実力で入ったと信じてた会社が実はコネだと知ったのはつい去年のこと。35年前わたしは友人に受けてみるように勧められてある会社に応募した。
都内の一等地にあるホテルでの面接試験が行われた。一次試験の面接を受けたら合格です。2次試験を受けるようにとその場で言われた。外資系だから、早いのねと思った。2次試験を受けた後はなかなか結果が来ないのでだめかと思った。でも友人はきっと合格するよ。君ならまちがいない。とやけに自信ありげに言う。わたしは全然自信なかったのに何故他者が自信ありげに言うんだろうと不思議に思った。
だから合格の電話をもらったときは本当に驚いた。
まさかまさか友人の口添えがあったことなど夢にも思わなかった。
去年その友人に会ったとき、ふとわたしの入社の話が出て、もしかして誰か知り合いがいた?って聞いた。意味深に書類選考だけは通してほしいと頼んだ人がいると言っていた。実力はあったかもしれないが、書類選考だったら確かに何もパッとしたものはなかったから面接すらだめだったと思う。しかし、そんなこととは35年間知らずに、もしその友人に去年会わなかったら一生知らないでいたことだろう。
今年その友人からメールが来た。自分は神経内分泌腫瘍というガンで入院する。もうこれが最期のメールだと思うと。その後メールを送ったがもう返事は来ない。