おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

快盗ルビイ

2022-04-25 07:38:07 | 映画
「快盗ルビイ」 1988年 日本


監督 和田誠
出演 小泉今日子 真田広之 水野久美 岡田真澄
   木の実ナナ 陣内孝則 吉田日出子 高見恭子
   奥村公延 富士真奈美 秋野太作 天本英世

ストーリー
ある日DM発送会社に勤める林徹(真田広之)のマンションに女の子(小泉今日子)が引っ越してきた。
彼女は加藤留美というフリーのスタイリストだが、本当はルビイという名の快盗だった。
徹はさっそく相棒として犯罪を手伝わされる。
まずは巧妙な手口で食料品屋の親父(天本英世)から売上げ金を盗んだが、中味は大金とは程遠くて経費を差し引くと赤字だった。
頭の切れるルビイと頼りない徹だったか、二人は次に銀行襲撃を計画した。
しかし、これも徹が脅迫の手紙と買物メモを間違えて失敗。
ルビイは凝りずに宝石店詐欺を試るが、あっさり店主(斎藤晴彦)に見抜かれてしまう。
犯罪計画を楽しむような二人は豪華マンションに忍び込むが、管理が厳しくて脱出するのに精一杯で物を盗むどころではなかった。
徹はルビイが好きだが、彼女には恋人(陣内孝則)がいた。
ルビイが喧嘩した恋人に宛てた手紙を取り戻してほしいという。
徹は気やすく引き受けるが、運悪く警察に捕まってしまう。
気のいい刑事(秋野太作)と法医学者(名古屋章)の計らいで徹はすぐに釈放されたが、ルビイはそんな自分のワガママを聞き入れてくれた彼を暖かく迎えた。
そして今度は徹のほうが、新しい犯罪計画をルビイに持ちかけるのだった。


寸評
小泉今日子は1980年代のアイドルの一人で、KYON2(キョンキョン)の愛称で松田聖子と中森明菜の2強に続く存在だった。
1982年に歌手としてデビューし、アイドル歌手として活躍していたが年齢を重ねて女優業が多くなっていった。
「快盗ルビイ」は初期に属する作品で、時期的にもアイドル映画と言ってよいと思う。
アイドル映画としてはよくできており、喜劇ファンタジーとして単純に楽しめるし、キョンキョン・ファンならば十分に楽しめる内容となっているが、特段のファンでない僕は内容の軽薄さに乗り切れないでいる。
通常だと「怪盗ルビィ」とされるべきタイトルを、わざわざ「快盗ルビイ」としていて内容を髣髴させている。
話の展開も映像もポップな感じで進んでいき、小泉今日子の真っ赤な口紅が脳裏に残る作品である。

監督・脚本の和田誠は著名なイラストレーターで、飄々とした風合いのイラストは味わいがあり、僕たちの世代の者は彼のイラストをあちこちで見かけていたと思う。
僕は氏がキネマ旬報に連載されていた「お楽しみはこれからだ」が単行本化された2冊を持っているが、作品中のセリフを基にしたエッセーで、シンプルなイラストが素敵な読み物である。
本作は彼の描くイラストそのままに、かわいらしくもちょっと大人っぽいロマンチックな仕上がりとなっている。
真田広之が小泉今日子と出会い自転車の稽古をする出だしに続き、食料品屋の親父からカバンをだまし取るエピソードで示されるのが、盗んだカバンを返しに行く理由が赤字だからという滑稽なことから、それ以降の犯罪がどのように失敗していくのかに興味がいくように仕向けられている。
そして何よりもファッションを含め、小泉今日子がカッコイイ女性として描くことに重点を置いている。
それを際立たせるために真田広之に変な格好をさせていたと思われる。

宝石店での失敗、銀行強盗の失敗、高級マンションでのコソ泥の失敗、手紙の奪還作戦の失敗が面白おかしく描かれていくが、アイドルの小泉今日子を犯罪者にするわけにもいかず、可愛く失敗を重ねていく様子は真田広之の可笑しさもあって肩がこらない。
二人のデュエットも楽しめるシーンとなっている。

面白くさせている要因の一つに豊富な脇役陣がある。
真田広之の母親役を水野久美が演じて出番も多いが、チョイ役として食品店の主人に天本英世、宝石店の店主で斎藤晴彦が滑稽な演技を見せ、銀行の窓口係りとして吉田日出子、愛人関係らしい二人に岡田真澄と木の実ナナ、小泉今日子の恋人に陣内孝則、刑事が秋野大作で、法医学室担当の名古屋章が最後に粋な言葉と粋な計らいで真田広之を助ける。
その他にも伊佐山ひろ子、富士真奈美などが出ていたが、チョイ役として前述の名古屋章が最後を締めていた。

シーンの所々で絵画的な映像演出が見られ監督がイラストレーターであることを感じさせる。
特にラストシーンで夜空を見上げるシーンはそれらしい。
若い頃の小泉今日子を見る分には随分と楽しめる映画である。


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