「サイドカーに犬」 2007年 日本
監督 根岸吉太郎
出演 竹内結子 古田新太 松本花奈 谷山毅
ミムラ 鈴木砂羽 トミーズ雅 山本浩司
寺田農 伊勢谷友介 樹木希林 椎名桔平
ストーリー
不動産会社の営業として働く30歳の薫(ミムラ)は、久々に再会した弟(川村陽介)から結婚披露宴の招待状を受け取る。
それをきっかけに、薫は20年前にヨーコさんと過ごした刺激的な夏休みを回想する。
それは小学校四年生の頃だった。
薫(松本花奈)の父親(古田新太)は、ヤミ中古車販売をしているだらしなく、いいかげんな男だった。
母親(鈴木砂羽)はしっかり者で几帳面だったが、ある日、母親は家の大掃除をして出て行ってしまった。
母親が居ない家。父親が持って来たインベーダーゲームに熱中する弟(谷山毅)。
ぼんやりと過ごす薫。
その数日後に薫の家に突然やって来たヨーコさん(竹内結子)は、薫の父の愛人という。
ドロップハンドルの自転車に颯爽と乗るヨーコさんは、神経質な母とは対照的に大ざっぱな性格で気が強い人だった。
煙草を吸い、さっぱりとした性格で気が強く、自由な精神にあふれた女性だが繊細な優しさも併せ持っていて、薫に対しても子ども扱いすることなく対等に接してくれた。
長女らしい生真面目さを持つ薫には、ヨーコさんとの生活は驚きの連続だった。
だが、ヨーコさんは薫を子ども扱いすることなく、薫の長所を鋭く見抜く。
そんなヨーコさんに、甘え下手だった薫も知らず知らず影響され、ありのままの自分を解放させる楽しさを味わっていく。
寸評
主演の竹内結子が惚れ惚れするほどカッコいい。
白や赤や黒のパンツルックがやたらと決まっていて、自転車に乗る姿が颯爽としている。
なんでこんないい女が古田新太演じるさえないオッサンの愛人なんだ?
その辺りの説明は一切ないが、その分薫がヨーコさんから影響を受ける様がリアリティを持って描かれている。
薫にとって「忘れられない人」であるヨーコさんは、カレー皿に麦チョコを盛ってくれたり、ドロップハンドルの自転車をカッコよく乗りこなし、自転車の乗り方を教えてくれたし、禁止されていたコーラを買ってくれたりもした。
時代は1980年代初頭ということで、近所にあるらしい山口百恵の家を見物に行ったりもしている。
そんなヨーコさんを竹内結子が好演していて、まさしく竹内結子による竹内結子のための映画だ。
実はこのヨーコさんなる女性が、一体どういう人なのかが不明だ。
タバコを吸う姿には色気すら感じさせ、どこか水商売っぽいところがあるが、それにしては決して下品ではない色気なのだ。
チャキチャキした姉御肌だが、どこか寂しげなところもあり涙も見せる。
「嫌いな人を好きになるのは簡単だけれど、好きな人を嫌いになるのは難しい」とツラそうに言うシーンは、彼女の胸中を描写したシーンで印象に残る。
明るくキラキラした姿とのギャップによって余計に切なくなってきた。
髪型などをワルっぽくしても、とても悪女には見えない。
それは天性の整った顔によるものかもしれないが、本当は愛情深い人なのだろうと思わせる。
そんな女性を演じさせて、彼女の魅力を引き出したという点においては賞賛されるべき作品だ。
そしてその彼女の魅力を引き出しているのが少女時代の薫を演じた松本花奈ちゃん。
誰にでも影響を受けた人というのは居るもので、彼女が母とはまったく違うヨーコさんに触発される様をうまく表現している。
まったく別人になるでもなく、それでいて微妙に影響を受けていく様がうまく表現されている。
確かに母親が子供を置いて出て行く事実は大きな事件なのだろうが、その後の展開においては大した事件はおこらず、父親の警察沙汰もアッサリと流される。
したがって全体としての盛り上がり、高揚感といったものは少ないが、世の中の片隅で生きている人間をしみじみと描いていたと思う。
「飼われているのがいいか、自分が飼うほうがいいか」などと、男女の仲とも大人の縦社会ともとれる意味ありげな言葉も心に残る。
飼い犬として扱われることへの反発もなく、それでも幸せなひと時を感じられる子供時代。
そして、ヨーコさんの面影と決別することによって、まわりに流されてきた今までの自分から脱皮できた薫は幸せだった。
そんな人に出会えた幸運があったのだ。
夏休みのエピソードも、ヨーコさんの最後の去り方も良かったが、でもどうしてヨーコさんはあんなに薫をかわいがったのかなあ・・・。
監督 根岸吉太郎
