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おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ときめきに死す

2022-12-08 07:23:26 | 映画
「ときめきに死す」 1984年 日本


監督 森田芳光
出演 沢田研二 樋口可南子 杉浦直樹 岡本真
   矢崎滋 日下武史 宮本信子 加藤治子

ストーリー
自称、歌舞伎町の医者・大倉(杉浦直樹)は、ある謎の組織から莫大な報酬で、別荘の管理と一人の男の身の回りの世話、心身のチェックを依頼された。
それを引き受けた彼は、ある田舎町の駅で工藤(沢田研二)という若い男を出迎える。
大倉は工藤を別荘に案内し、組織の指示通りに調理した夕食で持てなすが、工藤は酒も煙草も拒否、食事もデザートから手をつけるという変わり者だった。
大倉は工藤の正体も、ここに現われた目的も一切知らされず、また質問する事も禁じられていた。
ただひたすら、組織からの一方的な電話による指示通りに彼の世話をするのだった。
工藤は早朝、森林を駆け回り昼は海で水泳をし、別荘に帰っては室内トレーニングを続けるという日課を黙々とこなしていたが、大倉はそんな彼のストイックな姿に魅せられていく。
あるコンピューター室で少年がキーを叩いている。
ブラウン管には工藤と大倉の行動がグラフィック化され、二人の体格、性格に対照して「コヅエ・ヒロミ」という女が叩き出された。
そして、梢ひろみ(樋口可南子)が組織から工藤のために別荘に送り込まれてきて、男二人と女一人の奇妙な生活が始まる。
工藤は梢に全く興味を示さず、その謎めいたペースをくずさない。
一時、大倉にモーションをかけていた梢も、工藤に興味を持ちはじめ、愛を抱いていく。
コンピューターが、遂に組織が排除すべき人物をあぶり出し、その結果に驚く幹部達。
それは組織の会長・谷川(岡本真)の名だった。
夏の終わり、売春宿に出かけた大倉は、そこのおかみ・たえ(加藤治子)から、この町に信者の多い新興宗教の谷川会長が訪れることを聞く。


寸評
何かの使命を帯びた若者と、彼が使命を達成するまで身の回りの世話をする中年男性との奇妙な共同生活がクールなタッチで描かれていく。
無口な沢田研二と雄弁な杉浦直樹の対比が面白いが、その格差がもっと大きくてもよかったのかも知れない。
ストイックな沢田研二とその変人ぶりを著すためのエピソードはユニークで笑わされる。
食事シーンが何回か出てくるが、沢田研二はメインディッシュよりもデザートから食べ始める。
世話をしていた杉浦直樹が最後には「不思議なものでフルーツを食べてからでないとご飯が食べられない」と言い出す始末である。
沢田研二がトレーニングに精を出したり、酒もタバコもやらないのは分かるのだが、釣った魚は気持ちが悪いと言うように、何かにつけて気持ちが悪いを連発するのが可笑しい。
女性には淡白と思いきやというシーンもある。
感情を著さない沢田研二と、感情豊かだが無理やり感情表現を押さえている杉浦直樹の対比が全てだ。
杉浦直樹がビジネスとして面倒を見てきた沢田研二に、仕事超えて寄り添っていってしまう姿がもう少し濃密に描かれても良かったかなと思う。
杉浦直樹の大蔵はきわめて俗物的な人物である。
その俗物ぶりが何とも可笑しくて、この映画の中では沢田研二以上に輝いていた。
それに比べれば樋口可南子の梢ひろみは存在自体がよく分からない女性に思えた。
もう少し物語に絡んでくるかと思ったのだが、案外と影が薄かった。

沢田研二に送られてきた包みは多分札束だったのだろう。
彼はそれを大家族の元へ届ける。
無機質のような男がそこで初めて声を荒げる。
そしていよいよ決行だ。
人混みをかき分けながらターゲットに向かって進んでいく沢田研二。
それを追う樋口可南子。
否応もなしに緊張感が高まってくる場面である。
そして襲い掛かる沢田研二。
ところがここでアッと驚くような展開が待ち受けている。
何だこれはと叫びたくなる結末で驚かされる。
スパーアイドルだったジュリーこと沢田研二は、この映画においてはカッコよくないアンチヒーローだった。
最後までアンチヒーローとして存在していたのだなと思った。

そもそも除くべき人物は教祖であると示したのは、キャビアを無表情で食べる少年だった。
この新興宗教の真の教祖はあの少年だったのだろう。
そんな展開があっても面白かったかもしれない。
登場シーンは少ないが、上田耕一が新興宗教の男をやっていて、この人「マルサの女2」でも同じような役をやっていたが、この様な役をやった時のとぼけた味が何とも言えず面白い人だなあと思う。


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