◎佐藤義亮『生きる力』の復刊
本日の日本経済新聞の一面に、佐藤義亮『生きる力』の広告が載っていた。発行は広瀬書院、発売は丸善出版である。佐藤義亮〈サトウ・ギリョウ〉は、新潮社の創業者で、この『生きる力』のほか、『向上の道』、『明るい生活』などの著書がある。いずれも、逸話あるいは随筆を集めたものである。『生きる力』の初版は、一九三六年(昭和一一)五月六日に、新潮社から出た。これがベストセラーとなったため、続いて、『向上の道』(一九三八)、『明るい生活』(一九三九)が編まれた。
いま手元に、『生きる力』のオリジナル版がある。初版発行から一か月後の一九三六年六月五日に発行されたものだが、何と一六五版である。最終的には、三二〇版以上に及んだという。驚異的なベストセラーである。この本が、戦後、一度も復刊されなかったというのは、むしろ不思議な話である。
今回の広瀬書院版は、この『生きる力』の初めての復刊ということになる。なお、『生きる力』は、一九三八年(昭和一三)に、改訂増補版が出ている。今回の復刊が、初版を底本にしたものなのか、補訂版を底本にしたものなのかといったあたりは、広告を見ただけでは判断できない。
当コラムでは、一年ほど前に、佐藤義亮の『明るい生活』から、三つほど逸話を抜いて紹介したことがある。佐藤義亮に関心をお持ちの読者には、とりあえず、「貝を磨いて客を待った石州流茶道の家元」(2013/9/12)を、ご覧いただければと思う。
*このブログの人気記事 2014・8・30
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます