部(本部委員長は野田毅衆院議員)低炭素社会形成推進基本法
PTの自民党議員に渡されたという日本自動車工業会からの礼状。

 環境エネルギー政策研究所はこちら
  
(練金術師)

★★ メディアリテラシー ★ 6月読者会へどうぞ ★★

2009年06月17日 | 今週の注目記事
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 『週金』754号(6/12)の表紙を飾るのはホリエモンだ。《検証シリーズ・ケータイバブル崩壊=借金2兆4000億円ソフトバンクの自転車操業 (1)》でインタビューに答えているからなのだが…。

 それはともかく、特集記事“メディアを考える”では、「日々情報に囲まれて生きている私たちにとって、メディアはひとつの環境ともいえる。…情報を得ているようで洗脳されているのか、批判しているようで踊らされているのか、メディアが何をどう描き、…描かないのか、そして私たちは何を信じたらいいのか───」と問題提起。まず、戦後のメディア研究の流れと今の状況について山中速人関西学院大学教授(参考)が概説する“ヘーゲルを生んだドイツがなぜヒトラーにだまされたのか”。そして三橋順子早稲田大学ジェンダー研究所客員研究員の問題提起“テレビの中の性的マイノリティ”。続いて弁護士で『マスコミはなぜマスゴミと呼ばれるか』(現代人文社刊)を書いた日隅一雄さんの“氾濫する情報からいかに事実を読み取るか”、だ。

 この国のメディアリテラシーの希薄さについてはリアル読者会でもたびたび取り上げられたし、当ブログでも故あってマスメディアに対してマスゴミの呼称を使ってきた(“偏向報道”、例えば小沢秘書逮捕関連記事など)。
 日隅一雄さんの“氾濫する情報からいかに事実を読み取るか”では、報道の中立や客観報道がいかにありえていないか、「実は日本では、報道の自由を制約するシステムが完成されて」いることについて、《放送行政が政府から独立していないこと》、《大手新聞・テレビ・ラジオの系列化》、《超巨大広告代理店に財布を握られていること》、《記者クラブによる情報独占》など具体的な例を挙げて日本独特のメディア支配の様態を解りやすく説明し、究極のメディアリテラシーの必要性についてかんがえているので、ぜひ一読を。

 とはいえ、見開き2ページ記事では物足りない。政権交代が迫った今、どんな政権であってもジャーナリズムによる権力監視は必要である。『マスコミはなぜマスゴミと呼ばれるか』では、再販制度・特殊指定・宅配(新聞)、電波管理行政・放送免許・予算承認(放送)、クロスオーナーシップ(資本の持ち合い)など…の分析を通して日本独特の“メディア規制システム”を明らかにし、どう対応すべきか考える。
(練金術師)
 練馬読者会6月例会

  日  時:2009年6月27日(土) 19時から
  会  場:喫茶ノウ゛ェル(西武池袋線大泉学園駅北口駅前)
  会  費:喫茶代
  問合わせ:nerikinjyutu@mail.goo.ne.jp
       または03-3925-6039 近藤まで。



★★★ 税金は金持ちから取れ ★ 今週の注目記事三連発 ★★★

2009年02月26日 | 今週の注目記事
注目記事その1 週刊金曜日

 宗教政党に寄り切られた形で、腐臭を放つ政策(定額給付金)と引き替えに画策された消費税増税スケジュール化の泥仕合は、沈没が目前に迫った自公与党の泥舟上で繰り返されメディアをにぎわせた。そして、もっともらしく口を開けば「税制の抜本改革」…。まやかしはもう通らない!

「そもそも税金は、どういった人や企業などからどのぐらい取ればよいのか。また、どのような目的に使うのがよいのか――それを決めるのは当然、主権者である私たちだ。貧しい人たちに負担が重い消費税率の引き上げを画策しながら、権力闘争に明け暮れる『麻生自民党』。こんな政治家に生活を委ねていいのか」という問題意識をここであらためて想起するのも大切な事だ。

★税金は「金持ち」から取れ★

《ビジネスに精を出して従業員を養い、税金を払う》これは企業家の崇高な使命であり、資本主義の原点だ…。
「いつの頃からか、消費税増税が避けられないものとされている。でもちょっと待て! 消費税増税よりも、今ある {ムダ} をなくせば、消費税増税分のお金は捻出できる」し、「今現在、所得税にしろ住民税にしろ、大企業や高額所得者、株式配当・売買益に対する異常なまでの低税率がまかり通っている。まずはこれを是正するのが先決」だ。

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 週刊金曜日2009/2/20号(739号)の特集は《税金を考える》だ。
  ★麻生増税を嗤う永田町の闇=天城 慶
  ★むしられても怒らない羊たちの消費税
                =三木 義一
  ★消費税を上げる前にやることがある=荻原 博子
  ★税金は金持ちから取れ!=浦野 広明

