goo blog サービス終了のお知らせ 

おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

愛のむきだし

2020-08-27 09:14:07 | 映画
「愛のむきだし」 2008年 日本


監督 園子温
出演 西島隆弘 満島ひかり 安藤サクラ
   尾上寛之 清水優 永岡佑 広澤草
   渡辺真起子 渡部篤郎 板尾創路
   岩松了 ジェイ・ウエスト 吹越満

ストーリー
角田ユウ(西島隆弘)は幼いころに母を亡くすが、神父の父・テツ(渡部篤郎)と2人で幸せに暮らしていた。
そして、母の思い出を胸に、理想の女性“マリア”に出会う日を夢見ていた。
ある日、自由奔放で妖艶なサオリ(渡辺真起子)が現れる。
テツはサオリに溺れていくが、サオリはテツの元を去る。
サオリを失ったテツは人が変わり、神父として、ユウに毎日“懺悔”を強要するようになる。
ユウは様々な罪を時には創作して懺悔したが、女性の股間を狙う盗撮だけは、父に許されなかった。
しかし、それこそが父への愛だと感じたユウは、盗撮に没頭していく。
ある日ユウは盗撮仲間とのゲームに負け、女装して女性をナンパすることになる。
そして、街でチンピラに絡まれていたヨーコ(満島ひかり)と出会う。
ヨーコも、女装したユウである謎の女・サソリに恋をする。
ヨーコと出会って数日後、父がサオリと再婚することになり、サオリは連れ子としてヨーコを連れてくる。
ヨーコはサソリに恋していたが、ユウのことは毛嫌いする。
女装すれば愛され、兄としては嫌われるユウは混乱し、盗撮を続けていく。
そのころ、狂信的な信者を増やし、営利を貪る新興宗教団体“ゼロ教会”が世間を賑わせていた。
ゼロ教会教祖の右腕・コイケ(安藤サクラ)は角田家に近づく。
コイケはユウの行く先々に現れたり、ヨーコに自分がサソリだと思わせ、家庭の中に入り込んでいく。
コイケはユウの盗撮をばらし、ヨーコのユウへの憎悪を増加させ、テツやサオリもコイケに洗脳されていく。
家族の不信感を払拭できず、ユウは家を出る。
時が経ち、ユウが家に戻ると、家族やコイケは姿を消していた。


寸評
この作品に対する感想として、一気に見ることができたという意見も多々目にするが、僕はどうしてもそんな気になれず、やはり長いと感じてしまう。
兎に角、映画のタイトルが出るまでに1時間ほどを要している特殊な作品だ。
その小一時間で描かれるのはユウの盗撮だけと言ってもいいほどで、なぜにここまで必要に描かねばならないのか、感受性の乏しい僕は戸惑ってしまう。
ユウは神父である父に懺悔することで父親の愛を感じるという歪んだ父子関係だ。
懺悔するには罪を犯さねばならず、ユウは盗撮を繰り返すが、なぜか父親は盗撮の罪だけは認めようとしない。
そんな中でユウがヨーコと出会うまでのカウントダウンが開始される。
ユウは女装してサソリと名乗るのだが、そのコスチュームといいサソリという名前といい、これは梶芽衣子のサソリそのものだ。
梶芽衣子のサソリは信じた男に裏切られ利用されたことによる復讐劇だったが、このサソリはというか、サソリを演じているユウはヨーコに一途の愛を捧げている。
ちょっとは面白くなってきたかなと思えるようになったのは、この満島ひかりが演じるヨーコと、安藤サクラが演じるコイケという女性が登場してからだった。
ヨーコはサソリに妄信的な愛を感じるが、ユウには憎悪を募らせていく。
これは愛の二面性だと思うが、その感情はヨーコの義母であるサオリに凝縮されている。
サオリは神父のテツに猛アタックをかけ愛の押し売りを行うが、それが受け入れられるやたちまち冷たい態度に出ることの繰り返しをやっている。
その無秩序な行為を実感させるためか、これに関わるシーンも長い。
僕はまたまた退屈してくる。
これは拷問に等しく、まだ半分の2時間しか経っていない。

ユウはついにヨーコに告白するが失敗する。
ここからは面白い。
なんだかんだと登場したストーリーだが、最終的には純愛へと移っていく。
あれだけ訳の分からん物語を描きながら、ラヴェルやベートーヴェンの曲に乗って最後にここに持ってくるのはかなりの根気がいっただろうし、見る側の我々も根気を要求された。
最後の到達点がこれなら、今までの話はなんだったのだろうと、またまた感受性の乏しい僕は思ってしまう。

愛のむきだしという過激なタイトルだが、ベッドシーンも出てこないし、裸のシーンも登場しない。
やたらとパンティが登場する映画だったなあというのが正直な印象。
しかし出演した満島ひかりと安藤サクラはいいわあ。
満島ひかりはアイドル女優にはなれないが(なる必要もないけど)ニューヒロインの登場を感じさせる。
安藤サクラは今時このような狂気を演じられる女優はいないだろう。
この若さにしてこの表現力はすごい。
日本映画界の至宝になるかもしれない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。