馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

新生子馬の肋骨骨折の内固定

2024-04-12 | 新生児学・小児科

3日齢の子馬が肋骨骨折と胸腔内出血があるとのことで来院。

早期胎盤剥離だったので、急いで引っ張り出した、とのこと。

それ自体は仕方がないことだ。

子馬は貧血もしているので、輸血をしてから肋骨の整復と固定手術をすることにした。

私は15年前に1頭経験がある。その時は結束帯で固定した。

新生子馬を診たら、肋骨が折れていないか左右で1本1本よく触ってみなさい、

ということになっている。

肋骨骨折がある子馬にはときどき遭遇するが、手術しましょう、となることは少なかった。

手術しなくてもそれなりに治っていくし、

子馬の状態がよろしくないと、全身麻酔で手術するにはリスクがあるからだ。

X線画像では診断しにくい。

超音波画像と触診の方がわかりやすいかも。

この子馬は周囲の腫れがひどい。

肋骨が4本折れて、腹側の骨折端が内側へ落ち込み、over ride していた。

今回は、肋骨の骨折端それぞれに2つずつ孔を開けて、2 の吸収糸を通して結紮で固定した。

ワイヤーで縛ろうとすると肋骨が割れてしまいがち、

プレートとスクリューだと抜かなければならないかもしれず、化膿したらやっかいだ。

結束帯より丈夫な縫合糸の方が遊びなく結紮できる、かも。

           ーーー

これは別な日、多発性細菌性関節炎と骨髄炎であきらめた2週間早く生まれてしまった新生子馬。

肋骨骨折もあった。

もう3週齢を超えていて、肋骨骨折も固まっているので触診ではわからない。

この子馬も4本折れていたようだ。そして、1本は変位がひどかった。

しかし、肺には傷ついた痕はないし、胸腔内出血の痕もなかった。

手術した子馬より肋骨骨折自体は軽症だったのだろう。

           /////////

ことしも庭に現れた福寿草。

植えたものじゃない。

増やしたいけど、いじればかえって消えてしまうかも・・・・

手を出すか、温存でいくか、その判断が難しい。

 



2 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2024-04-12 07:14:22
 早期胎盤剥離のとき、どうするのがいいのでしょう?予定日近くなのかどうかで違うと思いますが、診療所に運ぶことは選択しとできないものでしょうか?
 3日たっていることについては遅くない
?と思ってしまうのですが、もくしもつけてろらっているし、哺乳できていたのでしょうね。
 結束帯より丈夫な縫合糸って、どういうのだろう?
 母馬もこの子馬も元気になって親子の時間が持てますように。

 葉っぱは増えているのでは?確実に増えますよ。好きでその場所で咲いたのですから。
 葉っぱがなくなって付近をいじったら辛うじて一輪。場所の認知が甘かったと反省。わざわざ買った春を告げる植物。
 今年は天候の影響か爆発的な生命活動とはいかない様相。
 騎手の落馬、とてもリプレーでは見れそうにもない。
>はとぽっけさん (hig)
2024-04-13 04:38:08
病院へ運んでいると、1時間はかかってしまうでしょう。早期胎盤剥離だと子馬の生存は厳しいでしょうね。
子馬が動いているならなんとか牧場で、あわてず、無理せず、しかし急いで出す。しかないかな。他の難産とやることは変わりません。様子見はしない、ということ以外は。

出生直後に肋骨骨折に気付いても、1日2日は待つべきでしょう。まだ肺の機能も定まらず、移行抗体の吸収もまだですから。

糸は、吸収性編み糸、polysorb 2号でした。結束帯より丈夫というわけではありません。

福寿草は増えてもらいたいです。でも株分けすると消えてしまいそうです;笑

騎手の事故はいたましいです。ヘルメットはカーボン製なんだろうか?MIPS機能がある最高性能のものなんだろうか・・・バイク用に開発されたエアバックが使えないだろうか・・・

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