出演 竹内結子 古田新太 松本花奈 谷山毅
ミムラ 鈴木砂羽 トミーズ雅 山本浩司
寺田農 伊勢谷友介 樹木希林 椎名桔平
ストーリー
不動産会社の営業として働く30歳の薫(ミムラ)は、久々に再会した弟(川村陽介)から結婚披露宴の招待状を受け取る。
それをきっかけに、薫は20年前にヨーコさんと過ごした刺激的な夏休みを回想する。
それは小学校四年生の頃だった。
薫(松本花奈)の父親(古田新太)は、ヤミ中古車販売をしているだらしなく、いいかげんな男だった。
母親(鈴木砂羽)はしっかり者で几帳面だったが、ある日、母親は家の大掃除をして出て行ってしまった。
母親が居ない家。父親が持って来たインベーダーゲームに熱中する弟(谷山毅)。
ぼんやりと過ごす薫。
その数日後に薫の家に突然やって来たヨーコさん(竹内結子)は、薫の父の愛人という。
ドロップハンドルの自転車に颯爽と乗るヨーコさんは、神経質な母とは対照的に大ざっぱな性格で気が強い人だった。
煙草を吸い、さっぱりとした性格で気が強く、自由な精神にあふれた女性だが繊細な優しさも併せ持っていて、薫に対しても子ども扱いすることなく対等に接してくれた。
長女らしい生真面目さを持つ薫には、ヨーコさんとの生活は驚きの連続だった。
だが、ヨーコさんは薫を子ども扱いすることなく、薫の長所を鋭く見抜く。
そんなヨーコさんに、甘え下手だった薫も知らず知らず影響され、ありのままの自分を解放させる楽しさを味わっていく。
寸評
主演の竹内結子が惚れ惚れするほどカッコいい。
白や赤や黒のパンツルックがやたらと決まっていて、自転車に乗る姿が颯爽としている。
なんでこんないい女が古田新太演じるさえないオッサンの愛人なんだ?
その辺りの説明は一切ないが、その分薫がヨーコさんから影響を受ける様がリアリティを持って描かれている。
薫にとって「忘れられない人」であるヨーコさんは、カレー皿に麦チョコを盛ってくれたり、ドロップハンドルの自転車をカッコよく乗りこなし、自転車の乗り方を教えてくれたし、禁止されていたコーラを買ってくれたりもした。
時代は1980年代初頭ということで、近所にあるらしい山口百恵の家を見物に行ったりもしている。
そんなヨーコさんを竹内結子が好演していて、まさしく竹内結子による竹内結子のための映画だ。
実はこのヨーコさんなる女性が、一体どういう人なのかが不明だ。
タバコを吸う姿には色気すら感じさせ、どこか水商売っぽいところがあるが、それにしては決して下品ではない色気なのだ。
チャキチャキした姉御肌だが、どこか寂しげなところもあり涙も見せる。
「嫌いな人を好きになるのは簡単だけれど、好きな人を嫌いになるのは難しい」とツラそうに言うシーンは、彼女の胸中を描写したシーンで印象に残る。
明るくキラキラした姿とのギャップによって余計に切なくなってきた。
髪型などをワルっぽくしても、とても悪女には見えない。
それは天性の整った顔によるものかもしれないが、本当は愛情深い人なのだろうと思わせる。
そんな女性を演じさせて、彼女の魅力を引き出したという点においては賞賛されるべき作品だ。
そしてその彼女の魅力を引き出しているのが少女時代の薫を演じた松本花奈ちゃん。
誰にでも影響を受けた人というのは居るもので、彼女が母とはまったく違うヨーコさんに触発される様をうまく表現している。
まったく別人になるでもなく、それでいて微妙に影響を受けていく様がうまく表現されている。
確かに母親が子供を置いて出て行く事実は大きな事件なのだろうが、その後の展開においては大した事件はおこらず、父親の警察沙汰もアッサリと流される。
したがって全体としての盛り上がり、高揚感といったものは少ないが、世の中の片隅で生きている人間をしみじみと描いていたと思う。
「飼われているのがいいか、自分が飼うほうがいいか」などと、男女の仲とも大人の縦社会ともとれる意味ありげな言葉も心に残る。
飼い犬として扱われることへの反発もなく、それでも幸せなひと時を感じられる子供時代。
そして、ヨーコさんの面影と決別することによって、まわりに流されてきた今までの自分から脱皮できた薫は幸せだった。
そんな人に出会えた幸運があったのだ。
夏休みのエピソードも、ヨーコさんの最後の去り方も良かったが、でもどうしてヨーコさんはあんなに薫をかわいがったのかなあ・・・。
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