「将来1人になったらどうなるのだろう。障害があり仕事に就くのは難しい」。高機能自閉症の長男(30)の母親は息子の行く末を憂える。
個人の力に限界
長男が注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断されたのは高校時代。昨春、知的障害はないがコミュニケーションに難がある高機能自閉症に病名が変わった。さまざまな仕事を経験したがどれも長続きしなかった。母親は「個人の力にも限界がある。長男がどのような人間なのか、障害への理解が深まれば」と話す。
長男の異変に気付いたのは小学校入学後間もなくだった。同級生とのトラブルで授業に集中できず、勝手に教室を飛び出した。高校生になると力が増し、騒ぎが大きくなった。「退学させられるかも」と精神科を受診。「目が病的になり、自宅の壁に穴を開けた。嫌なことを思い出して突然爆発することもあった」と絶望的な日々を振り返る。
成人を迎えるころから落ち着いてきた。農作業や食品加工、清掃、販売の仕事などを経験。しかし、1週間もたつと母親に「雇えない」と連絡が入った。知的レベルは優れている一方、言語表現が衰え、十分なコミュニケーションが取れない。体はがっしりしているが、体力はあまりない。休みがちなのを「ずる休み」と指摘されても、言葉でうまく説明できず、高圧的な態度を示してしまった。
7月から、職場実習が体験できる道立帯広高等技術専門学院OA事務科で、パソコン技術やコミュニケーション能力を磨いている。入学から1カ月の長男は「学んだことを生かして事務職に就ければ」と張り切っている。
とはいえ、発達障害を持つ人の雇用は敬遠されがちという現実もある。同科の鹿川靖子ディレクターは「障害を知っている雇用主は『難しいから雇えない』と言い、知らない雇い主は『よく分からないから雇えない』と言う」と説明する。
働く権利ある
障害者がその人らしく生きられる社会を築くにはどうしたらいいのか。総選挙を前に母親は1票への思いを語る。「障害者も働く権利があるはずだが、特に精神障害へのサポート態勢は整っていない。私がいなくても食べていけるよう、障害者への就労支援が最大の願い」
個人の力に限界
長男が注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断されたのは高校時代。昨春、知的障害はないがコミュニケーションに難がある高機能自閉症に病名が変わった。さまざまな仕事を経験したがどれも長続きしなかった。母親は「個人の力にも限界がある。長男がどのような人間なのか、障害への理解が深まれば」と話す。
長男の異変に気付いたのは小学校入学後間もなくだった。同級生とのトラブルで授業に集中できず、勝手に教室を飛び出した。高校生になると力が増し、騒ぎが大きくなった。「退学させられるかも」と精神科を受診。「目が病的になり、自宅の壁に穴を開けた。嫌なことを思い出して突然爆発することもあった」と絶望的な日々を振り返る。
成人を迎えるころから落ち着いてきた。農作業や食品加工、清掃、販売の仕事などを経験。しかし、1週間もたつと母親に「雇えない」と連絡が入った。知的レベルは優れている一方、言語表現が衰え、十分なコミュニケーションが取れない。体はがっしりしているが、体力はあまりない。休みがちなのを「ずる休み」と指摘されても、言葉でうまく説明できず、高圧的な態度を示してしまった。
7月から、職場実習が体験できる道立帯広高等技術専門学院OA事務科で、パソコン技術やコミュニケーション能力を磨いている。入学から1カ月の長男は「学んだことを生かして事務職に就ければ」と張り切っている。
とはいえ、発達障害を持つ人の雇用は敬遠されがちという現実もある。同科の鹿川靖子ディレクターは「障害を知っている雇用主は『難しいから雇えない』と言い、知らない雇い主は『よく分からないから雇えない』と言う」と説明する。
働く権利ある
障害者がその人らしく生きられる社会を築くにはどうしたらいいのか。総選挙を前に母親は1票への思いを語る。「障害者も働く権利があるはずだが、特に精神障害へのサポート態勢は整っていない。私がいなくても食べていけるよう、障害者への就労支援が最大の願い」