礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

邦楽の曲名ほど読み方の難しいものはない

2017-06-26 02:06:36 | コラムと名言

◎邦楽の曲名ほど読み方の難しいものはない

 歌舞伎の演目の読み方は難しい。「与話情浮名横櫛」は、「よはなさけうきなのよこぐし」と読む。これなどは、耳で聞いた覚えがあるから読めるわけで、聞いたことのない演目の場合には、まず読めないであろう。たとえば、「隅田川続俤」という演目は、「すみだがわごにちのおもかげ」と読むらしいが、これをスラスラと読める人は、よほどの「通」であろう。
 さて、歌舞伎の演目と同様に、あるいは、それ以上に、読み方が難しいのが、長唄・清元・常磐津などの邦楽の曲名である。いま、『名曲解題 邦楽舞踊辞典』(冨山房百科文庫、一九三八)から、それら邦楽の曲名を挙げてみる。ぜひ、その「読み」を推定していただきたい。
〔 〕内は、当該の曲名が、どの邦楽のものかの区分を示している。『邦楽舞踊辞典』の記述に拠ったが、邦楽に詳しくないので、同書の記述を誤読している場合があるかもしれない。

1 浦千鳥見女汐汲  〔長唄〕
2 遅桜手爾波七字  〔長唄〕
3 五諸車引哉袖褄  〔清元〕
4 内裡模様源氏紫  〔常磐津〕
5 禿紋日雛形    〔常磐津〕
6 大都会扇成絵合  〔清元〕
7 好偕川傍柳    〔常磐津〕
8 助六曲輪菊    〔清元〕
9 翻詞廓文章    〔清元〕
10 道成寺現在蛇鱗 〔義太夫〕
11 七重咲浪花土産 〔長唄〕
12 七所御摂初鉄漿 〔長唄〕
13 二世契縁綬糸  〔清元〕
14 春世界艶麗曽我 〔長唄〕
15 牡丹蝶扇彩   〔長唄〕
16 封文栄曽我   〔長唄〕
17 拙業再張文   〔長唄〕 
18 道行思案余   〔清元〕
19 雪梅顔見勢   〔長唄〕
20 睦月筈紋日   〔常磐津〕
21 戻駕色相肩   〔常磐津〕
22 倭仮名色七文字 〔常磐津〕
23 雪芳野木毎顔鏡 〔長唄〕
24 豊春名集寿   〔清元〕
25 寄三升花四季画 〔長唄〕

 いずれも難読である。正解は、明日、お知らせする(どうしても気になるという方は、当該の曲名をコピーして検索していただきますと、すぐに判明するかと思います)。
 なお、13番を除いて、漢字六字の曲名が見られない。六文字の曲名を意図的に避けていると思われる。
 歌舞伎の演目も、同様に、六文字を避ける傾向がある。歌舞伎の演目については、「南無阿弥陀仏」が六文字であることから、六文字が忌避されたという説明を読んだ(聞いた)覚えがあるが、いま、典拠を挙げることができない。

*このブログの人気記事 2017・6・26(8・10位にやや珍しいものが)

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