 今年にはいって『週金』編集委員に3人の“新しい血”がはいった。
「保守リベラルの視点から『週刊金曜日』に新しい風を吹き込みたいと思います」という
中島岳志(なかじま たけし)さん(1/9号抵抗人名録参照)

「貧困は、人間としての誇りや生きる希望を奪い去り、ときには命さえも奪い去ります。…『週刊金曜日』を通じて、貧困に抗する市民のネットワークが広がっていくことを期待しています。」という
宇都宮健児(うつのみや けんじ)さん

「人が地に足をつけて生きていた時代から見ると、今はほとんどが、ありもしない風船をつかまえようと、ぴょこぴょこ飛び上がっていますね。そんな風だから「日本」という幻想にもしがみつきます。「一体感」とやらをほしがります。歴史から目をそむけます。無知に逃げ込みます。人々のそういう欲望を利用して、利益をむさぼる人も出てきます。そのために戦争もするでしょう。私は、自分の足もとをみつめながら、孤独に落ち着いて生きる方途を探したいのです。それを探すために、誤魔化しの向こうの事実を少しでも知りたいと思っています。」という
田中優子(たなか ゆうこ)さん

新任 三編集委員の活躍により、スポンサーに依存しない雑誌メディアの幅と奥行きの広がりに期待したい。
※『週金』は図書館で読める、借りられる(はず)/今週号のその他の記事はこちらを。

注目記事その2は朝日新聞のインタビュー記事。

 『週金』編集委員にも期待されていた内橋克人さんは、1/9号佐高編集委員との対談で「豊かになれない日本国民=その理由は瞭然…との「最新時点での『現実認識』」を述べている。
 その現実認識を『朝日新聞』2009年2月23日付オピニオン欄(内橋克人氏インタビュー=聞き手 都丸修一)でも解りやすく語っているので、以下に全文引用する。

★資本主義はどこへ=協同考え新たな基幹産業を★
競争と共生●内橋克人さん 経済評論家


--内橋さんは市場万能主義、競争至上の新自由主義経済に異議を唱え、90年代から「このままでは雇用が破壊される」「社会のきずなが断たれる」と警鐘を鳴らしてきました。現状をどう見ますか。

 「今の日本は一番大事なものを失いました。それは、人間の尊厳と景気の自律的回復力です。これまでは景気が悪くなっても設備投資が動き出し、やがて働く人びとの所得が増えて好況になった。しかし、日本はいびつな不均衡国家になってしまった。過剰な外需依存と格差拡大、簡単に職を奪われ、安心して消費もできず、景気変動に耐える大事な力を失ってしまったのです」

--なぜ極端な不均衡国家に。

 「日本はグローバル化に『対応する』べきところを『適応する』ことばかり考えてきました。外資を稼いでもらおうとトヨタやソニーなど『グローバルズ』(日本型多国籍企業)に政策支援を集中させ、同時に国内ではリストラが進んだ。小泉構造改革の下で始まったいわゆる『いざなみ景気』の中で、製造業への派遣労働が自由化され、海外に進出していた工場が『日本回帰』と絶賛されて帰ってきた。つまり、国内でも低賃金で雇用できるようになり、輸出によって海外で稼ぎまくった。一方、多くの派遣労働者は社会保障の枠外に置かれ、クビを切られている。賃金、社会保障、地方、農業、あらゆる面で格差が拡大した。グローバルズが稼いだ外貨は十分還元されず、米国の浪費にすがることもできなくなって操業停止です」

--雇用問題は深刻です。

 「市場万能システムでは人間は単なる労働力であり、経営者も景気の条件反射のように労働力を切る。もともと雇用を減らすのは最後の選択だから、例えば雇われている人の数を示す雇用指数は、足元の景気よりやや遅れて動く『遅行指数』とされています。それが今や、景気の先行きを示す『先行指数』のような状況です」

 ★企業化した「公共」★

--内橋さんたちの異議は、しかし市場主義の潮流の中では力を持たなかった。

 「過去30年に及ぶ新自由主義政策は周到につくられています。時の権力者たちは、一つの思潮を広めるのに必ず学問とマスコミを動員します。アメリカでは『シカゴ学派』を、日本では規制緩和の諮問会議などを通して、『官から民へ』『働き方の多様化』『努力した者が報われる社会を』などとあおった。私は、こう問うてきました。『民』は民間巨大資本の民ではないか。働き方の多様化ではなく、働かせ方の多様化ではないか。努力が報われる社会は結構だが、競争社会では最終的に一人勝ち、敗者は努力不足だからあきらめろというのか、と」
 「日本人は、時流に乗る熱狂的等質化の傾向が強く、強い者に弱く、弱い者には強いという特性があって、少数の異議申し立てが排除されやすい。これは危険だと思います。『公共』という意識も弱く、公共の企業化という流れの本質もなかなか見抜けなかった」

