礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

誰が呼んだか、鞍馬天狗とゆう人よ

2016-04-01 05:08:47 | コラムと名言

◎誰が呼んだか、鞍馬天狗とゆう人よ

 数日前、またまた、映画『鞍馬天狗 角兵衛獅子』を鑑賞した。一九五一年(昭和二六)、松竹京都制作、大佛次郎原作、八尋不二脚本、大曾根辰夫監督。
 やはり、何度見ても面白い。これを「傑作」と呼んだ映画通は、あまりいなかったと思うが、私にとっては、紛れもなく傑作である。
 冒頭は、川田晴久の口上。

 春風駘蕩〈シュンプウタイトウ〉春たけて、東山三十六峰〈ポウ〉静かに眠り、賀茂の河原に千鳥鳴く、その静寂を破って、突如として起こる剣戟〈ケンゲキ〉の響き

 講談調というのか、弁士風というのか、川田晴久のカン高い声が、いきなり緊張感を醸し出す。
 続いて、橋の上で、多数の武士が斬り合う場面。あえて、無声映画のような雰囲気を出そうとしている印象。
 この場面の最後にかぶさって、川田晴久のギター。
 場面変わって、「ちゃっかり飴」の飴屋に扮した川田が、京の街なかで、太鼓で拍子を取りながら歌う。
 メロディは、何と「地球の上に朝が来る」。言うまでもなく、川田晴久のオハコである(六〇代半ば以上でなければ、通じないか)。
 一部、歌詞が聞き取れないが、だいたい、次のように歌っている。

月は朧〈オボロ〉に東山 
賀茂の流れに紅が散ります○○○もと
ここは名代の京の街
新撰組の浪士らが 
我が世の春を歌いつつ
傲慢無礼に肩で風切る人を斬る
さはさりながら皆さまよ
京の童〈ワラベ〉の手毬唄

菊は二度咲く葵は枯れる
西にゃ轡〈クツワ〉の音がする
飴屋の唄にも唄われた
今日も噂の目と口に
言わず語らず待っている
その正体は知らねども
誰が付けたか呼んだのか
鞍馬天狗とゆう人よ

 それにしても、この映画の川田晴久はいい。歌も演技もうまい。表情もいい。主演の嵐寛寿郎〈アラシ・カンジュウロウ〉を喰っている。
 杉作役の美空ひばりも悪くないが、やはり、川田晴久には遠く及ばない。

*このブログの人気記事 2016・4・1(5位に珍しいものが入っています)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 台湾をおいて沖縄に来たなあ... | トップ | 視たり聞たり皆自由(植木枝盛) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

コラムと名言」カテゴリの最新記事