気ままに

大船での気ままな生活日誌

東福寺展 東博 

2023-04-16 18:51:21 | Weblog

おはようございます。

3月7日から始まっていた東博の”東福寺展”をようやく見に行ってきた。東福寺といえば京都一の紅葉の名所で、ぼくも、もう何回、紅葉狩りしたことか。しかし、東福寺の宝物を拝観したことがない。ただ、方丈の庭園だけは一度だけ見せてもらっている程度。この展覧会で東福寺のいろいろなことを知り、また、今秋の紅葉狩りでは、ぜひ伽藍も廻ってみようと思った。

東福寺の名前は、奈良の大寺院、東大寺と興福寺のそれぞれからの文字、東と福をとってつけられたことを初めて知った。鎌倉時代前期に摂政・関白を務めた九条道家が、京都にもそれくらい大きな寺院を創りたいという願いが込められている。円爾(えんに、聖一国師)を開山として迎え、創建した。後世、”東福寺の伽藍面(がらんづら)”と呼ばれるほどの巨大伽藍が並び、聖一派と呼ばれる多くの人材が育った。

円爾は自身が中国(宋)で無準師範の元で修業した経験もあり、海外交流に力を入れた。そのため、中国伝来の文物をはじめ、禅宗文化を物語る建造物や彫刻・絵画・書跡など多くの特色ある文化財が伝えられた。本山東福寺・塔頭合わせて国宝7件、重要文化財98件、合計105件にも及ぶという。

また当山には吉山明兆という絵師がおり、多くの傑作を残している。江戸時代までは雪舟と並ぶ絵師として高く評価されていたが、忘れられた存在になっている。明兆の35歳の代表作、五百羅漢図(南北朝時代、14世紀)が14年にも及ぶ修復を終え、今回、50幅(一部、狩野孝信筆)が勢揃いしている。ぼくの今回一番のお目当てこの作品。

さて、本展は撮影禁止だが、一部、OKのコーナーがあり、なんと、通天橋からの紅葉狩りも出来るようになっている。それと仏像のいくつか。残りは、(図録は買わない主義なので)ちらしや公式サイトの写真を利用させてもらう。

章立ては次のようになっている。

第1章 東福寺の創建と円爾
第2章 聖一派の形成と展開
第3章 伝説の絵仏師・明兆
第4章 禅宗文化と海外交流
第5章 巨大伽藍と仏教彫刻

まず、ぼくの一番のお目当て、明兆の作品が並ぶ、第三章から。

第3章 伝説の絵仏師・明兆

五百羅漢図は1~50号まであるが、以下に示すように、46,47号は欠落し、江戸時代、狩野孝信が下書きを元に復元模写している。50号は行方不明になっていたが、ロシアのエルミタージュ美術館にあることが確認されている。ここでは、明兆の下書きと現代美術家による復元図がある。48,49号は東福寺を離れ、根津美術館が所蔵しているが、今回、一緒に展示されている。

五百羅漢図45幅  吉山明兆筆 南北朝時代 至徳3年(1386) (東福寺)1~45号
五百羅漢図2福 狩野孝信筆 2幅 江戸時代 元和6年(1620)(東福寺)46,47号
五百羅漢図2福 吉山明兆筆 南北朝時代 至徳3年(1386)(根津美術館)48,49号
五百羅漢図(復元模写)1福 平成30年(2018)(東福寺)(50号)(行方不明になっていた50号はエルミタージュ美術館にあることが最近判明、その復元図)

五百羅漢図下絵(第11、16、45、46、47、50号)吉山明兆筆 

本図は、南宋の林庭珪(りんていけい)・周季常(しゅうきじょう)筆「五百羅漢図」百幅本を原本にして、永徳3年(1383)より3年を費やして明兆が描いた記念的作品である。水墨で奥行きのある遠景表現を表す手法には、後年水墨画家として活躍した明兆の資質がうかがわれるとのこと。

なお、同じ禅宗の鎌倉の円覚寺の重要文化財・五百羅漢図の50図は、伝・張思恭筆(元時代)(1271-1368)の作。芝の増上寺の五百羅漢図を描いた狩野一信はこれを参考にして描いている。

以下、明兆筆の五百羅漢図の3例。

五百羅漢図1号

同48号

同20号

重要文化財 白衣観音図 吉山明兆筆 室町時代・15世紀 3mを超す巨大な観音図。ダイナミックな描写。

重要文化財 達磨・蝦蟇鉄拐図 吉山明兆筆 室町時代・15世紀 明兆画を代表する優品。中央の達磨はシンメトリックな構成美と緻密な陰影描写、江戸絵画を先取りしたような明るく伸びやかな筆さばき。ユーモラスな左右の蝦蟇・鉄拐図は中国絵画の名品を模写したもの。

以下、各章の代表作品を。

第1章 東福寺の創建と円爾

国宝 無準師範像 自賛 中国 南宋時代・1238年(嘉熙2年) 円爾(聖一国師)の師匠。

重要文化財 遺偈(ゆいげ)円爾筆 鎌倉時代・1280年(弘安3年) 円爾が息を引き取る直前の書。衆生の利益を念じて精進した79年、禅の真理は仏も祖師も伝えず自ら体得するものと、仏道に捧げた生涯を顧みる四言四句よりなる詩。

第2章 聖一派の形成と展開

虎 一大字 虎関師錬筆 鎌倉~南北朝時代・14世紀 京都・霊源院蔵 円爾の孫弟子で、東福寺第15代住職・虎関師錬(1278~1346)の書。漢詩文や書にも優れた当代きっての学僧が、これは何かと問いかけている。文字や絵か、座した虎か怪物か、はたまた座禅する虎関自身の肖像か。

第4章 禅宗文化と海外交流

国宝 太平御覧 李昉等編 中国 南宋時代・12~13世紀 円爾がもたらした宋王朝勅纂の百科事典。

第5章 巨大伽藍と仏教彫刻

重要文化財 東福寺伽藍図 了庵桂悟賛 室町時代・1505年(永正2年) 東福寺の全景を詳細に描く東福寺最古の絵画遺品。

国宝 禅院額字幷牌字のうち方丈 張即之筆 中国 南宋時代・13世紀 伽藍を飾る、無準師範が円爾に贈った開堂祝いの書。各地の禅院にこの書風が広まった。

この章の一部が撮影可能になっている。

釈迦如来坐像(光背化仏)旧本尊の光背にあらわされた化仏のひとつ。

 

仏手 鎌倉時代・14世紀 京都・東福寺蔵 旧本尊釈迦の2メートルもある左手。いかに巨大な本尊だったかがわかる。旧本尊は明治14年(1881)に焼失した。

明兆筆による巨大な釈迦涅槃図。その一部。これは複写だが実物大。実物は現在、東福寺で一般公開されているとのこと(4月15日~5月7日)。

実際はこのようにかけられている。

撮影禁止の仏像群がうしろに控えているが、そのひとつ。

四天王立像のうち多聞天立像 鎌倉時代・13世紀 京都・東福寺蔵

おわりに、東福寺・通天橋の紅葉。

本物みたい。この秋は是非!

東洋館横の白躑躅があと少しで見頃です。

本館に合わせて。

すばらしい東福寺展でした。

では、おやすみなさい。

いい夢を。


本館横の紅白のハナミズキ

コメント (4)
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