--現在の資本主義は破綻しかけている、との見方があります。処方箋はありますか。

 「世界の国内総生産(GDP)の合計は54兆ドル(約5千兆円)ほどなのに、金融市場を暴走するホットマネーは最大で約540兆ドルともいわれます。利が利を生む虚のマネーが巨大化して実体経済を振り回してきた。もはや制御不能です。ホットマネーはいずれ自滅すると思いますが、実体経済を救うためにも、国境を越えて本当の専門家を集め、真剣に国際協調に取り組む必要があります」

 ★分断から連帯へ★

--内橋さんは「共生経済」、具体的には「F(食料)E(エネルギー)C(ケア)自給圏(権)」を提唱しています。

 「競争の原理は分断です。分断して対立させ、競争させる。切磋琢磨は結構ですが、共生は連帯と参加と協同を原理として食料、エネルギー、介護など人間の基本的な生存権を大事にする。FとEとCを自給し、消費するだけでなく、そこに雇用を作り出す。その価値観の下で新たな基幹産業を創出し持続可能な社会に変える。経済効果は大きいはずです」
「オバマ大統領は『無保険者に保険を』と公約し、財源として富裕層優遇減税を見直す考えです。所得再配分政策の復活です。FEC自給圏に通じます」

--国内経済優遇は保護主義につながるという意見や、逆に江戸時代のような自給経済に戻ろう、といった声も出ています。

 「とんでもない。FEC自給圏は人間の安全保障です。私は古き良き日本がいいなどとは思いません。差別や身売りがあり、基本的な生存権が奪われていた時代ではなく、人間を第一義とする共生経済をめざしているのです。それは小さな地域や若者たちの間で、すでに始まっている未来です」
(引用ここまで)

 さて、06年の時点で内橋さんは今日の事態を惹起した仕組みについて正確な警鐘(「悪夢のサイクル-ネオリベラリズム循環-」文芸春秋:刊)をならしていた。その内橋さんのもうひとつの《視点》について、こちら(東京新聞)も参照。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/consti/news/200706/CK2007062202026160.html

注目記事その3は植草一秀さんの『知られざる真実』

“企業家の使命”や“資本主義の原点”をかなぐり捨てた《小泉竹中改革》。“小泉竹中改革の帰結としての郵政民営化”、“郵政民営化の帰結としてのかんぽの宿の闇”について、植草さんは見逃すことのできない分析をしている。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-9efa.html
今後も要注目!したい。

(練金術師)

   ★★★ 『週金』も15歳 ★★★

2008年11月11日 | 今週の注目記事
images 『週刊金曜日』今週号(11/7号)は創刊15周年号だ。
 巻頭を飾るのは、萱野稔人、辛淑玉、佐高信の3氏による創刊15周年記念座談会「変動する世界 いま、生きるために」(司会・北村肇編集長)。=米国を中心としたむきだしの資本主義に綻びが見え始めている。世界恐慌の危機が叫ばれる中、世界はこれからどうなるのか、日本はどうすべきか、そして『週刊金曜日』はどうあるべきか=という問題意識のベースから3氏は、「九条改憲反対と言いながらセコム付けてる状態では勝てない」(辛)「米国のヘゲモニーが徐々に相対化されていく流れはできつつある」(萱野)「公正の論はチャベスから生まれる」(佐高)のだという。

 3氏それぞれの立場からのことばは大いに傾聴に値する。中でも、かつて『週金』の編集委員になりかけたこともある辛淑玉は『週金』のありようについて、「『週刊金曜日』って、人権は好きだけど当事者が嫌いな教師、という感じがするのね。…購読することが免罪符になるという意味では、効果のない厄除けみたいなもの。…人間を、頭ではなく腹で分かることが必要なんじゃないか。」などの厳しい視点を提示している。

 15歳といえばそろそろことの分別が芽生えてもよい年ごろだ。『週金』も自らの依ってたつ位置を見定めるとともに、“ライター”に依存するのではなく“事実”に依存する《ジャーナリズムとしての説得性》を培ってほしい、と15周年に当たって練金術師は考える。

 もうひとつの15周年特別企画は「本多勝一を語る」。
 “事実によって本質を描く”姿勢を貫き『週金』を立ち上げた本多勝一と“自称本多ファンクラブ名誉会長”の石坂啓の対談および“短いラブレター”だ。(ここまで敬称略)

 「殺される側」に立ち続けるというミッションは、いまどき徘徊する自称“現役ジャーナリスト”に問われ続けなければならない。

 この他、読みでのある記事を目次から拾えば…

●広島・民間人校長自殺の真相 教育行政の違法を許さない!(平舘英明)

●追及第9弾 セブン-イレブンの正体
 「おでん売りたくない」加盟店主たちの本音(山口舞子)

●佐世保と三菱を忘れた「ナガサキの平和」の欺瞞(舟越耿一)

●反貧困から世直しを!(写真・吉田敬三 文・野村昌二)
“反貧困世直しイッキ!大集会 垣根を越えてつながろう!!”レポート

●生活情報ページ 暮らし・くらし・KURASHI
 医者は何でも知っている!?(2)
 風邪に抗生剤は効かない 処方する医師には要注意(海月篤)

(練金術師)