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1988年、酒田市内の小学校で起きた現金強奪未遂事件のことは、もう知らない世代の事務職員も増えているはず。給与受領後、学校に帰ってきた時点で強盗に襲われた事務職員が頭部を負傷した経緯もあり、山形県も全国的にはかなり遅くはなりましたが(しかしおかげでかなり職員にとってスマートな形になってはいる)平成8年3月分給与から口座振込制度が導入されました。でも実情をみると、所属によってその振込の割合にはかなりの格差があり、先日のアンケートの結果を見ると、特に酒田はなかなか進んでいないのが現実のようです。
「そんな事件があったのなら、当の酒田がもっとリードして浸透させたらいいじゃないか」と言われそうですが、話はそう簡単ではありません。
実はこの制度、組合費を天引きさせないために考案されたという不幸な出自があり、ためにこの問題を労働組合が語ることはタブーに近い雰囲気があったのです。第一、“受けとる側→事務職員以外”にとって現金はやはり便利だし、なにより充実感(笑)があることはよくわかります。結果として県教組および県教組事務職員部は、
①端数
②寒冷地手当(導入当時は8月10日支給で、わざわざ夏季休業中に会議を組んでいたりした学校もあった。今年からは上乗せ支給。この手当のことを庄内の人間と話し合ってはいけない。「なんで無くなるんだっ!」といきなりぶち切れてしまうので)
③差額(まあ、これ自体もなつかしい存在になってしまった……)
を振込にしていく取り組みをすすめる、という一種及び腰な対応となってしまいました。そして現在は一歩すすめて、すぐに現金として必要な生活給とはいえない(反論があることは重々承知しています)期末手当、勤勉手当も振込にできないか、と運動してきました。
しかしここは原点にかえって考えてほしいのです。この不況下、犯罪はますます頻発、凶暴化しており、現金を特定の職員に一度集中させ、しかも移動し、加えて仕分けを行うという作業にはかなりのリスク(とコストであることは前に説明した)が発生し、そのリスクの多くは事務職員に向かいます(どこかの事務職員のように182㎝の巨体をみんなが持っているわけではなく、県内の事務職員の8割は女性)。『事務職員の生命をまもる』という観点から全員全額振込を推進しなければならないのではないかと。
それに、池田小・宇治小の事例を持ち出すまでもなく、学校という場所は本来開かれたものであるはずで、本気で侵入しようとする人間を完全に排除する手だてが無い以上、多額の現金を学校に運び入れること自体が児童生徒を高いリスクにさらすことだと、心ある管理職や職員なら気づいているはずでしょうに。
事務職員部報05年10月21日号より。